<三>
〔今―――修羅の放った剣閃に、斃されんとしていた刹那・・・・
驚くべきまでの反射神経で身をかわした――――
まさにそのとき―――
その者の背後に宿りし存在こそ――――・・・・〕
――――常に憤怒の形相をなし――――
――――三面に六臂のある神仏――――
=摩醯首羅=
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慈:あああっ・・・・あ――――ああ・・・・(わなわな)
小:な―――なんなの・・・あれ・・・(びくびく)
綺:・・・・みえるか―――お前たちに・・・
陣:えっ―――? 見える??・・・って、何か見えているんですか??
慈:ええっ―――・・・み、見えているんですか・・・って、見えないの?陣君―――
小:あれは―――・・・神仏なんかじゃない・・・あれは、鬼神?それとも戦神?? それとも――――・・・
綺:(フフフ・・・)どうやら―――陣以外には見えているようだから、教えてやろう・・・
あれこそは―――修羅を啖らう 羅刹 が一人・・・その名も、『摩醯首羅』(まけいしゅら)だ―――
〔“摩醯首羅”(まけいしゅら)とは―――仏教界における、“法”の守護者として、悪鬼ドモを討ち参らせる畏るべき『戦闘神』・・・
しかし―――その存在も、『仏教』と融合を果たした故の存在・・・
では―――その元の姿・・・とは。
数ある宗教の中でも、その特異性から特別視されている、インド古来からの教え・・・
{ヒンドゥー教}
その―――・・・“三柱神”のなかでも、 生と死 その両方の意味を持ち合わせた最兇の神―――
≪シヴァ神≫
しかして―――それこそが、この・・・黒江崎婀娜奈の“忌み名”でもあったのです。〕