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(それから―――時は瞬く間に流れ、二週間の後・・・)
ジ:ふぅむ――――
婀:これは、Joka殿、おはようにございます―――。
ジ:うん?うむ――――。
婀:あの・・・いかがなされたので?
ジ:いや、詮なきことにゃすが・・・もう、約束の二週間が来るのだにゃ〜〜。
婀:なんと・・・そうでありましたか・・・。 いや、それにしても、だいぶその喋り方は、板についてきた・・・と、思うておったのですが・・・。
ジ:なんと・・・そうでありんしたか。 いやはや、この口癖も、慣れてみれば、抵抗感のない、実に可愛らしいものではありますかな。
婀:然様で―――まことに惜しい・・・ですな。
ジ:あ――――っ!言ったにゃそね〜?
婀:(ぷ・・・っ)それそれ・・・
ジ・婀:あ――――っはっはっは!
ジ:・・・ところで、おひぃさんは、どこに行ったのですかなぁ。
婀:ああ・・・姐上でしたら、コみゅ殿と、乃亜殿と、お使いに出ておる次第でございまするが?
ジ:ふぅむ・・・では、今をおいて、時機(とき)はないと見ゆるか・・・
婀:そうですか・・・何か、名残惜しい気はいたしますが・・・
ジ:まぁ、妾は、妾なりの我儘が出来たことで、満足はしておりまするよ・・・では・・・。(ヴァゥゥ・・・ン・・)
婀:それでは、また、気が向いたときには、こちらに赴いてみて下され・・・
ジ:ふふ・・・承知、承知・・・。
(そして―――次元転送の穴より、自世界に帰ろうか・・・・と、まさに、穴に脚を入れようとしたその時!)
サ:たっ―――大変だ!!
ジ:むっ?!(シュゥゥ・・・ン)
婀:いかがしたのじゃ、サヤ殿。
サ:あっ、ああ―――よかった、婀陀那に・・・Joka、あんた達が一緒で・・・
婀:む―――何か・・・あったのですか・・・?
サ:ああ―――おちびちゃんと、おひぃのヤツがな―――
婀:な、何?姐上が??
サ:ああ、とにかく、お稲荷さんに来てくれ―――!
(そう―――そこへ・・・ギルドへ、息せきりながら駆け込んできた者は、
狩り手の一員でもあり、この、ギルドの職員の一人でもある、サヤだったのです。
しかし、そのサヤの言うには、どうやら、一緒にお使いに出ていた、おひぃさんと、コみゅ・乃亜ちゃん達に、一大事があった・・・とのこと、
その事に色をなし、現場の『最上稲荷』に来てみれば――――)
婀:姐上――――姐上――――姐上はどこに・・・(ハ・・・ッ)あ、姐・・・・上・・・。(ガク・・・)
(そう・・・そこには既に、日頃から、―――姐上―――と、呼んでいる、女性の姿はなく・・・
ただ・・・人形のように、横たわっていた、おひぃさんの姿が・・・・確認されたわけなのです。
そして、婀陀那は、素早く彼女の傍に駆け寄り―――何かの間違いではないか―――と、確認のために、体を揺り動かしては見るものの・・・)
婀:姐上―――姐上―――! お気を確かに・・・妾です・・・婀陀那ですぞ―――!!! 姐上・・・姐上ぇ!!
サ:ムダだよ・・・婀陀那・・・さっき、オレも、何かの間違いか・・・と、思って、生体反応を調べてみたんだけど・・・
残念だが・・・・何一つ反応しやしない・・・・
婀:何をバカな―――先程まで、元気に笑っておられたお方が・・・どうしてこういぅ・・・・お主・・・驍様・・・
なぜ・・・そなたがここに・・・
ス:・・・・すまない・・・婀陀那っち・・・ワシがついておきながら・・・
コ:みゅぅぅ・・・(ぐし・・・)
乃:・・・みぅぅ・・・。(ぽろぽろ・・・)
婀:そ、それに・・・コみゅ殿・・・乃亜殿まで・・・う、ウソ・・・であろ・・・う?
サ:いや―――残念だが・・・その時、現場に居合わせた、こいつ等の証言は、皆一致している・・・
“何者かの影と・・・おひぃの影が一緒になったとき・・・
おひぃは力なく、その場に倒れこみ・・・
その後、何をしようが目覚めることはない・・・”
サ:そういう―――存在になってしまった―――ってな・・・。
婀:(ッっ―――く!)信じぬ!妾は・・・信じぬぞ!!
