<十二>

 

 

―――蓬莱山にて―――

 

 

R:へぇ〜〜、いいとこだねぇ、ムダにただっぴろいし、

これなら、多少の傷は、自然に治癒できる・・・・

 

L:さて、それでは、早速始めるとしましょう。

  と、その前に・・・彼女の意識を、開放させとかないと。

 

バ:どうして、そんなことを?

 

L:え?やっぱり――― 自分の身に、何が起きてるのか、知っておくのには、いい機会でしょうから。

 

R:でも――― 意識は開放しちまっても、制御のほうはこっちに移ってるから・・・・

  案外、気持ち悪いかもよ?

 

 

〔自分の身に起こっている事を、認識してもらうために、一時的に眠らせておいた、ナオミの人格を醒まさせるようです。

(でも・・・=ノヴァ・ハーツ=の制御のほうは、端末に移行させてるようですが・・・・)〕

 

 

バ:それは――― どういう事??

 

L:それは・・・・こういうことです。(パチン―――☆)

 

ヴイィィィ・・・・

 

ナ:・・・・(ハッ!!) あ・・・・っ、こ、ここは? ほ・・・蓬莱山?

  どうして・・・アタシがここに?

 

バ:ナ、ナオミ??

ナ:バ、バーディーさん?

 

バ:な、なあ・・・これは一体、どういう―――

 

L:簡単な事です。

  データとして圧縮していた人格を、呼び覚ませただけ・・・ですが、彼女は紛れもなく、彼女本人ですよ・・・・。

 

  それでは、ディアナさん、お願いね?

 

R:ホイホイ、まかしといて・・・・・(ひょいっ)

  さぁ〜て・・・・それじゃあ、一つ、参りましょうかい・・・・

 

バ:(あの構え・・・・)け、剣士・・・?

 

R:いっくゼぇ〜〜〜〜ッ!そりゃあ!おぉりゃあ!!

 

ガキィ〜〜―――〜〜ン          ガキィ――――ン                   カシィィ―――――ン

 

ナ:う・・・うわわぁ〜っ?! な、なにを・・・(って??) こ・・・この――― この右腕は??!

 

 

〔それから、ディアナさん、その辺に落ちている棒切れを拾い、剣を構えるように構えたようです。(まぁ・・・彼女は・・・・・ですからねぇ?(^^;;)

 

そして、そこから繰り出される、怒涛の三連撃!

でも・・・その危険を、いち早く察したノヴァ・ハーツが、瞬時に、ナオミの右腕を剣に換え、防ぎきった模様です。〕

 

 

バ:あぁ――――っ・・・ナ、ナオミの右腕が・・・剣に??

 

ナ:お、おい―――っ! ど〜なってんだ?こいつは・・・なんで、アタシの腕が・・・・

  これじゃあまるで 『T2』の、“T−1000” じゃあないか!!?

 

バ:はぁ―――? (・・・ッッ・・・クッ!!) ナ、ナオミ・・・・?

ナ:は、はい―――

 

バ:お前・・・・随分と余裕があるようだなァ?(クックックッ・・・・)

 

ナ:えっ???ど、どーしてです? あ、アタシは、自分でも何がなんだか―――

 

 

〔でも―――、この突然な事に、ナオミはつい、こう言ってしまったのです。

『ターミ●ーター2』の“T−1000”

(変幻自在のあの悪役よ・・・(^^;;)

と・・・。

しかも、この一言は、真剣に彼女の身を心配していた、バーディーの つぼ をイタく刺激してしまい、

ナオミをこれ以上心配するのは、杞憂と判断したらしく・・・・〕

 

 

R:なぁ・・・・どうなってる?

L:異常、ないわよ・・・・まさに、理想的ね。

 

バ:なぁ・・・あんた達。

 

L:(あっ・・・)はい、なんでしょう?

バ:あいつなら・・・・気の済むまで、いぢり倒してくれても、構わないょ―――

 

ナ:(へっ???) ば・・・・バーディーさん???

 

バ:あんな体にされて・・・いたく落ち込んでるものと思いきや・・・・

  気の利いたアメリカン=ジョークまで出る余裕ッぷりですからね・・・

  なんだか、真剣に、あいつの身を案じていたこっちがバカみたいですよ・・・・

 

  だから、どんどんやってもらって構わないですよ―――

 

ナ:(ホヘ・・・・)(←呆然)

 

R:へぇ〜〜〜あんたの上司、案外話の分かってくれるので、助かったよ・・・

 

ナ:(な・・・なんで?どゆ事?つまり・・・・あたしは身を売られたッてぇ事??

