<捌>

 

 

〔そして、事後の報告を、し終える先遣隊の一向と、それを聞いた救護隊の一行は――――・・・・〕

 

 

バ:・・・・そうか、やはり―――― とは思っていたが・・・。

サ:だが、そいつは内々から破られたんじゃあないんだよな?

 

マ:あぁ・・・か―――と、言って、外部からも侵入しづらいものになっていたはずなのにな・・・。

 

お:ところで・・・・アダナさんは?

 

マ:今は・・・そっとしておいてやりなさい・・・。

  自分の目の前で、友があんな風にされたら・・・・・あなただって、普通どおりにはいられんだろう―――・・・?

 

お:あ―――・・・・。

婀:(姐上・・・・。)

 

 

〔やはり、そこには―――― 今の、のっぴきならない状況に陥り、苦悩する者達がいたのです。

 

そして―――― その時、治療室のドアが開き、中から出てきたのは――――・・・・〕

 

 

―――キ  ィ・・・―――

 

 

ア:・・・・・。

 

お:あ・・・っ、アルディナさん・・・。

 

ア:世話になったな・・・。

  ところで・・・・なぁ、一つ頼みがあるんだけど・・・・いいかい?

 

お:え? は、はい・・・わたくしに出来ることなら・・・・

 

ア:なら・・・・あいつが、正気に戻ったなら、こいつを・・・・・(チャリ)

  あいつの首に、かけ直してやってくれないか・・・?

 

お:(真紅の石・・・『ガーネット』・・・・。) あの・・・これは?

 

ア:(フ・・・)なぁに、そいつを見せれば、何のことかわかるよ・・・・じゃあな。

 

 

マ:あなた・・・・まさか、死ぬ気か?

 

ア:死ぬ―――・・・・この・・・私が・・・かい?

  (フフフ―――)冗談にしても笑えない・・・・この・・・ リッチー の私に対して―――!!

 

臾:(な・・・なんやてぇ〜〜〜??)

ナ:(し・・・死せる賢者?? じ・・・じゃあこの人も一度・・・・)

バ:(やはりな―――・・・・)

 

サ:例え―――・・・孤独(ひと)りになっても戦い続けるか・・・・それも、友のために!!

  オニ・・・・だなぁ、あんた。

 

ア:はっ!! 当たり前さね!!

  私ぁ、こんなくだらないマネを、しやがったヤツを、野放しにしとくほど甘かぁないよ!!

 

  見てな・・・あいつの“ココロ”・・・奪ったヤツの、腸(はらわた)ひきづり出してでも、取り返してやる!!

 

 

臾:(ほへぇ〜〜、うちより厳しいこと、言うお人でンなァ・・・・)

ナ:(でも・・・それほどまでに、大事な人だったんだ・・・)

 

マ:だが・・・・めくらっぽうに探しても、当てもないことだ・・・・心もとないことだろう。

  そこで、私から一つ手がかりを教えて差し上げよう。

 

ア:ナニを・・・・だい。

 

マ:そのリッチーの名だよ、ヤツの名は ヤミー という・・・。

 

ア:そうかい・・・・その下衆ヤローの名は ヤミー ってんだな・・・・ありがとうよ・・・・・・。

 

 

お:(なんて・・・・気性の烈(はげ)しい方・・・・でも、あの方、それほどまでにヱルムさんの事を・・・・)

  頑張って下さいまし・・・・。

 

婀:(姐上・・・・)

  ――――・・・・それより、Jokaさまは、いかがなされた? 姿が見えぬようだが・・・・

 

臾:そいやぁ――― なんか・・・急に思い出したように、ここ・・・・飛び出して行きよりましたなぁ・・・。

 

婀:(は―――・・・)で――― いなくなられたと??

