第十話;死闘、決着す――――

 

<一>

 

 

〔八年前―――あの忌々しい死合いの敗北を糧に、その者は今までよりも一層厳しい鍛錬を、自分に課してきた・・・

それから八年後―――またも会した“敵”は、太太(ふてぶて)しいまでの面を引っさげ、この町に舞い戻ってきた―――・・・

 

そして紆余曲折があり、またもあの八年前と同じ土俵で、剣を交じ合わせる二人は・・・・〕

 

 

清:・・・・キサマ―――― 一体どういうつもりだ!!

  またあのときの再現でもしようというつもりか・・・・

 

  オレは―――情けをかけられて勝ちを拾うほど、お人よしではないぞ!!

 

婀:(フ・ン―――)そうかい・・・お前の弟子の前で、あの無様なまでの試合運びを見せてやろうと思ったけど・・・

  そうも行かないようだ・・・・だが―――どのみち・・・(ククク・・・・)

 

 

小:うぅっ―――!!(びくっ!)

慈:(また―――剣気がふくれあがった?!! いや・・・これは―――)

  殺気――――!!

陣:う・・・うわぁぁ〜〜・・・

 

綺:・・・・おちつけ――――いくらあやつでも、ここまではこん。

小:どうして―――? どうしてそんなことが・・・・

 

綺:うん?! まあ―――ワシがおるからな。

小:(こ・・・このちびっちゃいのが――――? あの清秀の対戦相手よりも??)

 

綺:(フ・・・)それにしても―――あやつも小憎らしい演出をするものよ・・・

  まあ―――いづれにせよ、結果は同じなのだろうが・・・・な。

 

 

〔少なくとも――――清秀には感じていたこと・・・

あの当時は、自分の自信の一撃でさえも、びくともしなかったこの対戦相手・・・・

そのことにまづ驚き、頭の中が真っ白になってしまい、そのあとに完膚なきまでに叩きのめされてしまった――――・・・

 

それを今回は、示現の愛弟子である小夜の前でなそうとしている・・・

そのことに憤りはしたけれど、そのことを仇にはせず、自らの闘気とするため、静かに構えをとる清秀・・・

 

 

しかし――――この死合いの行く末を見定める者にとっては、もうすでに結末など見通せていたのか・・・気になる一言を吐いたのです。

 

それは―――『結果は同じ』で、あるということ・・・

 

そして次の瞬間―――婀娜奈が始めて構えを取ったのです。〕

 

 

慈:(あ・・・)あれは―――!

小:(あの人が・・・始めて構えらしい構えを―――)でも・・・あの構え―――

 

綺:・・・・『天地陰陽の構え』・・・。

陣:(は??)な―――なんなんですか?それ・・・

 

綺:真蔭―――“不敗の構え”の一つだ・・・陣。

  それに―――あれこそは、八年前、あの坊やが一方的に敗北したときの構え!!

 

 

〔=天地陰陽陣=・・・その対なる二本の刀で、己れの“天”と“地”を護るという構え・・・

そしてこれこそは、八年前に清秀が屈したときのものと同じ・・・

 

でも、もう一人の、武の何たるかを識る者は、こう嘯(うそぶ)いたのです・・・

 

真蔭流     不敗の構え

―――と・・・〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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