<二>

 

 

〔では―――そのもう一方の当事者は・・・?〕

 

 

慈:(今日―――は、うちの道場で、青木清秀って男の人と、あの婀娜奈さんが仕合いをする日・・・)

  ―――――なんだけどもなぁ〜〜??

 

 

〔あれ―――? ジルちゃんあっちの方とはまるで対照的なんですが・・・

ど―――してなんでしょか・・・と、思いましたら。〕

 

 

婀:きゃ〜〜―――ッはは♪ あ、そぉ〜れぇ―――!(ポ〜ン☆)

 

徒:わぁ―――っ、先生上手〜い!

徒:美しいだけと思っていたら、違うんですね―――

 

婀:ニャ〜〜ッははは♪ どんどん褒めてくれたまい―――あ、そぉ〜〜れ―――♪(ポ〜ン☆)

 

 

慈:(・・・・緊張感まるでナッシング・・・。

  普通なら、“他流”って、その当事者と目を合わすのも禁忌って聞いてただけにねぇ〜〜)

 

 

〔なんとも、黒江崎婀娜奈女史―――昼休憩の合間に、女子生徒たちとなんとも愉しげに、バレーボールなぞをしてみたり〜〜だったようデス。

 

その光景を見るに、ジルは以前聞かされていたこととは真逆の事を目の当たりにすることで、少々困惑しているようです・・・

 

――が――

 

するとその時―――何処より来たりし球体が、婀娜奈を――――???!〕

 

 

徒:あっ―――先生、危ない!!

婀:へっ――――??

 

――ばちこ〜ん☆――

 

婀:プひゃ・・・(はなぢぷ〜)

 

――ずっでぇ〜ん☆――

 

慈:あっ―――うわ・・・顔面直(ちょく)ぢゃん??!

 

 

徒:ああっ―――先生・・・大丈夫??

徒:あ・・・高坂さん――――

 

慈:(うわ・・・モロ―――

でも、どうして・・・この人だったら、あのタイミングでも避けられるはずなのに―――)

ねぇ・・・あなた、先生の状態を抱えて、保健室に連れて行きましょう。

 

徒:あ、うん―――

 

 

〔なんとも、今のバレーボールが、顔面直撃で綺麗に仰向けに倒れてしまった婀娜奈・・・

でもジルにはそのことがとても不可解で奇妙に感じられたのです。

 

―――と、いいますのも、婀娜奈は自分と同じ・・・いや、数段上の武を修めている、

だから今のタイミングでも、体の軸をずらして、直撃は免れたはず―――なのに・・・それがどうして―――

と、思えなくもなかったのです。

 

それに・・・今日は大事な日―――だから、近くにいた生徒と協力して保健室に運ぼう―――

そうしようとした矢先に・・・・〕

 

 

綺:・・・・お待ち下さい――――

 

慈:えっ・・・はい―――(あ゛!!)

 

徒:あの・・・どうしたの―――?

 

綺:・・・先程―――わたくしの受け損なったボールが・・・どうやら先生のお顔に当たってしまったようですので・・・

  申し訳ございませんが・・・不肖のわたくしめが、抱えさせていただきたく存じます。

 

徒:えっ・・・でも、あなた中等部の子よね??

慈:あぁ〜〜―――っと、そんなことよりも早く!!

綺:・・・・そうですね―――

 

   ぴゅ〜ん―――――

 

徒:・・・って、あ――――行っちゃった・・・

  婀娜奈先生って大柄だから、あんなに小さくて華奢な子で大丈夫かなぁ〜〜って思ったけど・・・

  ――――大丈夫なようね。

 

 

〔なんと―――婀娜奈の顔面に、ボールをぶつけた存在こそ、鷹翼学園中等部に在籍している女子生徒・・・

しかしてその実態は――――ジルの武道の師、塚原綺璃惠その人なのでありました・・・。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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