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―――応接室・・・にて―――
バタン―――ッ!――☆
キユン・・・ キュン・・・ キキュ――――ン
ジ:(む・・・ン? 次元隔離・・・の、術・・?)
婀:さぁ・・・て、そろそろ、その尻尾を出していただきましょうか・・・な?(ジロ・・・)
ジ:は・・・さて、何のことやら・・・。
婀:とぼけるではない・・・。
我が主上の、姿形(すがたなり)を模して、他の者共を、だまくらかそうとしても、この、妾の目は欺けぬものと、そう覚悟いたすがよい・・・・。
ジ:ほほ―――う・・・そなた―――婀陀那ちゃん―――は、私の事を、疑っておるもの・・・と、言うわけにゃそね・・・。
婀:・・・・・。
ジ:ふふふ・・・・成る程・・・・それで、ここを、通常の空間より切り離した・・・と、申すのか・・・。
婀:・・・・・。
ジ:それで・・・・思いのままに調べる・・・と、こういうわけよ・・・。
婀:(ぅん―――?)
ジ:フッフッフッ・・・・・ハッハッハッ・・・・・ハア―――――ッハッハハハ!!
中々―――中々に面白きところよ―――こうも切れる者がおった・・・とは、やはりあの者に、感謝せねばなるまいて。
婀:(この者――――)
ジ:然様・・・。 形(なり)は、うぬらが主であっても、うぬらの主ではあるまじ!!
さぁ・・・・いかがいたす?―――婀陀那――――と、やら・・・。
婀:(この言葉遣い・・・もしや―――!) 見極めさせていただく!出でよ!ジグムンドよ!!
ぉおお!―――フェイタリティー・ブラスター!―――
ジ:ぬぅ―――ん!(バッ!バッ!ババッ!!)
ド・ザスンッ――!
婀:(むぅ―――ッ!手ごたえがない――!!) そ・・・それに、おらぬ・・・。
シュ・・・ ヒュン・・・
ジ:ふふ・・・剣呑、剣呑。 分かりきっておったコトじゃが・・・手加減は、してもらえぬようじゃな・・・。
婀:(妾の・・・背後から・・・) フェイズ・チェンジ(位相の転換)・・・。
ジ:ならば、今度はこちらの番!
―――万物の霊魂よ、我が下に寄り添いて、荒ぶるモノとなれり―――
“オーディナリー・シェイプ”
婀:ヌおっ!(素魂の召喚か!! ならば・・・) ――ディフレクション!!――
ジ:おぉ―――!!(はじき返しおったか―――)
(そう――応接室――にて、あった事とは、まづ始めに『次元隔離』をして、部屋と、その外の時間を一端切り離し―――
しかるべくのちに、彼の者の正体を暴きにかかる―――と、いう婀陀那の戦略だったのです。
しかし―――、この中と、外がつながっていない状況下にあるとわかってか・・・その者は、次第に、自我を露してきたのです・・・。
そして、自分の喋り方に似てきたこと―――、自分の主には、出来ようもない ―――術の行使―――
そのいづれをも、目の当たりにした婀陀那は・・・)
ジ:(ぬぅぅ・・・それにしても、衣服がきついゆえに、どうにもままなら・・・) ん―――?
ザスン―――☆
ジ:・・・いかがいたした・・・。 剣を収めるには、まだはや―――
婀:これは・・・一体どういう事―――ですかな?
ジ:ナニが―――
婀:とぼけるのも、いい加減にしてもらいたい。
―――ジョカリーヌ=ベルゼビュート=イグレィシアス―――
殿。
ジ:ふぅんむ――――。 どうやら、分かってしもうたようですなぁ・・・。
いかにも、妾はジョカリーヌじゃ。 それで・・・一体いつ頃から・・・
婀:ふ・・・いつ頃・・・と、言われましても・・・。 妾が主は、そのような言葉遣い・・・ましてや、術などは、行使しませぬゆえに・・・。
ジ:成る程――。 これはうかつであったよのぅ―――。
婀:ところで―――、このようなバカげた事を、一体どこの誰が思いついたので―――?
ジ:バカげた事―――とは。(ククク・・・・)
婀:まさか―――よもや―――と、思いますが――――。
ジ:いかにも、そなたの主上じゃ。
婀:(ヤレヤレ・・・)やはり・・・・そういう事か・・・・。
ジ:おぉ―――っと、あまり誤解はせんで下され、かく云う、妾も、この 悪事 に、加担してしもうたのじゃからな・・・?
