<漆>
ア:(誰なんだ・・・・真祖のこいつにこんな事をしてくれやがったのは・・・普通の奴じゃあないようだが・・・・
(はっ!!)まさか―――・・・この一件に不死者が一枚かんでいたとしたら・・・・)(ジロ・・・)
サ:ぅん?! なんだ・・・・オレなんか見たりして・・・・
ア:なぁ・・・正直に話してくれないか、こいつにここまでの事をしてくれた奴の事を。
サ:・・・・しらねぇな、あんた、まさか、オレの事を―――・・・
ア:いや・・・別に、疑ってかかっているわけじゃあない。
ただ――――・・・こいつも、あんたと似たようなもんだから、何か知ってやしないかと思ってね。
マ:あなた―――・・・まさか、今回のこの一件に、不死者が関与しているものと?
ア:あぁ――― そうさ、あんた達も気付いての通り、こいつ―――・・・ヱルムは ヴァンパイアの真祖 なんだ・・・。
それが・・・・どうして、こうも簡単に相手に篭絡されちまったのか・・・・
バ:成る程―――・・・つまり、これだけの事をしでかすとなると、それなりの魔力を備えてなくてはならない・・・・と、
(ふぅむ―――・・・)なァ・・・・シホ。
マ:ふむう・・・・確かに、こんな事が出来るのを、私は一人知っている―――・・・
ア:な・・・・なんだって?!! そ、そいつは一体??
マ:―――・・・・が、今、そいつは動くに動けないているはずなのだがなァ・・・・。
お:それは―――・・・どういう事なんです?
マ:ふ・・・何しろそいつはシホ・・・・・いや、私に過去において敗北を喫し、封ぜられた存在だからね。
だが・・・・その封は、内側―――― つまりは、自分自身では破られないようになっているのだよ。
ア:(どうも気になるな―――・・・)じゃあ、すまないけど、その封印にある場所を、見せてもらえないだろうか?
マ:ああ、かまわないよ。
それじゃあ―――・・・おひぃさんに婀陀那さん、あなた達にも来て頂こう。
お:――――はい。
婀:うむ・・・・。
臾:なぁなぁ――― うちらは?
マ:いや―――・・・お前達はこなくていい。
それから・・・・Jokaさま。
J:OK、わかってるにョ。
マ:それでは・・・・いくとしようかね。
婀:では・・・・JOkaさま、呉々も・・・。
J:はいはい・・・わかってるよ、それより―――・・・婀陀那、あなたもね・・・。
婀:は―――・・・・心得ておりますよ・・・・では。
バ:なぁ―――・・・シホ、私もどうだろう?
マ:確かに―――・・・人員は多いに越した事はないが・・・何、心配する事はありはせんよ。
あのお二人だけで十分だ、それに・・・・あのアルディナとかいうのも・・・・な。
バ:なぁ・・・あいつも――――・・・なんだろう?
マ:おそらくは―――な。
だが、奇妙なのは、それであるにもかかわらず、あのヱルムとかいうのにしても、あの時以前は普通どおりだった・・・・
似てはいるが、全くの別物と考えていたほうがいいだろうな―――・・・。
ア:おい―――!! 行くんだったら、さっさと行こうぜ―――!?
マ:・・・・とにかく、サポートのほう・・・頼んだぞ。
バ:うむ―――・・・。
〔そこでは―――・・・“ココロ”を奪われ、真の吸血鬼に覚醒してしまったヱルムをどうするか―――・・・の対策と、
彼女をそんな風にしてしまった存在を検(あらた)めるために、シホさんが、かつて封印した存在とを照らし合わせるために、
その場所まで案内するようなのです。〕
ア:なぁ―――・・・あんた、先程・・・仲間の一人と何を話していたんだい?
マ:ナニ――― 後々の事を・・・な、アレから色々あるだろうし・・・・まあ、いわゆるところの予防策といったところだよ。
お:あら―――・・・・? ひょっとして、ここが―――??
婀:何かの祠のようですなぁ・・・。
マ:とりあえず、中に入ってみよう・・・・。
〔そして、そこは―――・・・かの城跡から、南に下る事3kmの地点にある、祠だったのです。
そこで、中に入って、封印の状態を確かめる一行――――・・・・〕
ア:ふぅぅ〜〜〜ん・・・中はどうもなってないように見えるけどねぇ・・・。
マ:ふぅん・・・どうやら、取り越し苦労みたいだったようだ・・・な。
婀:・・・・・。(ぅん? 姐・・・・上??)
