<伍>

 

 

〔すると―――・・・実にこの時だったのです・・・。

そう・・・婀陀那とステラが、ディアナさんとミーナル主任がその場にいないことに気付いたのと―――・・・

いまだ現場から帰ってこない、部下であり同僚のナオミと、連絡か繋がった――――・・・

 

それと時機(とき)を同じくして、空を引き裂くような雄叫びが、彼女達のいる本陣を揺るがしたのは―――!!〕

 

 

ぐギャァ―――――ォおん!!

 

ず・・・ず・・・・・・・ん

 

 

お:(ぇ―――ぇえっ?!)な、なんですっ・・・・

婀:(っっ・・・く!!)ぇえい!なにごとじゃ!!

 

マ:(この―――・・・嘶(いなな)き!!) ルシファー・クロウか―――?!!

婀:な―――・・・ナニ?? ルシファー・クロウじゃと?? ナゼに、魔界の・・・しかも、上位の魔獣がこんなところに―――?!!

  それに、“穴”は塞いできたのじゃぞ―――?!!

 

ス:じゃあ―――・・・なんで??

 

 

バ:っっ・・・く!

ナ:≪――バーディーさん!! 何してるんですか!!――≫

 

バ:あっ・・・あぁ・・・ナオミ――― 何をしてる・・って、ヤツらに強襲されてるんだよ―――!!

  穴は塞いだって言うのに・・・・

ナ:≪――バーディーさんこそ、“穴”に現れなかったじゃないですか!! お蔭でこっちは・・・・――≫

 

バ:な―――・・・ナニ?? どういうことだ??それは―――・・・・

ナ:≪――それは、こっちが聞きたいですよ!!――≫

 

バ:分かった―――! 話しは後で聞くから、今はこっちに戻って来い―――!

 

 

マ:誰からだ、バルディア!!

バ:ナオミからだよ――― どうも、解せない事を言いやがる・・・あいつが教えた地点に私達は現れずに、今はあいつが・・・

  ―――・・・と、いうことは・・・??

 

ス:し―――・・・しかし、ワシ達が見た時には、ちゃんと500mって・・・

コ:あたしも見たみゅ。

乃:・・・あたちもみぅ・・・・。

J:そゆ・・・あたしだって・・・・

 

婀:(女禍様までも??) どういうことじゃ―――

マ:まさか―――・・・データーを改ざんされたのでは・・・

 

婀:改ざん?? いったい何ヤツが―――・・・

 

 

〔それは、無論ステラでもなければ、ナオミでもない―――・・・

だとしたなら、一体誰がデーターの改ざんをしたというのでしょうか・・・・

 

やはり―――・・・それは・・・・〕

 

 

臾:やっぱ――― あの機関のお二人さんとちゃうねンやろか――・・・

お:あの二人―――・・・って・・・ま、まさか――― ディアナさんとミーナルさんの事??

 

臾:だって―――・・・そやろ?? 第一、今のこの場にいてへんもん・・・・

お:あ・・・あの人達は違いますっ――!! そんなこと、断じて―――!!

 

臾:いえへん―――っちゅうて、いえますのん? なぁ・・・ドン。

サ:・・・・・オレも、賛成だな・・・。

 

臾:せやろ〜〜?

サ:いや・・・お前じゃあねぇ、おひぃの方にさ・・・

 

臾:い゛?!! な・・・なんでやねん〜〜〜!

お:(さ・・・サヤさん・・・)

 

 

サ:何でかってな―――・・・そりゃあさ、お前・・・聞こえねえのか・・・外でやりあってるやつらをよ―――・・・!!

 

臾:な―――・・・なんやてぇ??

お:(外!!)

 

 

〔今、この場所にいない二人・・・ディアナとミーナルの事を疑いだした者を・・・

彼女達はそうではないと、一番に否定したのは、おひぃさんと・・・なんとサヤだったのです。

 

その事をいぶかしんだ臾魅は、どうしてか、その理由をサヤに尋ねてみれば、なんとも思いがけない返事・・・・

 

そう、この本陣を襲っている者達を、その外で迎え撃っている者達の存在を、知らしめたのです。

 

 

そして―――・・・その事を確認すべく、おひぃさんが、本陣の天幕から出てみれば―――!!

 

身に余る大剣を振りかざし・・・

その双眸には

『エメラルド・グリーン』『ピジョン・ブラッド』

を宿した

 

一人の女傑が―――・・・

 

既に、襲ってきていた魔物の二・三匹と、斬り結んでいたのです。

 

その姿を確認し終えたおひぃさんは―――・・・・〕

 

 

お:ぁあ――――っ!! あなた―――!!

