≪五節;想定外の援軍≫
〔ところが―――・・・
もう一つ、カルマ軍が想定内に置いていなかった事態が起こってしまったのです。
それは―――・・・〕
兵:たっ・・・大変です〜!!
ダ:ぁあ?! ナニ云ってやがるか―――今大変なのはこっちの方だ。
兵:いや・・・そうじゃなくて〜―――こ、後方よりラージャの軍勢と思わしき旗指物が、こちらに向かいつつあるとのことです!
ダ:な―――なんだと?! バカ者なぜ早くそのことを云わん!
ヒ:ガ〜ッハハハ―――どうやら尻に火がついちまったようだなぁ。
そんじゃ、遠慮なくその馘、貰い受けるとするぜぇ・・・
ダ:おっ・・・おのれえぇ〜〜猪口才な・・・
〔思いもよらなかったラージャ軍の加勢に、カルマ軍の一隊を率いていたダンダーク某は焦りました。
それはそうでしょう―――今、彼らは、挟撃の憂き目に晒されていたのですから・・・
ですが―――実はこのことは、キリエにとってしてもあまり望ましい展開ではなかったらしく・・・〕
キ:なんですって? ラージャの軍勢がこちらに向かっている・・・?
まづいじゃないの―――せっかくあと一歩のところでこいつの首級をあげられるところだったのに・・・
私はこのまま退散するから、後のことはよろしくね…ベイガン―――
ヒ:ぁあ゛? それってねえ〜んじゃねえの゛??
キ:あのねぇ・・・私の立場―――判ってるんでしょ。
ヒ:立場・・・って―――あ、そうか、あんたそんな恰好なんだもんな。
ダ:フッ・・・フフフ―――なんのことを云ってるのかは判らんが、どうやら最後のツキはオレにあったようだなぁ。
この屈辱、いつか晴らしてやるからな―――覚えているがいい!!
〔異形の騎士であるキリエの正体は、未だベイガンのみ知るところであり、このことは味方である紫苑やほかの諸将たちの知れるところではない・・・
それがましてや他人同然であるラージャの将兵たちに知られてよいものなのか・・・
その答えが、キリエのあの一言に集約されていたのです。
本来ならば望むべき援軍であるはずなのに、あと一息のところでカルマの将は息を繋ぎ、
彼を討たんとしていた者は地団駄を踏むしかなかったのです。〕