<拾壱>
ヱ:く・・・・くうっ! エナジー・ドレイン!
ス:クハハハ!なんだ!それは!! まるで 蚊 ではないか!!
ヱ:く・・・・っ!(な、なまじ、図体が巨いものだから・・・吸血しても、さほどダメージは与えられない・・・)
ならば! オン・―――――――
ス:フホあぁ!
ヱ:・・・・っく!倒せど、倒せど・・・・これでは限(きり)が・・・・
(すると、どこからか・・・・)
フ:ハ――――ッハッハァ! よそ見をぉ・・・・するなぁ!!
ひゅおぉぉ・・・
ヱ:ぐっ!!(こ・・・・この冷気・・・!!) フィ・・・フィボルグ!!
バ:フ・・・・どうした、遅かったではないか。
フ:ゲハハハ! すまねぇ、すまねえ、身だしなみに気を遣ってたら、すっかり時間の事なんか忘れちまってよぉ。
バ:ガハハハ!キサマのどこをとれば、そう言う言葉が・・・・相変わらず笑わせおるわ!!
ヱ:は・・・あぁ・・・。(な、なんてコト・・・・“氷の巨人”まで・・・)
(そう・・・・さらに、まずいことには、“氷の巨人”と称された フィボルグ までもが、増援として、軍団に加わってきたのです。)
フ:(フフ・・・・ン) ・・・・で?この女、一人で・・・オレ達に、刃向かってきたってぇのか・・・?
バ:ああ・・・・そうだ・・・。(ニヤリ)
フ:フへへへ・・・・でも、なんか勿体ねぇよなぁ、あの方の口ぞえとはいえ・・・・なぁ・・・。
ヱ:あ、あの方・・・・(こ、こいつも?? 一体・・・・一体、誰が後ろで糸を引いていると言うの??)
フ:(ニャ・・・) スキありィ! フローズン・ヴェノム!(ごぱぁ!)
ヱ:う・・・ あぁ・・・・っ!!
(巨人の口から放たれた、液体のようなモノのそれは・・・・触れたモノ総てを、凍結させるモノであり・・・・
それを上手くかわしたヱルムも、飛び散ったしぶきで、左の肩から、肘の辺りの二の腕を、凍らされてしまったのです。)
ヱ:・・・・っくっ!!(し、しぶきを受けただけで、これほどなんて!!)
フ:へっへへェ・・・・アレぇ〜〜?外しちまったぁ〜。
バ:クククク、遊ぶのも、そのくらいにしとけよ・・・。
フ:アイアイさ――〜♪
(嬲り殺し―――――そこに展開されていたものは、もはや 闘い というものではなく・・・
彼らからしてみれば、いわば半ば冗談半分の、 お遊び のようなものだったのです。
それ故に、なまじ耐えられるスキルを持ち合わせていただけに・・・・それは、凄惨そのものだった・・・と、言えます。)
ヱ:うう・・・っ、ぅぅ・・・・・・ぐ・・・・・っ!!(う、動けない・・・・た、立っているのが・・・・やっと・・・・・)
(使い物にならなくなった左腕、身体のあちこちに見られる凍傷・・・常人なら、とうの昔に、死を迎えていたであろうモノを・・・・
彼女が立っていられた理由の一つには、彼女がヴァンパイアであり、そこかしこに横たわっている死体から、血を啜りとっていたから・・・・
でも、もう・・・・それも限界に近付いた時・・・)
ヱ:(ダメ・・・・目が・・・・かすむ・・・)(フラ・・・)
フ:そぅらぁ!! フローズン・ヴェノム!!
クロース・ファイアー・ハリケーン!!
ド・・・ バ・・・ ゴオオォッ!!
バ:(ナニ?相殺されただと?) ナニヤツ!!
(炎の中より、垣間見える、亜麻色の髪、そして、常にその者が携えている、 大剣『グラム』)
ヱ:あぁ・・・・アダナ・・・さん。 よかっ・・・・た。(カク)
ア:・・・・・。(ジロ)
お前らだな・・・ヱルムを・・・うちんとこの長老を、こんな目に遭わしてくれたのは・・・!!
バ:ああ、そうだ・・・・。 と、言ったら、どうする?
ア:は・・・っ!決まってんだろ――が!! コマ切れの、ミンチにしてやらァ!
(仲間を・・・・いえ、親友を、かくも無惨な目に遭わされ、激昂するアダナ。
しかし・・・・この時・・・・)