<四>
〔でも、どうやらその美人―――どうも、それらとは違うようで・・・まっすぐに綺璃惠ちゃんのところまで行った後、
かけていたサン・グラスをとり、丁寧なお辞儀をしたようです・・・・。〕
美:(チャ・・・・)どうも、お久しぶりにございます―――塚原綺璃惠さん―――。
綺:(ふふ・・・)どこの誰かと思えば・・・・黒江崎か。
婀:はい、実にお懐かしい、ところで―――あの娘は?
綺:ん―――?ああ、紹介しよう・・・。
ちょっと、こっちにきなさい。
慈:は・・・・はい・・・。
綺:ここの、道場主の娘さんだよ・・・。
慈:こ・・・高坂慈瑠華と申します!は、始めまして・・・。
婀:(うん・・・?)この娘・・・ひょっとして・・・弾正の?昌幸さんの―――
綺:ああ、察しの通りだ。
慈:(えっ?!)ま、昌幸―――って、私の父の事を?!!
婀:ああ、知っているよ。
何しろ―――この私を、負かした事のある2人のうちの、1人だからね・・・・。
慈:(ええ?ま、負かした?)ど・・・どういう事なんです?負かした―――って・・・。
もしかして、あなたも武道を?
婀:ハハッ!見かけによらなかった?
慈:え・・・・っ、ええ・・・・とても・・・。
綺:ふふふ・・・・外見のみで、判断すると、こういうコトになる・・・。
ならば、ついでだから、わしから紹介してやろう。
この人の名は、―――黒江崎婀娜奈―――今は絶えて久しいが、『真蔭流』を継いだお人だよ。
慈:え・・・・っ、し、“真蔭”―――って・・・・
綺:そう―――刻烽ノ勝るとも劣らぬ流派だよ―――。
慈:(はぁ――――)あっ!!そ、そういえば・・・負かしたうちの一人が、私の父―――と、言う事は、あとのもう一人は・・・?
婀:ふふふ・・・・同じ流派に、二度も敗れたんだし―――
私は危うく、真蔭の看板、たたむところだったんだよ・・・・そしたら、この人にね?
『なぁに、化け物じみたヤツ、二人とやったんだ・・・負けて当然だよ。
それに、あんたは、この先まだまだ伸びる・・・
だから、武道を辞める必要も、真蔭の看板をたたむ理由も、ありはしないのだよ・・・』
婀:そう・・・・言われちゃってさぁ・・・・。
慈:えっ―――じ、じゃあ、師範に??
婀:あははは、もう、4・5年前の話よ―――。
慈:(4・5年―――って、師範・・・そんな前から、ずうっと強かったんだ・・・・)
婀:それでね?武者修行を名目に、花のお江戸は東京に、行ってきてた―――って、ワケなの。
慈:(は・・・花のお江戸・・・って・・・) で・・・っ、でも―――どうして東京??
婀:ん――?だって、ほら・・・ここの中心―――って言ったら、やっぱ首都・・・・でしょ?
そこには、数多くの流派が存在する。
自分の腕を試すのには、もってこいだったのよ。
綺:そぉ―――んな、ウソ吐いてないで・・・素直に、大学受かったから、そこへ行ったと、言ったらどうなんだ?
慈:え?大学??
婀:なはは―――実は、そうだったりぃ―――。
慈:そ、それじゃあ・・・・
婀:そぅ――!この春、見事卒業! んで、就職先も、やっと決まった―――ってコトなの。
慈:(へぇ〜〜〜)
綺:・・・・・それより、どうだ? 一汗、かいていかんか?
婀:オっ!!いいですね―――実は、私も、そう思っていたところなんですよ。
では・・・ちょっと、着替えてきますね―――
慈:(は・・・あ・・・)あの・・・美人なお姉さんでも・・・武道やるんだ・・・
〔そう、意外に驚いたことに、このトップ・モデル風の、美人のお姉さん、―――黒江崎婀娜奈―――は、武道をたしなんでるそ――なんでス。
と、いうことは・・・・やはり、護身程度かなんか??
いえ―――実は、そうか・・・と、思いきや、またも、意外な事実が発覚したのデス―――。
し・か・も―――それが、この後、慈瑠華の身に、容赦なく、降りかかってこようとは―――〕
この後、ど―――なってしまうのかっっ!!(by,ガチンコ風(^^;;)