<五>
慈:ならば―――これっ!!
カッ―――
キィイ――― ―― ―ン
投:(ぇえ――――っ・・・?!)
捕:(わ・・・私たちの・・・最高の球が―――)
〔打者・ジルの手元で落ちた球は、無情にもバットの真芯で捉えられ・・・
ボールはそのまま、球場の外へと―――消えていってしまったのです・・・。
しかし―――その時、偶然にもその球場に来ていた者は、はっきりと見ました・・・
その・・・まるで剣が弧を描くような、軌跡―――
でも、それこそ―――〕
刻燉ャ・翔の一刀 日輪斬
小:(あ・・・あの―――振り被りから、振り切るまでの姿勢・・・あれはまるで剣道そのものじゃ・・・)
瑠:キャ〜〜―――!♡ ジルさま最高〜♡ さぁっすがですぅ〜〜!!
小:(ぅん? 瑠璃の―――・・・デジカメ・・・)ね、ねぇ・・・白川?
瑠:はい、なんでしよう―――
小:確か―――あんた・・・あの、高坂・・・ってのを追っかけているんだよ・・・ね?
瑠:はいはい、そうですよぉ〜〜? それがなにか―――?
小:―――でさぁ・・・あの人が出てるのを、そのカメラで撮ってるんだよね?
瑠:そっりゃぁ〜〜もちのろんですぅ〜! どしたんですぅ―――小夜さんもみたいですかァ?
小:・・・うん―――是非とも見てみたいもんだわ・・・。
〔同じ学校に通う同級生が、好んで追っかけをしている別の学校の生徒であり、選手を記録しているモノを、
小夜は見せてもらったところ・・・驚くべきあることがわかってきたのです。〕
小:(これは・・・凄い―――!!
高坂というヤツ・・・今回のようにソフトだけじゃあなく、バスケやサッカー・・・果ては陸上まで・・・
それに、各々の一連の動作にしても、これは剣道だけじゃあない―――他の武術の動きも混じっている・・・
この・・・バスケやサッカーの試合を見ていると、特にそう・・・感じる。)
それにしても―――顔が見辛いなぁ・・・。
瑠:あれっ?!小夜さんジルさまのお顔知らないんでしたっけ?
じゃあ―――特別に、大っきいのを・・・(ピ)どうです―――これなんか、ここまで接近するのに苦労したンですよぉ〜?♡
小:あっ―――・・・そう・・・。(凄い執念だなァ・・・)
――――・・・あっ!!(こ・・・この顔は!!)
瑠:ねぇ〜?中々端正なお顔立ちでしょ〜?♪・・・って、小夜さん?どうしたんです―――
〔忘れようはずもない・・・あの日、自分を敗った顔を―――
そして今―――その顔と名が一致したことを・・・・
故に、改めてあの時なされた質問とその答えを求めるために、この試合が終わったところで、
県営の総合グラウンドの外で、待ち伏せよう―――と、したのに・・・なぜか相手は出てこなかったのです。
なぜ―――どうして・・・? それは―――
(ちなみに、試合の結果は 白2−3鷹 で、鷹翼の勝ち。)〕
慈:ぷふぅ〜〜ッ・・・お疲れ―――!
ふぅ〜〜・・・イヤぁ〜勝った勝った! やっぱ勝つ―――・・・って、気持ちいいよね。
さぁてと、早速家に帰ってお風呂に入ろ♡
〔どうやらジルは、自分が出た試合に勝てたということが・・・
つまりは、同級生の役に立てた―――と、いうことが、余程にうれしいらしく、満面の笑み・・・・の、はずだったのですが―――
ところがその笑みも、総合グラウンド出入り口で、ぱたりと止んでしまったのです。
なぜならば―――・・・〕
慈:(フフン〜フフン―――♪)(・・・って)うわ――――まァたあの娘だよ・・・。
しつこいッたらないんだモンなぁ〜〜・・・あの白川瑠璃・・・って娘。
うちにも一人厄介なの(婀娜那)がいるけれど・・・せめて家の外ではのびのびとしたいもんだっは・・・(げんなり)
〔そう―――何とその出入り口で待ち構えていたのは、橋川小夜ではなく、ジルの追っかけの白川瑠璃だったのです。(小夜はグラウンドの外)
しかも、この娘のしつこさというのは折り紙つきらしく、依然住まいのほうまでは割れてはいないものの、
町でのジルの行動は、逐一この娘が張り付いているようでありまして・・・(まかり間違えばストーカー寸前w)
まあ・・・人から好かれる―――っていうのは、ある意味うらやましい事なのですが、(ちょと違うか?w)
似たような―――しかもまだ強力な存在が現れているからか、辟易していたジルは、他の部員たちとは別ルートでそのグラウンドを後にしたそうです。
―――と、いうことは・・・つまり??
そう――――哀れ、小夜は同じ高校の生徒によって、逢いたい人間に、期せずして逢わされなかった―――と、いうのです。〕
瑠:あぁ〜〜ん!すっげぇ悔しぃッス!!
小:(あはは・・・)そう落ち込むんじゃないわよ―――白川。
(はぁ〜あ・・・それにしても―――まさか同じ高校のヤツに妨害されるなんて・・・笑えやしないなぁ・・・)
〔でも―――小夜は瑠璃を怒れませんでした・・・。
それというのも、その白川瑠璃という生徒、見た目がかなり可愛いですから・・・(いわゆるロリ顔)
しかも、年齢にしては、少し幼すぎる嫌いのある言動もあることから、周囲の者も本気では怒れないみたいなのです。
(それにまた恐ろしいことに、そのことが 自分の武器 であることも、この娘はよく承知のようで・・・)〕