≪六節;戦の賞罰≫
〔とは云え―――こうして西部戦線の主だった戦・・・ザイブの戦いでは、
パライソ カルマ ラージャ 蒼竜の騎士
・・・と云う、四者四様が相入り乱れての混戦模様となり、結果としてカルマを追い払うことに成功したのですが―――・・・
コーリタニに引き上げた者達の眼前には・・・〕
紫:あぁ―――・・・なんてこと、折角の虎の子を台無しにしてしまうなんて・・・
これでは婀陀那様にも会わせる顔がないわ・・・
コ:いえ―――このことは偏(ひとえ)に紫苑殿だけに責があるわけではござらん。
拙者がよろしく防いでおれば、このような被害・・・なかったものを―――
実(まこと)に、口惜しい限りでござる。
キ:いえ―――・・・お二人の責任だけではありません。
私の方も、今回のことをもう少し早くに気付いておくべきでした。
それに、ワコウよりのカルマの動きを進言したのはこの私・・・あたら要らざるべきことを吐き、申し訳を述べる次第もございません。
〔そこには、今回の戦役で出た味方の被害の責任を、一際重く感じていた三者の姿がありました。
紫苑は―――西部方面の軍を統括する責任者であることから、国の穀倉から贈与された兵糧を台無しにしてしまったことに、殊更責任を感じていました。
コウは―――その紫苑からコーリタニの守備をよろしく任された立場にあった以上、今回のカルマの突然の来襲に、
もっと臨機応変に対応すべきであったことを反省しました。
キリエは・・・彼らには知らせてはいなかったけれども、彼奴らならばこういう行動を仕掛けてくることを知っていながら、看破できなかったことを悔やんでいました。
その光景は、自分の失態をなすりつけ合う者同士ではなく、今回の損害の責任こそは自分にある―――としていた者達の姿だったのです。
それを見て、この度より西方から参入することとなったラージャの将校は・・・〕
ノ:(何とも潔い―――本来のこの被害は、あの三者のうちの誰にあるものでもないはずなのに・・・皆が自分の責のように感じておるとは―――
タケル・・・お主、いい処の君主に仕えたものだな。)
チ:(これが兄上の仕えている国・・・さすが―――で、ござる。
皆が確固たる信念の下に動き、 勲 も、 責 も、全員で分かち合えるとは―――・・・
慎まねばならん、手前たちもこの国に厄介になるからには、『あれがラージャのもののふよ』・・・と、指を差されて哂われぬようにせねば。)
〔ノブシゲもチカラも、パライソの将たちの潔さに甚(いた)く感激していました。
そして彼ら自身も、これからパライソの力を借り共存させてもらうことから、なまじ恥ずかしくない行動を心掛けるように胸に誓ったのです。〕