  全く・・・かような一大事のときに・・・・あの方の気まぐれにも、ほとほと困ったものよの・・・・。

 

 

〔そこにあったのは―――・・・自分の親友を・・・無残な姿に変えられた、ハンターの姿があったのです・・・。

 

そして、そのことに憤慨する者は、この事変を起こした張本人を許しておかず、“断罪に処すべし―――”とし、社屋を後にしたのです。

 

 

それから、婀陀那が気が付いてみれば―――― 自分が主と仰ぐべき者が、ここにはいない―――?  ・・・・と、いうことだったのです。

 

 

すると―――― 実にその時だったのです。

この、ギルドの社屋に・・・・次元転送する時に出来る、穴が開いたのは・・・・

 

そして、その穴からは――― Jokaさまが・・・・一人の少女を伴って、出てきたのです・・・・。〕

 

 

J:いょい・・・しょっと! ヤホ―――! おッ待たせ〜〜〜助っ人連れてきたじょ〜〜〜?

 

お:あっ・・・Jokaさま・・・(って)え??! そ、その娘(こ)・・・・もしかして、エリアちゃん??

 

少:あら・・・・あの方と、私を取り違えるなんて・・・・。

まぁ・・・・私にとっては光栄な事だけれど、この事をあの方がお知りになると、どういうお顔をなさるのでしょうね―――

 

お:えぇ―――っ?? ち・・・違うの?

 

少:えぇ――― そうですよ・・・。

  あら―――? そういえば・・・あなた、よく御覧になれば、ヱルム様にそっくりですね・・・・

 

  お名前、なんていわれるのです? 私は、キリエと申す者ですが――――

 

お:(キリエ―――・・・・) そう・・・あなたも、あの方の事を・・・・

  わたくしは、柾木阿恵華――― おひぃさんと呼ばれている者です。

 

キ:そう・・・・おひぃさん・・・ですね? どうか宜しく。(ペコリ)

  あら・・・あなたは・・・・アルディナさんにそっくりね。

 

婀:うむ・・・妾は、森野婀陀那と申す、皆には婀陀那と呼ばれておる、以後よろしゅう・・・・。

 

キ:へぇ・・・敬称は同じ・・・・なのに、あの人と比べると、よほどに礼儀正しいのですね・・・。(ニャ・・・)

 

お:まっ―――! な、なんて不躾な―――!!

 

キ:あら・・・・お気に触られました・・・・か?(クスクス・・・)

 

 

〔あ・・・あれれ―――??! こ、この“少女”―――――って・・・てっきり、エリアちゃんかと思いきや!!

間違いなく『超』のつくほどの問題児の、あの娘ですよねぇ??

 

しかもしかも―――― またも波紋を投げかけるような事を吐(つ)くとは・・・・でも――――??〕

 

 

婀:姐上・・・・妾なら、一向に気にはしておりませぬよ・・・。

  どうか、お気を―――・・・・

 

お:そ―――・・・そうでした・・・・ね。

  今は、こんなことをしている場合では、ございませんでした・・・。

 

キ:(あら・・・・)

 

 

マ:どうか・・・・なさいましたかな・・・。(おや―――?)

 

キ:(あら・・・この気・・・ひょっとすると・・・) ふふ―――― そういうこと・・・・。

  どうやら――― ここも、中々に退屈しなくて済みそうですわね・・・・。

 

J:でしょ〜〜〜? この私の言っていた事に、嘘だなんて・・・・・

 

キ:そうですわね――― 女禍様。

  全くもって、ここには面白そうなことがいっぱい・・・。(ニ・・・・)

 

婀:(んな―――・・・)こ・・・この方の正体を見抜かれるとは・・・・

  そなた・・・一体?

 

キ:あら・・・私は、見た通りの、ただの少女よ――― リントハイムほど、優秀ではありませんわ―――。

 

 

〔さすがは婀陀那さん、キリエちゃんの口車に乗るでもなく、実に淡々と受け流すとは・・・・。

 

――――と、そこへ手洗いから戻ってきたシホさんが現れ、キリエとシホ・・・・両名が、何者であるかの、邂逅の瞬間が訪れた中・・・・

違う次元から来た少女の、隠された一端が見られたようです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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