(そこに横たわる―――まるで、骸のような存在に―――その事を、享受しきれぬ婀陀那は、またも意外なる存在―――ステラの存在を目にしたのです。
そして、彼の側には、なぜか、泣いているここ(最上稲荷)の主・・・コみゅと、乃亜の存在が・・・・
その表情に・・・・つい過(よ)ぎってしまう、いやな予感・・・・しかし、その予感さえも振り払おうとする婀陀那・・・
しかし――――ここで、一緒についてきていた、ジョカリーヌ様が、おひぃさんの側に寄り、彼女なりに調べたようです・・・
ところが・・・)
ジ:(スッ・・・スッ・・・スッ・・・・・)(ふぅむ・・・脈拍も、呼気も、その総てが閉じておる・・・それに・・・生気のほうも、もはや・・・)
確かに・・・サヤ殿の言っておることは、正しくはある―――
婀:(ナ・ナニ―――)ジ、ジョカリーヌ殿!そなたまで!!
ス:(ナニ・・・?)
サ:(なんっ・・・だって?)
コ:(み、みゅ?)
乃:(・・・・ジョカリーヌ・・・)
ジ:(ジロ・・・)ふっ・・・まあよいわ。 じゃが、妾をして、言い換えさせてもらえるなら、このお方は“死”してはおらぬ。
婀:(う・・・っ・・・) ・・・・・な、なんと、それは真か?
ジ:うむ・・・じゃが・・・魂を抜き取られておる、という存在には変わりはない。
ゆえに、肉体がそういう状態になっておるまでの事・・・。
婀:(ほっ・・・) そ、そうでしたか・・・あぁ―――よかった・・・(ホロ・・・・)
ジ:・・・・が、未だ予断は赦されぬ、何しろ魂を抜かれておいでなのじゃからな・・・このままでは、非常に危険すぎる・・・
どれ・・・・ここは妾が・・・(カリ・・・・ツィ――――)
サ:(んな・・・こいつ、自分の指を喰い破って・・・)
ス:(こ、これは・・・・)
コ:(何か・・・の、魔法陣?)
乃:(・・・・いのちの、ひじゅつ・・・・)
(ジョカリーヌ様が、彼女なりに調べ上げた結果は、おひぃさんは、魔なる者に、魂を持ち去られたとの事、
それゆえに、肉体は仮死状態に陥り・・・脈も、呼吸もしていない・・・と、言う事だったのです。
しかし、その際に、つい、思わず婀陀那が、口を滑らせた、あるワードに、ジョカリーヌ様は、一時 むっ とされたのですが・・・
おひぃさんを・・・彼女を、親友以上に思っている、婀陀那を前に、大事の前の小事よ・・・と、それは捨て置いたようです。
そして、早々に手を打てば何とかなる・・・との話を聞き、ほっとするあまり、落涙する婀陀那が・・・
そこで、ジョカリーヌ様が、とった手段・・・とは、御ン自らの指を喰い破って、魔方陣を形成させた事・・・
しかし、それは・・・乃亜ちゃんのいっていた通り、――命の秘術〔ライフリング・リサイクル〕――の、超高等魔術だったのです。
そして・・・)
ふわ・・・・ ぽうっ
お:・・・・・。(トク・・・トク・・ン・・・)
婀:(う・・・ん?) あ、姐上のお顔が・・・微かに赤みを帯びられて・・(ス・・・・)
そ・・・それに!脈のほうも!! こ、これは!!?
ジ:・・・何も、そう、不思議がられる事ではない。
一時的な処置にせよ、今、この場に漂う素魂を召喚し、この者の、体内に取り入れたまでの事・・・
ス:んな・・・す、素魂・・って・・・
ジ:・・・フフ―――心配されずとも、実害のないよう、制限はさせてもらっておる。
確かに、素魂とは、何者かの霊魂であって、その者自身ではない・・・
されど、そのままにしておいたのであっては、真に、この者の魂を取り戻した、としても、
肉体の機能を失ったままであり、本末転倒になりかねん。
ゆえに、それは、体の動作機能をさせない代わりに、基本的機能のみ・・・つまりは、呼吸や、脈動などを動かさせているのじゃよ。
乃:・・・・それゆえの、さきほどの、あの、じゅつしき・・・・。
ジ:(フッ・・・) 然様―――、どうやら、そこの小さいお子の方が、よくご理解できておるようじゃ・・・
乃:・・・・・ありがとう・・・・。