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(それはそうと・・・一方、こちらのお稲荷では・・・)

 

シュウ〜〜――――――      シュシュ・・・

 

ラ:フフフ・・・どうだ、1,400年近く、私の胃で、精練された、溶解酸液の味は・・・

  ククク・・・骨も残らず解けおったか・・・?

 

 

(・・・・が、しかし・・・)

 

すぅぅ・・・―――

 

ジ:・・・・・。

ラ:な・・・ナニ?わ、私の、溶解酸液が・・・効いてないだと? し、しかもお前・・・神・女禍では・・・

 

ジ:ふん・・・いかにも、妾は、万智万能なる神などではない・・・。

  しかし、着ていた衣服がただれ、裸同然では失礼に当たると思い・・・・妾が着ておった、本来のモノに戻らせてもろうたが・・・

  やはり、元のままが一番しっくりとくるわ・・・。

 

 

(そこに佇んでいたのは、血肉も衣服も醜く爛(ただ)れた者・・・が、いたかと思いきや、

身の丈190cmにあまり、しかも、白き無垢のドレスを身に纏った―――死せる賢者―――がいたというのです。)

 

 

ラ:(ば・・・バカな?こ、こやつ・・・こやつの身から染み出ているそれは・・・我らと同じ類のものでは・・・??)

ジ:フフ・・・・いかがした、そなたと、同じような存在に・・・戸惑いでもしたか?

 

ラ:(そんな・・・ハズは!!) ほざけぇ!  ―― アシッド・リッガー ――

びしゃあっ!

 

(またも・・・彼の者の吐いた、溶解酸液に、その身を浸すジョカリーヌ様・・・が、しかし―――)

 

 

ジ:・・・・・フッ、ぬるいわ・・・このようなモノなら、妾のところの大ナメクジのほうが、よほど強いのを出しよるぞ・・・

ラ:な、なんだと・・・?こ、この私の・・・3,000年生きてきた私のが・・・ナメクジ如きに劣る??

 

ジ:そういうことじゃ・・・・残念ながら、当たる相手が悪かったと思い・・・今は、自分のテリトリーに戻れ。

ラ:・・・・だが、私には、主上――オズモ様――より託されたる、勤めがある・・・ゆえに、このまま引き下がるわけにはいかんのだ!!

 

ジ:・・・・愚か者が・・・人の好意を、みすみすムダにするではない。 それより、妾は一刻も急がねばならぬのじゃ。

ラ:刻を急いでいるのは、こちらとて同じ事!! 今度はこれを喰らうがいい!   ――ヴェノム・ストライク――

・・・どうだ・・・? 今度ばかりはお前でも・・・

 

ジ:・・・・・のぅ。

ラ:・・・は・・・あぁ・・・。

 

ジ:勘違いをおこすのは、それまでにしてもらえぬか・・・。

  ナゼ、たかだか、3,000歳の若僧が・・・10,000有余年の、刻を生きながらえてきた、妾に、害がなせれるのか・・・

  そこのところが―――妾には、よう理解ができぬ・・・・(Fuuu・・・)

 

ラ:(な・・・)い・・・10,000・・・??

 

ジ:フフフ・・・・ククク・・・・それにしても・・・今宵の月は、良い色をなしておる・・・

  そう―――まるで、贄の血で、紅く染まった祭壇のように―――な・・・・。

 

 

(そう・・・その、満月の色・・・と、いうのが、まるで、血のような、真紅の色を成していたのです・・・

しかも―――)

 

 

ラ:(うっ・・・ぐ!!) そ・・・そういう貴様の、その眼の色も・・・!??

ジ:妾の・・・眼の色? フフ・・・・これは、これは・・・あまり、怒りの表情を出さずにおこうと思っていたに・・・

  さすがに、無理はしてはいかぬなあぁぁ・・・・(ギヌロ)

 

 

(そこにいたのは、抑えに抑えていた、怒りの感情を露わにした、両の、白目の部分を、その紅き月よりも、紅うした者の存在がいたのです・・・)

 

ラ:まっ・・・まさか・・・キサマは、リッ・・・

ジ:どこを見ておる。

 

ラ:(うっ!!) い、いつの間に背後に?!!

ジ:要らぬ時間を取らされた・・・その償いはさせてもらうぞ。            ―――イド・ブレイク―――

 

 

(その者が唱えたそれは、“生命力剥奪”の呪、いかな魔神の下僕たりても、己より数倍もの、魔力の強き者の呪に中てられ・・・

魔神の下僕は、死せる賢者の一部となってしまったのです。)

 

 

ジ:ヤレヤレ・・・愚図愚図とはしておれぬというに・・・どれ。          ――移送方陣――

 

 

(そして―――一方の、病院のほうでは・・・)

 

 

婀:(ザッ・・!!)・・・・ちっ!またしてもか!!

