第一話;“武”を追い求める者
<一>
〔ここは、とある市立の学園。
名称を『鷹翼学園』、中・高一環の名門校と知られているところであります。
そして、ここに一人の明朗活発な女子生徒が。(どうやら彼女は、ここの“高等部”の生徒のようです。)
彼女の名は―――・・・〕
高坂 慈瑠華(こうさか じいるが)
慈:いっくよーッ! そぉ・・・・れぇっ!
ょしっ!入ったー!! 澄子さん・・・チャンボー! ナィース!アタ-ックッ!!
〔どうやら・・・いまバレーボール部の試合をしているようです。〕
慈:ぃよぉうし! あともう一本よーッ!!? 声出してー!気合入れてこー!! お――ッ!!
〔この娘、よく声も出て、このチームのムード・メーカ的存在・・・とも取れなくはないのですが。
実は彼女、このバレー部の部員ではないのです。
それはどういう事か・・・と、いいますと??〕
慈:ぷっはぁ~~・・・・何とか一セット目、勝てた・・・・と。
チャラ・・・
(ここで慈瑠華、自分愛用の銀の懐中時計を見る・・・)
慈:オッ―――と、時間か。
ゴメン!私これからヌケるから・・・。
バ:ええ~~ッ、もう時間なの?折角いいとこなのに・・・。
ね、あと一セットでいいから・・・・ね? ネ??
慈:ほんっっ・・・・・っと、ゴメンッ! これから、バスケのほう頼まれちゃってて・・・。
まぁ、私がいなくても大丈夫だよ、大丈夫!!
―――それじゃね??!
バ:(あ・・・)―――ん、もう。
バ:キャプテーン!!早くしないと、次のセット始まりますよーッ??!
バ:はいはい・・・。
あの子も忙しいわよね、色々な部活の掛け持ち・・・・だ、なんて。
ま、そのお蔭で、うちらも助かってんだけど・・・ね?
〔そう・・・彼女こと、高坂慈瑠華は、その天来の運動神経のよさのお蔭で、この学園の部活(運動部限定)の、助っ人をよくしているようなのです。
今見たように、バレーや、バスケから、ソフト、サッカー(これはいずれも女子部)まで、球技はもちろんの事、
陸上競技や、水泳(競泳)まで、その幅は広い・・・・といえるようでございます。
さりとて、大概スポーツの得意な者は、勤勉の方はからっきし―――と、そうとられがちなのですが。
彼女にしてみれば、それは当てはまらないようで・・・・
――――と、言いますのも、
彼女のクラス・・・どころか、学年の五指に入るくらい、頭脳の方も明晰のようなのです。
おまけに顔立ちの方も良く、もしこの学園に『ミス・コン』でもあろうものなら、間違いなく賞が取れる―――と、言ったような、
つまりは、それほどの美貌の持ち主なのです。
それに、気立ても良く、明るい性格の持ち主―――と、くれば、嫌う者もそうはいないというもの。
ただし、その人気をねたむ連中はいるようで―――でも、彼女にはこんな逸話があるくらい・・・・・・
とある―――その彼女の事をねたむグループの一人が、彼女を陥れようと画策したものの、
逆に彼女に危ういところを助けられてしまい、それ以来その子は、慈瑠華の事をねたむ事をしなくなってしまいましたとさ・・・・。
めでたし、めでたし・・・
と、いうことなのです。(昔話??)
そう・・・彼女という人物は、容姿端麗、スポーツ万能、頭脳明晰・・・で、人気者、とくれば、もう申し分なしッ!!
と、いうところのようでございます。〕