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(それから、暫くが経って・・・)
ア:(ガサ・・・ゴソ・・・)・・・・・あ・・っ!あった!!やっぱここだったか〜〜
(ふふ・・・)どれどれ・・・・
(なんと、まあ、何たる偶然か、目当てのモノは、見つかったようです。
では、その モノ ・・・・と、いうのは?
『自然術』―中巻―
つまり、これは、この世に介在する、 地・水・火・風 の、四大元素を行使するためのものであり・・・
いや、しかし、それでは、今までに自分達が使っている、『精霊魔術』とは、なんら変わらないのですが・・・・
実は、アダナも、これの―下巻―を、呂孟の邸宅で見つけたときには、あまり興味を示さなかったのですが・・・
とある拍子に、その本を落としてしまい、偶然に開かれたページには、
―――四大元素を、物質に付与するの法――――
が、書かれてあり、しかもこれが、紛れもなく、ここより西の地――そう、フレンス・ブルグより、流出・・・・
いや、少し言い方を変えるなら、過去には、こことフレンス・ブルグが、何かしらの形で、交流があったとされることの示唆―――で、あり・・・
しかし、当のアダナ本人には、そんなことは関係がないので―――
彼女が思うには、こんな便利な術法があるのなら、モノにしない手はないと思い、
―下巻―があるのなら、当然―上巻―・―中巻―と、あるものと考え、以前、呂孟邸に訪ねてきた、呉興都督 魯粛子敬 に、聞き出したところ、
“これと、似たような書物を、庸亭の書庫で見かけたことがある”
と、聞きに及び、かの地に来てみた・・・と、いう次第だったのです。
そして、アダナ、その本を読んでみた、のはみた・・・の、ですが・・・)
ア:う゛〜〜〜ん・・・これは・・・
ソ:『どうかしたか』
ア:うん? いっやぁ〜〜どうにも、読めねぇンだ、これ・・・
ソ:『どれ、見せてみろ』(シュウゥ・・・・ン)
・・・・・成る程な、お前が読めなくて、当然だ。
ア:『あんだと?!#』
ソ:まあ、そうトガるな。 かく云う、ワシでさえ読めぬのだ・・・
ア:『う・・・ん?・・・・っつ―――って事は・・・』
ソ:うむ・・・この、ワシが知らぬ・・・・と、いうのは、ワシが存在しえた、数万年よりも前・・・と、いうことになる。
つまりは―――だ、恐らく、この文字形式は、神代の文字・・・と、いわれたヤツだろう・・・。
ア:『そ、それ・・・って、つまり・・・』
ソ:そう・・・お前と、ジョカリーヌの奴が、そう呼ばれる由縁となった者・・・
つまりは、『魔女』が、古(いにしえ)に行使していた・・・と、される“ドルイド”で、あり、
これは、その時に使用されていたもの・・・そう、“オバール”と、いうものだろう・・・。
ア:『(オバール・・・)死滅した、言語・・・・』
ソ:折角、来たというのに、無駄足だったようだな・・・。(シュイィ・・・ン)
ア:・・・いや・・・でも、それが分かっただけでもめっけモンだよ。
そうか、死滅した言語か・・・・どうにかしてでも、モノにしたいもんだなぁ〜〜。
ソ:『まぁ、今はあきらめる事だな、あの、呂孟とか言う者の、館に戻って、下巻の術を、モノにするしかなかろう・・・』
ア:そうだな・・・そうすっか。
今、ここでこうやって、頭をひねっても、読めるわけでもないこったし・・・。
はぁ〜〜―――それにしても、なんか勿体ねぇよなぁ〜〜。
(そう・・・それは、あのソロンでさえ、記憶の不確かだったもの・・・・
――ドルイド――
――オバール――
そして、それは、自分や、師であるジョカリーヌが、避けては通れない、ある者の存在・・・・
――魔女――
その、魔女が、太古の昔に、行使していたもの―――と、ソロンは見切りをつけたようです。
そして・・・彼女が、この地で、『自然術』に関する書物に出会った・・・と、いうことも、ある意味での、“運命”であり“出会い”に、違いはなかったのです・・・。)