≪三節;満喫≫
〔そんなセシルの心労とは裏腹に―――こちら、べクトポリスに逗留しているあの二人は・・・〕
エ:はんぁあ〜―――♪ いい湯だねぇ〜・・・冷えた心まで温ったかくなっちめぇよ♪ ・・・ったら。
ヱ:・・・云ってることが年寄りくさいわよ―――シュターデン。
エ:いいぢゃんかよ〜いいぢゃんかよ〜〜♪ お前様と入るのって随分と久方ぶりだし、お風呂に入るのも随分とまた久方ぶりだしねぇ〜♪
ヱ:・・・・・汚いわねぇ―――
エ:およっ? どうしちゃったのよ、どうしちゃったのよ〜〜お前様ぁ―――
ヱ:今あんた、お風呂の方も久方ぶり―――って・・・
エ:うん、そうだよそうだよ〜〜―――でぇも、お城の近くにある泉とかには、水浴みなんかによく出かけてんだけどね。
ヱ:そうだったら構わないけど―――
エ:そんなことよりもさぁ〜背中流し合いっこしようよ〜♪
〔未だ―――前線が穏やかだった要因の一つに、この二人がこの町から出ていないことがありました。
それと云うより、この町・・・ベクトポリスの名物ともなっている 温泉 に浸かっては、身も・・・心も・・・果てまたは骨までも蕩けようと云うもの、
今も、妙齢の女性と女児が、仲も良さそうにお互いの背中を流し合っていると云う、少し奇妙な光景すらあったようなのです。
そして、温泉を満喫した二人の女性は―――・・・〕
ヱ:―――ねえ、シュターデン。 あなたそろそろ云われてた処に行かないといけないんじゃないの。
エ:フフ〜ン♪ そこは手抜かりはないんだってばヨ♪
今頃はうちんとこのサヤちゃんが、大活躍してんだろ〜からさ。
そゆ、お前様んとこのキリエちゃんも、そうなんだろう〜〜―――
ヱ:まあね・・・でも、うちの場合はそんなには云ってはいないけど―――昔から云ってあることがあるから、自然と判ってきてるんじゃないの。
―――この、私の手を煩わせると、あとあとどう云う事になるか・・・ぐらいは・・・ね。
エ:だからさあ〜そこでそんなんちびしいこと云っちゃうから、あの子たち縮こまってなんもできやしないんだよ―――ったら。
だからね?ここでこう云っておいてやるのさ―――出来なきゃブッ殺す! ・・・って、ね。v
ヱ:・・・私より云い方がきついぢゃない―――それも、笑顔で云う事でもないわよ。
〔どうやら、この二人がゆっくりしていた背景には、彼女たちの直属の部下がよろしく取り計らっているから、未だ自分たちの出る幕ではないだろうとしていたことであり、
もし万が一 ―――今の段階で自分たちの手を煩わせるようなことにでもなれば、きついお灸の用意があったことを仄めかせてもいたのです。
だからこそ温泉三昧―――休養を満喫出来たと云う事で、これからは心機一転・・・気分も新たに任地に赴くものかと思いきや―――?〕
ヱ:さて・・・と―――もう十分に骨休めもしたことだし、定められた地へと赴くこととしましょう・・・シュターデン。
エ:それよりさあ〜〜―――温泉・・・つったら〜 卓球x2 カラオケx2 宴会x2 〜!♪
ヱ:・・・いつまで満喫するのだ!お前は―――!!(ふみつけx2)
エ:ああん〜v 冗談だってばさあ〜〜―――♪
ヱ:・・・ったくぅ―――そろそろ行くわよ。
エ:そりよかさあ〜小腹すいちゃったから、何か食べていかない?
ヱ:何を云ってるの! もうそろそろ行かないと―――・・・(ぐうぅ〜)
エ:おやおやおや〜〜? 一体何なのかなぁ〜今の音は♪
ヱ:うむむ・・・全く、どうしてこう云う時に鳴ってしまうのかしらね。
仕方がないわ―――あそこでやっている定食屋に入りましょうか。
〔急ぎたい時に限って、遅々として進まず―――とは、どこの世界にもあったようでございまして。
久方ぶりの、仲良しと休養を満喫してしまったことから、もう少し愉しみたいと思っていた気持ちもあったようでありまして、
とは云っても、これ以上自分たちばかり楽ばかりをしていては、下への示しもつかない―――としたところで、遅まきながら重たい腰を上げようとしたところ・・・
どうしてこう云う時に限って腹の虫と云う者は鳴いてしまうのか―――・・・
そんな恨めしさが湧きつつも、空(す)きっ腹(ぱら)ではポテンシャルも上がらないものとし、ヱリヤとエルムは丁度手頃な定食屋へと入っていったのです。〕