メ:フフ・・・何度やろうが、同じコト・・・!!

 

ス:(く・・・っ!) こ、こちらの技は、蜃気楼でいなされ・・・そのスキに、攻撃を仕掛けてくるとは・・・

 

マ:(ならば・・・) 退けえいっ!低級神!!

婀:おうっ!  はあ―――っ!

 

マ:(今だ!!)  ――ローザース・ウィスプ――

婀:(ここ――!) ――ムーン・スクレイパー――

 

ス:(おお!) 魔法と、剣撃の二連・・・!! さしものの相手もこれでは・・・

 

 

(しかし・・・)

 

 

メ:クク・・・どうした?やる気があるのか?

 

婀:なんじゃと・・・?

ス:な・・・ナゼ・・・

マ:(く・・・っ!)ま、まずい!!

 

メ:遅いっ!!       ――ミラージュ・エクストリーム――

 

 

(そう・・・実は、彼の者が行使していたのは、ただ単なる幻影の技ではなく、いわゆるところの――位相の転換――の一種だったのです。

しかし、それが気づいた頃には、彼の者が、反撃の術を唱え終わった後であり――――防御が、手遅れ・・・と、思った瞬間!!)

 

ヴゥゥ・・・・ン

 

ジ:

――ケネス・フィールド・アナク・アクナシオン――

<ワレの四囲に、五芒あげたりて、その六芒より、悉くを、その狭間に陥しめん>

 

=アナイ・アレイド=

〔時空断層縛〕

 

メ:ナニいっ?!

 

シュウゥ・・・・

 

ス:あっ・・・あなたは・・・・

婀:ジョカリーヌ殿・・・

マ:・・・・どうやら、その様子ですと・・・外れだった、ようですな・・・

 

ジ:(フッ・・・) まあ・・・そういうことよ・・・それよりも・・・魔法陣は見つかりましたかな?

 

婀:いや・・・それが・・・・

 

ジ:そうか・・・まあ、好い。 それのありか・・・そこの者の、体に聴いてみる事にいたそう・・・(Fuu・・・)

 

ス:(えっ?!) じ・・・ジョカリーヌ・・・さん?

 

ジ:これ、そこな妖しに、ちとモノを尋ねる・・・何、ムリに喋らずとも・・・口を割らせる類の法は、心得ておるでな、安心いたせ・・・・(ククク・・・)

 

 

(その口調は、たとえ丁寧に過ぎる感はあっても・・・・そこから紡ぎ出される言の葉は、明らかに“負”の、何者でもなかったわけであり・・・

そして、これから起こりうる、出来事の示唆でもあったのです・・・。)

 

 

メ:なんだと・・・?キサマ・・・今のがまぐ・・・

ジ:・・・まぐれと言いたいか―――モノを識らず・・・とは、可愛(かわゆ)き事ではあっても、罪深き事よ―――なぁ。(ニィィ・・・)

 

婀:なっ!ナニを、ジョカリーヌ殿・・・(ギョッ!!) そ・・・そなた・・・その眼は・・・・!!

マ:(あの、紅き月より、紅き色をしているとは・・・!!)

 

ジ:ふ・・・・フフフ・・・・この、色・・・ですかな?

  今宵は・・・・実によい月も出ておる・・・が、ゆえに、妾も、この感情に委ねておきたいと思うておるのじゃ・・・・

 

  見るがよい・・・・あの月を・・・・出ておった時には、満ちておったに・・・今や、その半分も、のうなっておる・・・

  さあぁ・・・(ニィィ・・・)彼の者が、復活しうるという、魔方陣・・・どこにあるのか・・・・喋るがよいィ・・・・

 

 

(その時・・・・婀陀那は、こう思ったのでした・・・・

自分の主上と、よく似た存在の、この者が・・・――禍神――招かれざる存在ではなかったか・・・と。)

 

 

メ:そ・・・それより・・・もう一方の場所から、魔力というか・・・気配が一切感じえられない・・・とは・・・どうしたことか?

 

 

(すると・・・ジョカリーヌの、右肩口から・・・世にも、恨めしげな声が・・・)

 

 

ラ:メ・・・・メローペエェ・・・・

ジ:(ニャ・・・)

 

メ:(はっ!) あ・・・あなた―――に、兄さん?ラ、ラスタバン兄さん・・・??

