<陸>
〔そして、自分のところの魔物を倒滅し終えたアダナが、おひぃさんに歩み寄って、言葉を交し合ったのです。
それからしばらくして、本当の“穴”から引き上げてきたナオミが――――・・・・〕
ナ:バ―――・・・バーディーさん・・・って、あれ? あんた達は・・・・確か―――・・・
ア:いよっす―――☆
ヱ:お久しぶり。
ナ:なんで・・・あんた達がこんなトコに??
ヱ:そりゃ〜〜もう、あなたの―――・・・
ア:そりゃ〜〜もう、退屈しのぎに♡
ナ:は―――・・・退屈・・・こっちゃあ、いろんな事がありすぎて、それどころじゃないってェのによ・・・・
お気楽なこったねぇ・・・。
臾:あぁ〜〜〜アミさん? そやのうてなぁ・・・
ナ:(ぅんッ?)残念だが、臾魅・・・その話し後でな。
何とか撒いてきたつもりだったンだけど・・・もう追いついてきちまったか・・・。
サ:なんだ・・・連れてきちまったのか、しゃあねぇな・・・
ア:ま――――・・・・ま――――・・・・ま―――・・・
ここは一つ・・・私ら二人に任してくれないもんかね?
サ:はん?? けど・・・・あんたら―――・・・
ア:まぁ――― いいぢゃあないよ、兄弟。
せぇっかくこっちに来たってェのに、たったアレだけで、はいサヨナラ〜〜―――
ってのは、さびしいんぢゃ〜〜あーりませんか。
サ:ケドなぁ〜〜――― そうはいっても、こいつぁオレ達の・・・・
ヱ:だったら―――・・・一致協力してやりましょうよ。
そのほうが早くカタがつきません――――?
サ:――――だってさぁ! どうするよ、おい・・・。
J:いいんじゃない――? 別に・・・・
婀:それも・・・そうですな。
お:無論、わたくしは異論など、あろうハズがありませんわ。
ス:ちゅ〜〜―――ワケで、うちらは賛成。
臾:お―――ほっ、たぁすかりぃ! あん人らが入りゃ、うちらの負担も軽ぅなるわけや・・・・
ナ:臾魅・・・お前、考えかたセコイぞ・・・
バ:やぁれやれ・・・(だが・・・・あの二人の実力は、かつての私達のそれをも・・・・)
見る・・・・いや、一緒にやってみる価値はありそう・・・・だな。
マ:―――・・・と、まあ・・・一番気難しいのが折れた・・・・と、いうことで―――・・・
ア:双方、異論なし―――ってことかい・・・。
ありがたいねぇ〜〜・・・なぁら!こっちは大出血サービスだ!! 行くぜ!!ヱルム!!
ヱ:いわれずとも―――!!
〜リノーリル・サンティーニア・ア・ルド・アラヴェスク・ランティーニア〜
<大いなる爆裂よ、我が前にその威を指し示せ>
=ライジング・ノヴァ=
ア:ヘっ――― 取って置きを、出しやがるたぁな・・・・なら、こっちも、愚図愚図してらんないようだね―――・・・。
行くよっ―――!
〜光の矢よ、汝が敵を討ち貫け〜
=フォールス・アロー=
臾:ほわ・・・スゴ! あのヱルムっちゅう人・・・元締めと同じような術、出しはりましたでぇ??
バ:そういう・・・あのアダナというのも・・・威力はアレより劣るものの、その後、すぐ自分の剣で・・・・
お:すごいわ―――・・・アダナさんも、ヱルムさんも・・・わたくし達の入る余地なんて、ないみたい―――・・・
婀:そのようですな・・・・姐上。
〔そこに展開されたのは、アダナとヱルムの・・・・
と、言うより、フレンス・ブルグのギルドの中でも、その実力はトップ・クラスのハンターによる、大殲滅作戦だったのです。
――――・・・・が、しかし・・・・
その時だったのです! このどさくさに紛れ、素早く・・・しかも確実に、誰彼に気付かれる事なく、ヱルムの傍に近付いた影が・・・・彼女を襲ったのは・・・。〕
ズザザザザザ−−−−−−・・・・!
ドシュ―――!
ヱ:ぅあっ?!!(グラ・・・・)
―――ドサッ!―――
ア:あっ――! おいっ!どうしたんだヱルム!!
ヱ:フゥゥ・・・・(くわぁっ!)
―――がぶっ!―――
ア:くっ―――!
お:あっ!! アルディナさん!?
婀:(ナニ?!!)
マ:(う・・・・ン??)
J:(はっ―――!! 遠ざかるこの気は!!)
サ:(それにしても・・・今のこいつ(ヱルム)からは、このオレと同じような気が??)
まさ・・・・か??
臾:な・・・なにしてるんや?!! あの人・・・
ナ:同じ・・・同僚に噛み付こうとするなんて―――?!
バ:いや―――・・・だが、あのアルディナというのも大したものだ、すんでのところでかわすとはな・・・。
〔それは―――・・・何者かの黒き影。
その影は、ヱルムの頚部に攻撃を仕掛けたあと・・・急速に離脱を始め、そこで何が起こったかさえ判らないように、痕跡を残さなかったのです。
(でも、Jokaさまは気付いたようですね・・・)
でも・・・その次の瞬間には、自分と同じ世界の者・・・・アダナの腕に噛み付こうとした、ヱルムがいたのです。〕
ア:うっ―――・・・っく! なに勘違いしてやがんだこのや・・・・・
なっ―――・・・ヱ、ヱルム・・・お前・・・どうしたんだ・・・・その眼は―――!!?
ヱ:フゥゥ――――・・・(キョロキョロ) ・・・・・ぅぉおオオ!!
コ:ぴぇっ?!! こ・・・こっち来たみゅ!!
乃:・・・・おねぃちゃまぁ!・・・。(しっか)
ア:このヤロ・・・・悪ふざけも大概にして、目を醒ましやがれ!!
ヱ:ぐがぁアア!!#
ア:(ぉおっと! や・・・やはりそうだ・・・こいつ――― ココロ を奪われてやがる!!)
そうか――――・・・だから・・・なのか!!
ヱ:カアアァァァ・・・・・
ア:―――・・・かといって、今のお前を、このまま放置しておくわけにはいかねぇ・・・・
すまねぇが、ちょっくら眠っててもらうぜ―――!!
〜闇よりの矢よ、其を滅せ〜
=ダークネス・アロー=
ヱ:ぐわぁああっ! ・・・・・ぅ・・・・・ゥゥ・・・・。
〔その時、アダナがみたものとは・・・・かつての、あの円(つぶ)らな瞳を持った親友ではなく・・・・
線状の・・・・それも、いわば爬虫類のような瞳をした、 =ヴァンパイアの真祖= が、そこに・・・・いたのです。
そう・・・それこそは、今の彼女達が大事にしておかなければならないもの・・・――ココロ――と、いうものを奪われてしまった証拠でもあったのです。
――――・・・・かといって、“ココロ”を奪われてしまい、本当の吸血鬼になってしまった、ヱルムをそのままにしておけるはずもなく、
仕方なく、アダナは『当て身』の術で、ヱルムを一時的に眠らせることにしたのです。〕