≪三節;季節外れの雪≫

 

 

〔蒼龍の騎士であるキリエの怒りにより誘発された凍気・・・それが折から降っていた雨に作用し、初夏であるにも拘らず季節外れの雪が舞い降りていたのです。

そんな不思議な現象と・・・カルマの魔獣に抗っている異形の騎士の有り様を垣間見たコーリタニの守将は・・・〕

 

 

コ:雪―――・・・雪だ・・・もう夏が近いと云うのに、なぜ・・・

  それにあの蒼き龍―――まさかあの時の?!!

 

 

〔旧フ国のギ州公であるコウは、以前、隣接していたガク州がカルマの侵略の憂き目に晒されていたことから、

現在ではパライソ女皇である、旧フ国のガク州公であったアヱカの要請により援助に回っていた時期がありました。

 

そんな折―――撃退戦の最中(さなか)に、やはり突如として現れカルマ兵のみを薙ぎ払っていた、この異形の騎士のことを知っていたのでした。

 

その時の存在も・・・蒼き龍―――

 

もはや疑いようのない事実―――この異形の騎士はカルマを討つためだけに現れているのだ・・・

 

ですが、よほど運が良かったのか、このカルマ軍を指揮していた将はキリエの怒りに触れ、刹されようとした寸でのところで・・・〕

 

 

ス:(スフィンクス)

  グルルル―――・・・

グ:(グリフォン)

  ギシャ―――ッ!!

ヒ:(ヒポクリフ)

  フシュルルル〜・・・

 

キ:邪魔立てをいたすな―――! すると云うなら、喩えお前たちとて容赦はしない!

 

 

〔引き連れた魔獣たちが、自分たちの指揮官とキリエの間に割って入り、指揮官を庇う様相を見せました。

そんなものを見せられ、キリエは彼らの忠義は称賛に値することであるとしましたが、所詮は飼われた者が悪かったものとし、

直ちにその画戟で―――牙で―――爪で―――彼らを虐げたのです。

 

しかし―――・・・

本命であるところの指揮官はこのスキに逃げ仰せ、そのことを知ったキリエもすぐさま追ったのです。

 

 

一方―――退き戦になってしまった紫苑率いるパライソ軍は・・・しかし、ある将が殿(しんがり)で踏ん張ってくれたお陰で、

どうにかコーリタニまで、被害を最小限に留めておきながらあと数里のところまで戻っていました。〕

 

 

紫:急いでっ―――コーリタニはもう目の前よ!

将:お待ちください紫苑様―――前方より何者かが・・・

 

 

〔もうすでに視野にコーリタニの城を捉えていたパライソ軍は足を早めました。

すると―――コーリタニの方から、これまでに自分たちが見たことのない魔獣・・・が、上空を駈けていたのです。

 

その魔獣こそは、今回コーリタニ城に備蓄されている西部方面の兵糧を狙った・・・漆黒の体毛に覆われたルシファークロウ―――だったのです。

 

そのルシファークロウが自分たちの頭上を通り過ぎたか―――と、思ったその時・・・!〕

 

 

ル:(ルシファークロウ)

  グギャアア〜―――ォオン〜!

 

紫:(な・・・なに―――この、巨大な武器・・・一体どこから・・・)

 

 

〔突如―――上空から、これまた見たこともないような巨大な武器・・・ 凍てつきの画戟・フローズンハープーン が、ルシファークロウめがけて投擲されました。

画戟は寸分の狂いもなく確実に魔獣を射止め、ルシファークロウは無惨な姿を晒すこととなったのです。

 

そしてさらには、おそらくこの武器の持ち主であろう異形の騎士が上空より舞い降り、すでに絶息しているであろう魔獣の息の根を止めた後、

紫苑に一瞥をくれるのも惜しいと云ったように、すぐさま、またどこかへと去ったのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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