 

ラ:(が・・・がはっ!) た・・・たすけぇ・・・

 

ジ:(ククク・・・)この期に及んで・・・妾の身の一部に成り果てても、抵抗を試みるとは・・・面白きものよなぁ・・・

  まぁぁ・・・・妾が、そうさせているのではあるのだがなぁ。(FuFuFu・・・)

 

  どうじゃ・・・・喋る気になったか・・・・

 

メ:お・・・おのれぇぇ!! 我が愛する人を・・・・兄さんを帰せ!!  ――ディグニティア・ファクター――

 

ジ:(フンッ!) 賢(さか)しいわ!!(ガッッ!!)

  己の愛すべき存在がとられたぐらいで、嘆きおるとは!! なれば・・・この度、うぬらがした所業を、よう省みるがよい!!

 

メ:ぐぅわっ! ・・・・な・・わ、我らの所業・・・・だと?

 

ジ:そうよ・・・うぬらが、取脱した、その魂が・・・誰ぞかの、愛すべき存在と、少しも思わなんだか!!(ギリギリ・・・)

 

メ:そ・・・そんな・・・こと・・・(カ・・・ハァ・・・!)

 

ジ:・・・・おもわぬのか・・・(フン・・・)(パッ・・・)

メ:あふぅあっ!(どさっ!) げほっ――! げほッ!ケホッ!!

 

婀:(ジョカリーヌ殿・・・)

 

 

(そう・・・ジョカリーヌが、敵である者を、その身に取り込んだというのも、何も、負の感情あるがまま・・・に、なされたわけではなく、

今回、この魔なる者達の、所作事に、原因があるのではないか・・・と、説いたわけなのです。  そして―――)

 

 

ジ:さぁぁ―――今からでも、遅うはない・・・考え直せェ・・・・。

 

メ:そ・・・そうは行かない・・・なれば、兄さんを助ける法は、ただひとつ!キサマを倒せばそれで・・・!!

 

ジ:うぬが如きひよっ子が?この妾を・・・? 笑わせるではないわ!!

 

メ:(く・・・っ!) 我が最大の奥義で・・・滅してくれる!      ――ハイ・レイト・エクステンション――

 

ジ:不愉快極まりない!             ――ヨッド――

 

メ:う・・・!?(な・・・ッ) わ・・・我の奥義が・・・

 

マ:(技の効果が・・・あの者の直前で、くすぶっておるとは・・・)

婀:(妾達が・・・手を焼いておったというに・・・)

ス:(こ・・・これが力の差異・・・)

 

 

ジ:どれ・・・返すぞ・・・むんっ―――!

――ジャス・ワッ・ダ・ダクトー・ウ−ダット――

<悉く、砕けよ、狂瀾の時空>

  時空の歪みにより・・・爆ぜ散るがよい・・・

=ダムド・ネシオン=

〔歪時空爆裂〕

 

婀:(ああっ!) だ、ダメじゃ!正面きっての攻撃は・・・!

ス:また、蜃気楼の技で、切り替えされちまう・・・!!

 

メ:(くっ!!)      ――ミラージュ・フォーサイト――

  (これで・・・背後を・・・) な・・・っ?!い、いな・・・

 

ジ:・・・・話にもならぬ・・・。

メ:(え―――?) わ、我の背後・・・

 

ジ:お別れじゃ―――、神罰を受けるがよい!

――ゲレン・ケネス・フィル・ハルフォード――

<御魂の砕ける時は、激しき痛みを持ってなされん>

=フォビュラス・ディザスター=

〔降魔落魂砕〕

 

 

(それは―――魔を覆滅させる為の、簡易性略式術、しかし、いくら略式であっても、その術式の本来の能力は、変わってはおらず・・・

交互に反転した、呪縛鎖の界面呪力差で、対象物を攻撃、そして、呪文通り、魂が砕けるときの、痛みは相当なものとか・・・

しかも・・・この時、蜃気楼を使って逃れたはずの ダムド・ネシオン も、追い討ちをかけるが如く決まってしまい・・・その結果―――)

 

 

ス:し・・・消滅・・・(全24HIT・・・)

婀:お、恐るべきは・・・リッチーというわけか・・・

マ:しかし、あの者・・・よけられる事を、すでに計算のうちに入れておいたとは・・・

 

ス:で、でも・・・これで終わり・・・

婀:う、うむ・・・これで、後は、姐上の御魂さえ・・・

 

ジ:果たして・・・そう上手く行きますかな?

 

婀:な・・・なんですと?

ス:ど、どういう事・・・?

マ:ふむ・・・成る程・・・

 

婀:(ん・・・?) ソロン・・・様?

 

マ:つまり、あなたは、今、消滅させられる者が、そうなる前に、そのモノを引き合いに出さなかった・・・

  魔であろうと、人であろうと、その命は惜しいですからなぁ。

 

ジ:そういうことじゃ・・・。

 

 

(そう・・・まだ、この一件は、終わってはいないのです・・・。)

 

 

 

 

 

 

 

 

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