すぺっしある
其の四
≪前編≫
蠢動セシ者
<一>
〔ここは、この街にある『教会』、そして、そこに集う――退魔の戦士――
サヤ・ナオミ・臾魅・バーディ・シホ
の、五人である・・・。
そこで、彼女達は、とある対策に、苦慮していたのです。
それは一体・・・何? それは・・・この町の、 “港” に、出来つつあると言う、 『拠点』 と、言われるモノの存在・・・
当初は、ピンホール程度の穴が、放っておくことにより・・・“魔界の入り口”と、呼ばれるくらいの、大きなものに成長―――
その、『拠点』と呼ばれるのは、それまでの“中間点”であり・・・
これまで、この街においての、妖魎達の跋扈は、その殆どが、ここから排出していたであろう・・・事は、想像に難くはなかったようです。
その―――ミーティング中にて―――〕
バ:皆も分かっているように、ここの港に 拠点 が、出来つつある。
ようは、これにどう対処するか・・・だが・・・。
臾:そんなん、ぶっ潰しちまえば、簡単やないんですか?
サ:バ〜〜カ、そんなに簡単に済む問題ならな、何もオレ達が、ここでこうして、腕組みをして、考える事なんざしなくてもいいんだよ。
臾:は――― そら、どーしてです?
バ:・・・・・圧倒的な、人員の不足・・・。
臾:へっ??
バ:忘れたのか・・・今、お前達は、基礎鍛錬の真っ最中だという事を・・・
それには、私もついていることだし、実質上動けるのは、サヤのヤツだけなんだぞ?
臾:も・・・元締めがおるやないですか・・・
バ:そうかぁ〜? 実際・・・その地区の監督官的存在の“元締め”が動くの・・・って、そう聞いた事がないぞ??
臾:せ・・・せやかてなァ・・・なあ、アミさんも、なんかゆうたってぇな。
ナ:えっ?アタシ・・・? いや・・・アタシは・・・なんも・・・
バ:(はァぁ〜〜・・・ヤレヤレ、こいつは、相当に重症だねぇ・・・)
しかし・・・なあ、シホよ・・・。
マ:うむ、そうだな・・・とりあえずは、仕方があるまい。
この拠点に対処する時だけ、一時的な、基礎鍛錬の解除を命じよう。
サ:ふぅぅ〜〜そいつは、助かるねぇ〜。
第一、そいつをオレ一人でしろ・・・って言われたら、どうしようかと思ったぜ。
臾:は・・・ドンでも、そう思うときがあんのや?
サ:ヘっ――― これだもんなぁ・・・いいよな、単純思考のヤツは・・・
臾:(ムッ!)そっらぁ〜どういう意味やン?!!
サ:お前・・・そういえば、以前に、レベルがAに近しいBのヤツに、100匹ちかく囲まれた事があったよなァ・・・・
臾:えっ?魔、まあ・・・そら、なあ・・・・。
いっやぁ〜あん時は、往生したもんでっせ?
サ:そうか・・・じゃあな、今度のは、それに二乗したもんと考えろ・・・
臾:(二乗・・・?)・・・・って、200でっか?
バ:バカ!二乗っつったら、100X100だ!!
臾:(100X100?)えぇ〜っと・・・・・・・で、ええ゛―――っ?? い、10,000やてぇ〜?!!
サ:そうだ・・・それを、一人でやれ・・・っつったらどーする?
臾:は・・・・わ゛・・・・
マ:(フ・・・)どうやら、想像に難くはなかったようだな。
まあ、実際のところ、全盛期の私達でも、骨が折れたことには間違いはないことだ。
臾:えっ?! 元締めん時の・・・『死天王』・・・でも、でっかあ?!
マ:まあ・・・その時は、常に ツー・マンセル だったが・・・今回はそうもいかん、
私達全員で動く事になるだろう・・・
まあ、ここで、悩んでいても、何も始まらない、ピン・ホールは小さいうちに埋めておいたほうが、無難なものだ。
では、これより、速やかに状況を開始せよ。
〔このとき・・・・速やかに下った断・・・とは、『拠点潰し』と、言われるそれであり・・・・
(いや、この場合は、まだそうなる前の段階、ではあるのだが・・・)
それに際し、臾魅・ナオミに課せられていた、基礎鍛錬も一時中断、
そして、それを担当していたバーディも、その時点をもって、現場復帰した模様なのです。
(一時的・・・とは、まだ基礎鍛錬は終わっていない・・・と、いうこと。)
そして、それぞれの棲み家へと戻る 狩り手 の者達・・・・
しかし―――
それを見つめている・・・小さな、小さな視線が・・・・・この教会の、天井に存在していたのです・・・・。
キイキイ―――
ぱたぱたぱた・・・・・
その・・・小さな視線の正体とは・・・
紅い―――
それも
鮮血のような色をした目を持つ―――
一羽の
―――コウモリ―――
だったのです。
そして、そのコウモリは、サヤ達『狩り手』のメンバーが、この協会を離れると同時に、どこかへと羽ばたいていったようです・・・・・。〕