≪四節;寝惚け眼≫
〔ガルパディア大陸東部方面周辺のカルマの砦にて―――
ある不可解な事態が起きていました―――・・・〕
魔:ひぃゃぁあ〜! お―――お助けぇ〜!!
魔:ヤ―――ヤツだ・・・ヤツが来たぁ〜!!
魔:ビ、ビーストライダーだ! 助けてくれぇぇ〜〜!!
ヴ:フフフフ・・・お前たちに直接な恨みなどありゃあしないが―――お前たちがいたらいたで困る連中がいるもんでねぇ・・・
悪いが―――狩らせてもらうよっ!!
―〜一つ【牙】〜―
<猪>
―〜二つ【角】〜―
<鹿>
―〜三つ【燐】〜―
<蝶>
=三連殺=
〔魔を狩る魔―――そんな存在が東部方面にも現われたと云う・・・
そう、東部方面 にも ―――・・・
つまり、事の発端は、西部方面のとある戦線にて、好んで魔を討滅させる存在が出没したと云う・・・
それが 蒼龍の騎士 ―――
そんな存在が東部方面にも出没し始めた・・・
その、東部に出始めた存在と云うのが、大型の魔獣の背に跨り―――生きる者の血・命を糧としていることから、ほどなく ヴァンパイア であることが知られた・・・
不死の身体を持ち―――強力な魔力を所有すると云う種族が、なぜカルマに楯突くような行為を・・・?
けれど逆に、その存在の行為は人間に安堵の気持ちを与え、しばらくぶりの平穏な日常が訪れていたのです。
これはそんな日の一コマ―――・・・〕
サ:(サヤ;前回フィダックに給仕として雇われた女性)
(あ゛〜〜眠い・・・猛烈に―――鬼のように・・・大体私ゃ夜型なんだよなぁ〜〜)
イ:どうしたのです―――あなた、お昼からダレていますよ。
サ:あっ、はいはい―――どうもすいま・・・ふわぁ〜・・・ちょっと夕べから寝不足で・・・
イ:そうですか―――・・・夜更かしは美貌の敵ですよ。
サ:(・・・あれ? 今の私に云ったのか―――?)
〔今のはまさにそれを象徴するかのようなやり取り、ビーストライダーの出現により滅多と魔物兵が襲わなくなってきたからか、
前回弟分の料理人マダラと一緒に、フィダックの給仕として雇われた女性・・・サヤが、
まだ陽も高いうちから寝惚け眼でいることを、東部方面の指揮官であるイセリアから注意を受けてしまったのです。
しかし―――手厳しい意見としてではなく、夜更かしをしてはいけない・・・だけに留められ、その言い回しも容姿に関することでもあっただけに、
つまり、勘違いを起こしてしまいそうにもなったわけで・・・そのことが気になったサヤは―――〕