第七話;気になる者
<一>
〔さて―――違う流派同士が、“真剣勝負”の約束を取り交わした次の日・・・
当事者は休んで山に篭りっきり・・・に、なるのかと思いきや―――〕
婀:はい―――この『七歩賦』は、“丕”が弟の“植”に<七歩歩くうちに一つ詩を作れ>・・・
と、いうことに由来されているものであり〜〜―――・・・
慈:(はわ〜〜・・・婀娜那さん―――てば、てっきり特訓するものかと思えば・・・
本当に師範の言った通り、他流試合すんのだろーか??)
≧――――・・・さ〜ん。
慈:(イヤ・・・それよりも、今回婀娜那さんと闘(ヤ)る人―――って、
以前にも婀娜那さんと仕合ってる・・・って話しなんだよねぇ?)
≧―――・・・さぁ〜ん??
朋:ちょっと―――!ジル・・・ジル!!(ヒソ)
慈:(なぁ〜んかさ―――お互いに闘りにくく・・・)
―――ん?ナニ・・朋・・・
朋:先生―――先生!!(ヒソ)
慈:(い゛っ??)あっ―――は、はいっ!!
え・・・エェ〜〜ッと、どの行からでしたっけ・・・?
婀:はいは〜〜―――い、先生は名前呼んだだけなんだけど?
何も“立って何をしろ〜〜―――”ってなわけでもないんだけども・・・。
慈:あ―――・・・っ、すみません。
婀:まぁ―――・・・考え事をするのは、大して悪いことじゃあないけど・・・
授業の内容が入ってこないんじゃあ、少し考えものよねぇ。(じろ)
慈:ハ・・・はい、反省してます。
婀:それと・・・今度からは、立って教科書読むときは、ちゃんと逆さまでない状態で読もうね、高坂さん。
慈:は―――はい・・・。
―――あっはっは―――
婀:はい―――それでは、授業に戻るとしましょう。
この詩賦は、三国時代の・・・・
〔これこれジルちゃん、今、婀娜那先生から注意されたように、ちゃんと授業に集中しなきゃいけませぇ〜ンよ?!
―――と、まあ・・・そんなことはさておいて、確かに婀娜那は、ジルが考え事をしてる最中に呆然となっているのを見抜いたんですが・・・
なぜかいつもはそこからちょっかいをかけているのに、その時にはそうはしなかった―――と、いうのです。
それはどうして? やはり、今回の他流試合に関している―――と、いうのが、 近からずとも遠からず だったようでして。
もうあの時(つまり、試合を受けた時点)より、状態のほうを最良に持っていこうとしていたようでもあるようです。〕