<七>
〔そして―――とある日・・・
学校での授業と部活を追え、自分の屋敷に戻る時の事―――
この町にある公園に差し掛かり、そこに落ちていた空き缶を、何気なく蹴ってしまった事から、
小夜の運命は、急転直下していくこととなるのです―――・・・〕
小:くそぉ――――・・・っ(イライラ)
〔どうやら―――彼女、ここ数日がむしゃらに練習していても、中々“実”を結んでいかない事に苛立ちを覚え、
相当にむしゃくしゃしていたようです。
そして―――運命流転の瞬間・・・〕
小:くっ・・・そぉ――――っ!!
カン―――――ッ☆
こっん〜☆≧
誰:―――ってえ!
小:え―――っ?
誰:〜んのヤロウ・・・誰でぇ! この俺のキュートな頭に、空き缶くれやがったのは!!
小:あぁ―――っ・・・
誰:ん゛〜〜―――?てめぇかぁ・・・
ヤってくれんじゃねぇかよ! このオレ様を 侠道会 のモンだと知っての狼藉か?
小:(き―――侠道・・・)暴力団―――・・・
暴:あ゛ぁ゛〜〜?あんだってぇ〜? 暴力団?
悪いかよ―――それで・・・あぁ〜〜あ、ヤダヨネ―――差別だね〜〜それ―――って・・・(ニヤニヤ)
小:うぅっ―――
暴:ちょいと―――事務所まで来てもらおうか・・・
小:や、やめろ―――!は、離せ・・・!
暴:るせぇ―――!ただでさえメス豚の足で蹴られた缶が当たって、
オレ様のキュートな頭にハートは傷ついとる〜〜っちゅうのに・・・
お前のさっきの言葉で、さらに傷ついちまったんだぜぇ〜〜―――?
小:あ・・・あん―――た・・・あたしが誰だと、知って・・・
暴:(ニィ)橋川―――の、お嬢なんだろ・・・お前―――
小:ううっ・・・・いや―――やめて・・・
暴:今更遅せぇ―――!このスベタ!!(ガッ・・・)
小:あぁ―――うぐっ・・・い、いやっ―――!(誰か・・・助けて―――!!)
〔小夜が蹴った缶の行き先は、公園にあるベンチに寝そべっていた、ちょっとガタイのいい、スキンヘッドの男の頭―――だったのです。
しかも、その男の正体とは、この界隈でのならず者・鼻つまみ者・厄介者たちの巣窟である、“暴力団”『侠道会』の一員だったのです。
小夜は、その事を知っていただけに、―――しまった―――とは思ったのですが、時、既に遅く、
その暴力団員は、何かにつけて因縁を付け、小夜を・・・橋川財閥の一人娘を、自分の事務所に連れ込む―――拐(かどわ)かそうとしていたのです。〕
小:(こ―――こうなったら・・・)
〜ぱしっ〜☆
暴:・・・・。#
こんの女(あま)ぁ―――こっちが下手に出てりゃあ、いい気になってやがるなぁ?!!
小:く―――・・・うッ!(ス・・・チャ/ふるふるカタカタ・・・)
暴:・・・へっ―――そんな棒切れ持ち出して、どうしよう・・・ってんですかい、お嬢さん。
小:うう・・・うるさいっ! あ、あたしをお嬢さんだなんて呼ぶなあッ!!
―――ブンッ―――
―――ビュ・・・ン――
暴:(ひょいっ―――ひょいっ・・・)―――・・・・。(バシッ〜☆)
小:ああっ―――・・・(ドサ☆)
暴:はンっ―――危なっかしい事をしてくれるじゃんかよ。
小:うぅ・・・・。(ガクガク)
暴:へっへっ―――大人しくなったところで、事務所まで来てもらおうかい・・・
そこであんたを―――輪姦(まわ)してやるよ・・・(ニヤニヤ)
小:い―――いや・・・やめて!離して!! だ・・・誰か、助けて―――!!
〔でも、そこへ連れ込まれるということは、そこで何をされるか分かっているので、必死に抵抗をしたのです。
しかしそのお蔭で相手は、よりいっそう怒りの度合いを増してしまったようで・・・
それであるがゆえに、小夜がとった最後の手段・・・それは竹刀を手に取ったこと―――
“示現”の一撃を相手に打ち込んだ後、逃げる―――・・・と、いう手法をとりたかったのですが、
相手と対峙するときに、あってはならないこと・・・<相手に飲まれる>・・・と、いうことに、
小夜自身は気付いていなかったのです。
だから―――そんな状態で繰り出された剣は、すでに“示現”のモノではなく、素人のそれ―――・・・
ゆえにそんなものは相手に掠るはずもなく、逆にしっぺ返しを喰らう小夜・・・
そして、大人しくなった彼女を、事務所に連れ込み、いかがわしい事をしてやる―――と、言ってのける暴漢・・・
ですが―――偶然か否か、そこを通りかかった人物がいたのです・・・〕