<拾弐>

 

 

(そう、この時、既に、とある者の身に、異変が起こっていたのです。

それは、誰? その身を、凍らされたヱルム? それとも、この中で最大の攻撃力を誇るエリア?

 

いいえ・・・・それは・・・・異界から・・・・ここの世界の者ではない・・・・彼女。)

 

 

女:・・・・・・・・。(ワナワナ・・・)

 

エ:うっ!(ギク!) ジョ・・・ジョカリー・・・・ヌ?(女禍?)

 

 

(日頃、ふざけた行動をとり、その配下の者の、頭を痛めさせたり、周囲の雰囲気を和ませてきた者・・・。

 

その、彼女の表情が、無惨な姿に晒されたヴァンパイアを眼下に、今までの彼女からは、想像も出来ないほどの、憤怒の表情に満ちていたのです。)

 

 

女:・・・・・・・退け・・・・・・・・。(ギロリ)

 

ア:ンな・・・・ナニィ?! 何でどかなきゃ・・・・・・ならないんだ・・・・・ょ・・・・(ジ、ジョカりん??)

 

女:うぬら・・・・たった一人の婦女子を・・・・よってたかって、こんな目に遭わせたというのか・・・。(ピキピキピキ)

 

フ:あアぁ?!二度も同じ事を言わせんなよ。

 

女:(クククク・・・・)そうか・・・・相違ないのか・・・・。

  ・・・・・で、どうだった、気分は・・・・・良かったか・・・・・。

 

ア:な、なんだと?

 

 

フ:あぁ〜〜〜、その女の、苦悶の表情ときたら、中々のモンだったぜぇ?! オレ、思わずイキそうになっちまったぁ〜〜〜。

 

女:・・・・・・・ソウカ・・・。(ピキピキピキ)

 

 

ア:こ・・・・こんのぉ!サディスト野郎が!! ジョカりんも、賛同してないで、なんか言ってやれよ!!

 

女:・・・・・・・・・・・・・。(ピキ・・・・ピキ・・・・・)

ア:ジ・・・ジョカ・・・・りん??

 

 

(その、怒れる者は・・・・一人の、ヴァンパイアを、嗜虐した事に、快感を覚えたか・・・と、その者達に、問い質したのです。

 

そして、その答えが返った後・・・・怒れる者は・・・・・こう・・・・・・言ったのです・・・・。)

 

 

女:この・・・・ケダモノめらが!!  ならば、今度は、キサマらがその痛みを味わえ!!!

 

  (ニィ・・・・)そうよなぁ・・・まづ手始めに・・・・・うぬら全員の素ッ首跳ね上げて、晒し者とし、

生皮は、生きたまま、剥いでやろう・・・・そして、その身は、口より臓物を抉り出し、天日干しにして、速贄(はやにえ)としてくれようか。

 

                                                   

 

エ:・・・・!!!

 

 

(エリアは・・・・少女は、その時の女禍の言葉と、表情を見て、ある事を思い出しつつあったのです。

 

それは・・・

 

随分と昔・・・ここの世界ではない、どこか違う、別の場所で・・・・風の噂に見聞した事・・・・

 

禍いの神 『禍       神』

 

それは、“神”という、呼称はついているものの・・・・その実は、

性、酷薄にして・・・・残虐を嗜好とする者

・・・・・・。)

 

 

エ:(に、似ている・・・あまりに、似すぎている・・・その表情・・・・今の、この・・・セリフ!!)

 

ア:(な・・・・なんて表情(かお)・・・ま、まともに正視できない・・・・こんなに、醜く歪んだ表情(かお)は!!)

 

 

(今まで・・・・友をいたぶっていた事に、激しいまでの怒りを覚えていたアダナでさえも・・・・

 

その時、そこにいた・・・・この世の者とも思えない表情をしていた者に・・・・・

その時まで、抱いていた怒りは、たちどころに萎えていったのを感じたのです。

 

そして・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

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