 

R:へへ――――っ、ようやく・・・外の異変を、かぎつけたかい・・・それにしても、しばらくぶりっ―――☆

 

臾:あり?? ディアナ・・・はん??

 

R:(ち――――っちっちっちっ・・・)そいつは、さっきでおさらば・・・さぁて、ウォーム・アップも済ませたところで・・・

  どっからでもかかってきな―――! こっから先は、この・・・

アルディナ=フォン=ガラティーナ

  が、お相手して差し上げるぜ!! 喰ぅらいなっ!!

〜その鋭き刃を、もってなさん〜

=サンダルフォン・スレイバー=

 

 

お:ぁあ・・・あれは!!

マ:(むぅ・・・)付与魔術(エンチャント・マジック)・・・・しかも、あれは相当に高度なものだ・・・

  それに・・・

 

婀:とうとう我慢しきれず、出てきたようですな・・・

J:ン〜〜―――そのようだにゃ〜〜・・・

 

臾:アレ・・・って・・・向こうのアダナはん??

サ:そうだよ・・・お前、気付かなかったんか??

 

臾:(え゛・・・)ゆ・・・ゅぅ〜〜〜て、ドンわかっとったんかい??

サ:――――ったりめーだろがよ、少なくとも、拳を交わした者同士、その時にわからなけりゃ、お前も一人前とはいえねぇぜ。

 

 

〔そう――― その件(くだり)の人物こそ、 アルディナ=フォン=ガラティーナ その人だったのであります。

(ほらっ――! そこ! あ〜〜―――やっぱしぃ? なんてなこと言わんのっ!!)

 

でも・・・? そうすると、もうお一方は??〕

 

 

コ:あっ―――!! もう一人のアダナさんみゅ〜〜――♡

乃:・・・がんばってみぅ♡・・・・。

 

お:ちょっと!あなた達・・・危ないからでちゃダメ・・・・

 

 

バ:(あ・・ッ!!) 危ない!おひぃさん!!

 

 

〔それは、実にその時の事だったのです―――・・・

 

小さい二人、コみゅと乃亜ちゃんを下がらせようと、おひぃさんが、彼女達のほうを振り向くのに、視線を逸らせた――――・・・・

その隙を狙って、上空から襲い掛かろうとした、黒き翼を持った亜人間<デミ・ヒューマン> レイヴン が、おひぃさんの陰に潜みし者に囚われたのは・・・〕

 

 

レ:ぐげ・・・・・ごァ・・・・

 

L:(フフフ・・・)お前達に一つ問うところがある・・・。

  この私が認めし者に、誰が無断で触れていいと言った―――・・・・。

 

バ:(こ・・・っこの人・・・後ろでまとめている、髪の毛の束で・・・レイヴンをつるし上げに・・・?)

  それに・・・・この姿―――!!! 一度・・・港の拠点で・・・?

 

 

お:ぁあ―――っ!! あなた・・・!

 

L:(うふ♡)お久しぶり―――・・・悪いとは思いましたけど、あなた方の成長ぶり、篤と伺わせてもらいましたよ・・・。

  ですから・・・後はこの私・・・・フレンス・ブルグ“ギルド”現長老―――

ヱルミナール=ド=エステバス

  が、お前達の相手をしてあげます―――!!

〜オン・ビシビシ・ンッシャ・バラギャティ・マカキャラヤ・ソワカ〜

=大黒点破=

 

 

お:す・・・・すごい・・・すごいすごい!!

婀:ふむぅ、あのお方・・・どうやら相当に、腕をあげなされておるようですな・・・

 

お:ぇえ・・・ええ―――!!

 

ア:まぁったくもって・・・同感だな。

 

お:あ・・・アルディナさん。

 

ア:よっ―――☆

あいつぁ、私らの組織の事実上のトップなのに・・・だから、えらっそうに椅子に座って、ふんぞり返ってりゃあいいのによ・・・

 

『トップだからこそ気が抜けない・・・』だとか――― 『組織が腐っていくのは、その頂点から・・・・』だとか―――

そいつをモットーに、未だにミッションなんかに顔出してんだぜ?

 

ま―――・・・私から言わせてみれば、『未だ現役のハンター』気分が抜けてないってトコかね―――・・・

そういう私だって、あいつの事はいえないンだけっどね―――?

 

お:まぁっ――― アルディナさんたら・・・(くす♡)

 

 

 

 

 

 

 

 

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