ジ、ジョーダンぢゃあないよ! こ、ここはひとまづ・・・・)

 

ダ・・・・ッ!

 

L:あっ・・・逃げちゃった・・・・

 

バ:(フ・・・ッ)私がいるのに・・・かい? 甘いよ!ナオミ!! そら―――っ!

 

ヒュヒュ・・・              ヒュゥゥ・・・・・ン

カシャッ☆                                                                          カシャン☆

 

 

〔そして、ナオミの事を、『気の済むまで、調べていい』とは・・・

ディアナさんのいうように、“話の分かる上司”とも、取れなくはないのですが・・・・

 

当事者本人にとっては、全くといっていいほどいい迷惑なので、一言も発することなく、その場を離脱しようとするナオミがいたのですが・・・・

でも、運の悪いことに、上司であるバーディーさんに見つかって、手錠を投げつけられ、捕縛されたようです。〕

 

 

ナ:う、うわっ?!(ドサッ)

  な―――、なにすんですかッ!バーディーさんっ! アタシに手錠かける―――なんてっ!外して下さいよ!!

 

バ:ああ―――構わないよ? この人達に、協力する――――ってんならな?

ナ:そ―――そんなぁ〜・・・・(とほほ・・・)

 

L:でも・・・・そんなに悲観する事はないですよ―――

ナ:え・・・・っ、どうして―――(ぐす・・・)

 

L:この程度の・・・・簡易なものなら――― ほら、人差し指を、この鍵穴に刺してみてください。

ナ:え――― は、はい・・・。

 

ス・・・・                             カチャカチャ・・・・             カチン―――☆

 

ナ:あ―――・・・あれれ? あ、アタシの―――アタシの指、手錠の鍵になっちゃった・・・・

 

バ:へぇ〜、便利な機能もあったもんだなぁ。

 

L:それには、パス・ワードや、指紋・網膜照合を必要とする、高度なデジタル・ロックシステムから、普通の南京錠の鍵まで、

  すべてのロックを解除できるものが、組み込まれています。

 

R:まあ・・・・今回のは、簡単なもんだったけどな・・・

 

ナ:へ・・・へぇ〜〜・・・。

そ、それじゃあ・・・アタシ、『ロック・バスター』でも、やってけるのかなぁ・・・

 

バ:(プッ!)こいつ・・・・

 

L:・・・・よかったわね、ショックが大きくなくて・・・・

R:ああ・・・・そうだね。

 

 

〔そして、またも発覚した、ノヴァ・ハーツの便利機能。(便利・・・?(^^;;)

 

それは、今の手錠の開錠に見られるように、

こういった簡単な錠前のものから、パス・ワードや、指紋照合などの、高度なシステムを有する、総てのロック・システムの・・・

―――無効化―――

 

そう・・・・つまりは、これならうっかりと車の中にキーを忘れたり―――― とか、家の鍵を落として失くした―――― 時とかに、

必ず一家に一台!あれば――― とても便利!

今では、この『ゼルゲンハイム印のノヴァ・ハーツ』を、ジャ●゜ネット・タ●タの特別奉仕価格で、

¥198,000,000

一括払いはもとより、無金利の60回分割も取り扱っており、大変、お買い求めやすくなッて・・・・〕

 

 

R:(って・・・・確かに、語呂のいい イチ・キュッ・パー なんだけどもねぇ〜・・・・)

ナ:(一億・・・なんて、あたしら庶民には、高すぎ・・・・まあ、タケ坊のとこなら、苦もないんだろーけど・・・)

バ:(ってゅうか・・・・なんで、通販の広告がぁ〜?)

L:(で・・・でも・・・ろ、60回分割でも・・・・一回が300万超えてんぢゃーないの・・・)

 

 

〔すんませン・・・・話の筋が横道逸れました・・・・。

 

―――と、まあ、その便利な機能を見るにつけ、先程の不安顔はどこへやら・・・・のナオミ、

その表情を垣間見て、ミナール主任と、ディアナさんも、ほっと一安心の安堵顔のようです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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