<五>

 

バ:な・・・何?!し、“真祖”だと? そんな上級の魔者が・・・同じく魔なる者を?

 

ヴ:し―――真祖?! な・・・ナゼ・・・・ナゼ、お前のような存在がああっ!!

 

吸:ふふ―――

 

        ・・・・っ                  バシュウゥッ!

 

バ:ン・・・・な・・・(こ、こいつ・・・自分の魔力で・・・黒きローブを??)

 

吸:(クスクス―――) さあァ・・・・行って、残りを吸い尽くしておやり・・・

 

 

ドシュ ッ                  ブシュ ッ                  ズシュ                     ザシュ ッ

ぐああ―――!                                  ぎゃあぁ―――!                              ふぅああぁ―――!

 

 

グ:あっ!く・・・クソ・・・・おのれえぇ〜〜

吸:(ふん!) そぅら・・・

 

ど ず っ

じゅるルル・・・・・             どくん――――!        どくん――――!

 

 

バ:は・・・・あ・あ・・・。

  (ま、まただ・・・この――ヴァンパイア――先程より、吸血する時には、あの牙からではなく・・・

  手や、髪の毛・・・そして、あのローブから・・・で、済ませている・・・なんて・・・

  し、新種なのか?それとも・・・あれが、“真祖”のなせる業???)

 

 

〔そう――― その存在は、確かに、自分の事を、“ヴァンパイア”であり、その中でも、特に魔力の高い“真祖”だと言ったのです。

そして、その“真祖”自分の強大な魔力で、一紡ぎの黒きローブ・・・『宵闇のローブ』を創り出したようです。

 

それから――― この“真祖”は、自分の口より生えている、その牙を一切使わずに、魔なる者の生血(しょうけつ)を、啜り始めたのです。

 

そして―――〕

 

 

ヴ:う・・・・うぅ・・・お、おのれえぇい!!

吸:(フフフ・・・)どう?分かった? 小賢しいお前のような分際が、この私に楯突くなど、笑止千万!!

  死んで反省(こうかい)しな!!

 

ヴ:ほざけえぇ!! わが手下を滅したくらいで、いい気になるなあぁ!!  ぐぉおお!

吸:(むっ! ・・・・これは、“イリュージョン”・・・) ふ・・・・面白い!!

 

 

〔後に残る者は、ヴィアド一匹、でも、彼の者は、痩せても枯れても、レベル『AA』。

このまま、すんなりと終わらせるはずもなく、自己の能力、『イリュージョン』≪幻惑≫を用いて、この吸血鬼の“真祖”に、挑みかかるようです。〕

 

 

ガキ――――ン!☆

 

 

吸:おぉ――――ッ・・・・と(ぐら・・・)

キラ―――――ン☆

 

バ:(やはり・・・ヴァンパイアの真祖とはいえ・・・あの華奢な体で、ヴィアドと力比べをするのは―――)

  ん―――? おや・・・あの者の、胸元に光るのは・・・・ペンダント? それも・・・・紅い石・・・??

 

 

ヴ:ふははは!所詮、お前のような、やせぎすな体で、ワレに対抗するなど―――

吸:ふん――――なぁンだ、この程度か・・・・

 

ヴ:な、なんだと? おのれ・・・負け惜しみを!! ひねり潰してくれるあぁ!

 

吸:ほざけ! もう少しできる―――と、思い、期待しておいたが・・・・今ので分かった。

  もう、ここにいるというのもムダだ――― “闇の中に、葬り去ってくれる!!”

 

  いでよ!『封鞭』  そして―――喰らうがいい!

=インフィニティアー・サーペント=

 

 

〔その――― ヴァンパイアの“真祖”の胸元から、ちらりとのぞいたのは、

その者の瞳と、全く同じ色―――『クリムゾン・レッド』の宝石をあつらえた、ペンダントが――――

 

しかも、ヴィアドを葬った、彼の者の『武器』と、その『技』・・・・まさか―――この、ヴァンパイアの“真祖”は――――?!〕

 

 

バ:(こっ――― こいつ・・・今、鞭を?? それを・・・・今までに出さなかった・・・・っていうのは・・・・)

 

 

吸:ふぅ〜〜〜・・・・。

  (まあ・・・一応は終わらせたけど・・・勢いとはいえ・・・・ねぇ〜〜〜。

  この程度に、時間かけちゃッて・・・・あの人に知れたら、なんて嫌みをいわれるか・・・・)

 

  ―――――って、あら?

 

バ:(だが―――いづれにせよ、次は、私たちの番ッ!!) 来るなら・・・・来るがいい!!

 

吸:(あハハ――― つい、勢いであんな事、言っちゃったもんだから・・・・

この人、私の事を、すんごく警戒しちゃってるわ・・・・どうしようかしら???)

 

バ:(よもや――― 真祖に、こんな手が通じるとは思わないが―――)

さ っ !

 

吸:(おっ! グッド・タイミング!!)

  ――――くっ! じゅ・・・・十字架とは――― ここは、一旦退くに限る!!

バシュウゥゥ・・・・

 

 

バ:は・・・・ぁぁ・・・・。(き、効いた・・・・)

  ヤレヤレ、とんだ災難だったな。

 

 

〔なんと、その真祖は、ヴィアドを葬る能力を有していた・・・と、いうのに、

バーディーが、苦し紛れに出した 十字架 を見て、退散した模様です。

(・・・・とは言っても、どうやって退散したほうがいいか――― を、思案していた時に、出されたもんだから・・・・

まぁ、要するに、『渡りに船』だった・・・・ってことですね。)

 

そして――― その日の夜が、白々と明け――― 他の仲間達も、激闘を終えた、その後で――――〕

 

 

サ:オぅ、どうした、バーディー。

バ:あぁ――― なんだ、サヤか・・・・。

 

サ:あァ? なんだ・・・は、ないだろうがよ。

バ:あぁ――― すまない・・・。  なァ・・・・サヤ。

 

サ:ん? どうした―――

バ:お前・・・自分以外で、同族を、狩っているヤツの事を、知ってるか?

 

サ:・・・・・いや。 第一、そんな物好き、このオレ以外には、いネーだろうしなぁ。

バ:そうか――― だよな。

  それから、あと・・・・――真祖――ってのは、手や、髪からでも、吸血するものなのか?

 

サ:ああ゛?!真祖が?? おめェ―――ふざけてんのか?! なんだって、そんな手品みたいな事を・・・・

バ:そうか―――― だよな。

  (でも・・・・だったら、あの時、私が見たもの・・・・とは、一体なんだったんだ??)

 

 

〔サヤ・臾魅・シホも、自分が担当した場所の、制圧を完了したようですが・・・

いつまで経っても、集合地点に来ない、バーディ・ナオミのところにきたみたいです。

 

すると――― 実は、そこが最も激戦区だったようで――― まあ、レベルAAの者が、出てきたわけですから、無理もなかったことですが―――

そして、見てみれば、ナオミは気を失っているし、バーディーも、必要以上の、能力の開放のしすぎで、へたれこんでいるし・・・・

どう見ても、彼女達二人で、殲滅できた―――というのは、不思議な事だったのです。

 

 

 

その一方で―――― ギルドでは、実はこんな事があったのです。

 

目には眼鏡

ラズベリー色をしたスーツを ビシッ! と着こなした

まさに、バリバリの キャリア・ウーマン風の女性 が・・・

ここに、訪ねてきたようです・・・・。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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