お:(・・・・おかしいわ―――・・・この封印石、どこか、こう・・・・石の配置とかが、おかしくない?)
マ:どうやら違ったようだ、引き上げて別の対策を練ろう―――・・・・
お:待ってください―――・・・。
マ:ぅん?どうしたんだね、おひぃさん。
お:まだ・・・戻るには早すぎると思います。
ア:だけど、ここは違うってんだろう? だったなら、ここにいる必要なんてないじゃ―――・・・
お:果たして―――― そうでしょうか??
ア:えっ―――・・・??
お:ねぇ、婀陀那ちゃん・・・ちょっと手伝っていただけない?
婀:よろしいですとも―――・・・それで、ナニをなさればよろしいか。
お:そうね・・・でしたら、とりあえずは、ここの石をここと取り替えて―――・・・
ア:ちょ――― ちょっと待てって?? そ・・・そんなことしちゃ封印が破られるんじゃ・・・・
マ:いや、やってみる価値はありそうだな、疑わしいと思った事象は、即座に行動に移すべきだよ・・・特にこういう場合は・・・ね。
―――ゴ・・・・ト・・・・―――
婀:これで・・・よし・・・。
(はっ!!) こっ・・・・これは!!
お:(やはり―――!!)
マ:(むむぅ―――・・・)
ア:な―――・・・なんてこった・・・もう既に破られちまった後だなんて―――!!
〔婀陀那とおひぃさんが、この封印石の石の配置換えを行ったところ・・・今までの状況とは一変してしまったのです。
それは、先程まで普通に見えていた光景とは違う、別の光景・・・・。
粉々に砕かれた封印石がそこにはあったからなのです。
そう―――・・・つまるところ、彼女達は、内部からではなく、外部からの侵入者により、破壊されていた封印を、何者か・・・・
おそらく、その外部からの侵入者の幻術によって、欺かれていたのです。〕
婀:ぐ・・・ぐむうぅ〜〜〜な、なんという・・・この妾まで謀(たばか)られておったとは――――・・・
マ:それは、私とて同じことだよ・・・低級神!
お:(婀陀那ちゃん・・・・)(キュ・・・)
ア:・・・・ところでよう、一つ聞きたいことがあるんだが―――・・・
マ:ここに・・・・封ぜられていた者の存在だろう、アルディナさん・・・。
ア:あぁ―――・・・。
マ:(ふぅ・・・)なるべく・・・この予測は、当たっては欲しくはなかったのだが・・・まあ仕方がないだろう・・・
お:どういう・・・ことなのです?
マ:・・・・ここに封印されていた者の正体とは――――・・・・
―――ゴク・・・・リ―――
マ:それは・・・・
〔かつて、その者をこの場所に封印した、シホ=マクドガルの口から語られた、その正体とは・・・・
その事実を知るに当たり、祠内は、一種異様な空気が流れたのです。〕
マ:・・・・あなたと同じ存在だよ、アルディナさん・・・・。
ア:(え―――・・・?) な、なんだって―――!??
お:(えっ??)
婀(う・・・ん?)
ア:そ―――・・・それじゃあ・・・・ここには・・・
マ:そう―――・・・別名“死せる賢者”と呼ばれる リッチー が封ぜられていたのだよ。
ア:そうか―――そういうことだったのか!! なら・・・あいつが、ああなったのにも納得がいく・・・!!
お:あの・・・どういう事なのですか?
婀:つまり――― ヱルミナール殿を襲った不埒者は、あの方より数段強力な魔力を持つ者だった―――・・・
と、こういうことでありますよ・・・それでよろしいな、ソロン殿。
マ:うむ・・・だか、とにもかくにも、ここがこうなってしまった以上、一刻も早く手を打たなければいかんな。
〔そう・・・・ヱルムを襲った者こそ、自分と同じ存在の『リッチー』である事を知るにいたり、愕然としてしまうアダナ・・・・。
しかし、そこに留まっていても、何の物事の解決になっていないので、街中のギルドの社屋に引き上げたのです。〕