婀:ハハ・・・、ヤレヤレ、両者合意の下・・・とは、また、イタイところをつかれたわ・・・。
(自身の大剣、ジグムンドを地面に突き立て、まづ戦意の無くなった事を現し、ついで、消滅させたようです。
そして、その者の正体を、詳(つまび)らかにする婀陀那。
すると、その者も、こうなった経緯と、これが 悪い事 と、分かった上で、承知、了解をし、ここに来ている・・・と、したのです。)
ジ:さて・・・ところで、妾の身元が判明したところで、そなたはどうする・・・・
婀:・・・・・・。(パチンッ―――☆)
シュウウ・・・・
ジ:(む・・・っ?) そ、そなた、どうして今、次元隔離を解いた・・・
婀:――――以上です、女禍様。
ジ:(な・・・ぬ?)
婀:あなた様は、ここ最近、“部役会”にも顔を出さず・・・なにやらされておった・・・と、先程カン・ネイ殿より連絡がございましてなぁ・・・。
ジ:(ぶ・・・部役会・・・?)
婀:まぁ・・・あなた様は、神、ゆえに、何をされてもかまわぬのじゃが・・・最低限の事をしてもらわねば、
妾としても、かくまいきれませぬぞ?
ジ:(ま・・・まさか・・・この者、妾にこのまま芝居を続けよと・・・?)
し・・・しかし・・
婀:しかしも、案山子もございませぬ。 とりあえずは、今宵の、部役会に出て下され。
よいですな・・・。
ジ:う゛〜〜むむぅ・・・。
婀:では、失礼―――。 これは、姐上、いかがされたので―――?
お:え゛っ?!いぇ―――その―――それより、婀陀那ちゃんこそ、ここを次元隔離して、何を話しているもの・・・かと、思いまして・・・。
婀:そうでございましたか・・・。 いえ、別に・・・ここのところ、女禍様が、ご自分の任を放り出されておりましてな・・・
しかも、天上での話し・・・ゆえに、聞かれたくない・・・コトもままあるわけでして・・・。
お:そ、そうでしたの・・・。 お、おほほほ、ごめんなさい・・・。
婀:いえいえ、姐上が謝られることは、少しもございませぬ。
逆に、こういうことをせねばならなくなった、女禍様にも、責の一端はあるわけ・・・でしてなぁ・・・・。(ジロ)
ジ:(む・・・) ど、どうもすみません・・・にゃりん・・・・。
お:(あ・・・はは・・・) ど、どうも――――。
(そして、婀陀那が、急に次元隔離を解き―――あたかも、自分の主に促すような事を言い出した事―――の、背景には、
この、応接室・・・と、言う、限られた異空間の外で、どうも聞き耳を立てている存在がいる・・・と、カンが鋭く働いたからのようです。
そして、それは危惧していた通り・・・おひぃさんその人だったようで―――
まづ一つには、彼女をどうにかしないと、ここではやりづらくなる・・・事を、目配せでジョカリーヌ様に伝えたようですが・・・
この方もさる者、その意図をすばやく察し、体よく謝ったようです。
こうされては、おひぃさんも、疑う余地などなくなり―――きまづい雰囲気にならぬよう、楚々・・・と、その場を去ったようです。)
婀:(ふぅ―――さすがは、姐上じゃ・・・いち早くかぎつけおるとは・・・)
ジ:あの者は―――
婀:(うん?) 妾をして、姐上と呼ばせていただいておる御仁・・・ここで、一番に気をつけねばならない存在でございますよ・・・。
ジ:あの洞察力―――・・・・ヱルミナ―ル殿・・・の、ようじゃな・・・。
婀:(ヱルミナ―ル・・・) その者は確か―――
ジ:お・・・っ、これはいらぬこと・・・でしたかな。
婀:いえ、特・・には。 それより――――先程から見ておって、なんなのですが・・・少々サイズが、きつめではありませぬか?
ジ:うぅむ・・・・実はそうなのじゃ、これでは、あまり激しく体を動かせてしまうと、はじけてしまいそうでのぅ・・・。
婀:然様ですか――――こういうこと・・・妾達以外には・・・・
ジ:分かりませぬものよ・・・・
婀・ジ:なぁ〜〜〜〜。(はぁぅ・・・)
婀:では・・・妾のところより、よさそうなのを見繕いまして・・・貸して差し上げますよ。
ジ:おぉ―――それは願ったりもない―――。 感謝、いたしておりまするぞ・・・。
婀:いいえ・・・お互い様―――で、ございますがゆえに。
(そうして、彼女達は、一路婀陀那の住まう・・・森野邸へ・・・)