≪四節;「帰巣」―――報告会その2≫
レ:それでは―――続きましては私から。
ハイネス・ブルグは、北にクーナ―――南にヴェルノア・・・と、挟まれてはおりますが・・・そのどちらとも、上手くやっていっているようです。
タ:うむ、「大陸随一」と呼ばれる「穀倉地帯」を有している国と、「軍事力一」の国家に護られているようなものだからな、あそこは。
レ:はい・・・それと、今ひとつ―――
以前より話題に上がっていた「黒く飲めぬ水」・・・の、事なのですが―――
タ:何か・・・判ったことがあったのか。
レ:はい・・・実はその「水」――――『燃える』ようなのです。
ユ:何ですって―――水が??
シ:燃える・・・と、いうのですか―――?
マ:おいおい――― レイカちゃん、そらまた大げさなんでないの――☆
レ:そう云われると思いまして、「サンプル」を持ってまいりました・・・お頭、アレを。
ナ:あぁ―――・・・ほら。
レ:ありがとうございます。
―――では、失礼して・・・
マ:え――・・・う、うっそぉぉ〜〜〜ッ?!
ユ:し・・・しかも、「一瞬燃え上がる」・・・でなくて、その後も「持続」している・・・・だ、なんて――――
シ:なんとも・・・・奇怪な・・・でも、これは――――
ナ:あぁ―――・・・私も、この報告をレイカから受けたときには、半分冗談交じりに聞いてたんだけど・・・
皆も見ての通り――――「百聞は一見にしかず」・・・さ。
それに、賢い奴なら判ると思うけど、この代物は上手く使えば「優秀な燃料」にもなるが・・・悪く使えば――――・・・
タ:戦争―――主に「軍事」目的に使われてしまうというわけか・・・・だが―――
レ:はい、主上も危惧されている通り、それが他国―――主にヴェルノアに知られてしまうと・・・・
タ:黙ってはいられない―――・・・・と、云うわけか。
レ:はい―――・・・
ですが、幸いな事に・・・この事実を知っているのは、ごく限られた一握りの人間だけ・・・
今ではそのことも封印され、日の目を見ないようになっています。
タ:ふぅむ・・・そうか、よし、分かった―――これはモノがモノだけに、慎重に取り扱うように。
レ:ははっ―――
〔そして、今度は「鳳」(おおとり)・レイカの報告。
そこには、今までナゾのヴェールに包まれていた、その国の土壌より採れた「黒き飲めぬ水」の事が・・・・
しかも、それは「軍需」と「産業」が両立できうる代物だともいうのです。
しかし―――それは他の列強・・・
それも殊更に、『ハイネス・ブルグ』の真南に位置する、『ヴェルノア』を甚(いた)く刺激しかねない事もあり、
この事実は、ごく限られた一部の者にしか伝わらず・・・それ以外にはもみ消しにされたようなのです。〕
レ:すみません主上―――それからもう一つ・・・
タ:ぅん?!なんだ―――・・・
レ:はい・・・実は、「お山」の事が出たついで・・・と、云ってはなんですが・・・・
タ:まさか―――・・・「お城」の事か・・・・
レ:はい―――
あの一体・・・皆も知ってのように、不気味な噂が絶えません。
ナ:あの―――・・・「血溜りの谷」・・・。
レ:はい・・・あの近辺の者は、あの一体を「吸血鬼」の縄張りとして、恐れて近付こうとしないのですが・・・
それでもあの「谷」や、「迷いの冥き杜」で行き方知れずになる者達の噂は絶える事がないのです。
しかも―――・・・ご多分に漏れず、迷った者は必ず干からびた屍骸になって見つかるのが常でありまして・・・
マ:うヒ〜〜こわぁ〜〜―――☆
ユ:でも・・・それは、無闇矢鱈に「人を襲う」・・・という事はしないのよね。
レ:あ・・・・云われてみれば――――
事実、あの怪異な杜より奇跡的に抜け出れた者もいることですし・・・・
シ:―――・・・と、いうことは・・・・
ナ:つまり、「もう死んでしまった者」や、「今にも死にそうな者」が、その吸血鬼とやらの手によって、天に召された―――
と、いう解釈のほうが、合うといえば合うか・・・・
レ:そう―――とも取れますね・・・。
〔そして、もう一つのレイカの報告――――
それは、「お山」に対する、「お城」の存在・・・・。(これは『補章1』に詳細がありますんで、そちらを参照にしてくださいませ)
そして、そこに棲まう者の意外なる正体に、その場にいた者達は妙な緊張感に包まれたようです。
―――・・・が、「冷徹なる女」のユミエの一言により、その誤解は解けたようです。〕