≪三節;状況静観の終了≫
〔その一方―――やはり西部戦線にある砦の一つ、カムロポリスでも動きがあり・・・〕
ヱ:(陣中が慌ただしいわね―――・・・)
あの・・・どうかされたのですか―――
ノ:ああ、伝令殿―――いや実は・・・この上にあるパルキネッセと云う砦が、敵からの強襲に晒されておるようでしてな。
ヱ:また―――・・・ですか・・・いつまで続くのでしょうね、こんなことが・・・
ノ:・・・いつまでも―――続くさ・・・それがしたちがヤツらの云いなりにならない限りは・・・な。
だが、そんな安易なことで争いを収めてしまえば、それがしたちは永遠にカルマの風下に着くことになる、永久に奴らの奴隷と化してしまう・・・
それだけは、何としても避けねばならぬのだ―――
〔―――好い答えだ・・・確かこの者は、私を迎え入れるために、わざわざゾハルまで来たタケルとか申す者の友でもあるとか・・・
このまま―――死なせるには惜しい男だ・・・
カムロポリスより、そう遠く離れていないパルキネッセの砦が、カルマの強襲に晒されている―――
その慌ただしさは、少女のいる砦にまで届いていました。
その事実を知ったノブシゲは、見捨てるようなことをせず、すぐさま救援に駆け付けようとしたのです。
その様子を見ていた少女は、ノブシゲに問いかけました。
いつまで―――こんなこと・・・個の生命体が、また別の個の生命体を弑謔するものか・・・と―――
すると、ノブシゲからの答えは―――いつまでも・・・と。
しかし、だからと云って易々とカルマに降ったりとしても、絶望的な未来しか思いつかないため、
無駄な抵抗とは云えど藻掻き、足掻いてでも諦めはしない―――と、したのです。
この時代・・・いつの時代でもいるものだ・・・こんな気持ちのいい連中が―――
私は、お前たちのことが気に入ったぞ―――・・・
これからは、思うがまま・・・私を 帝国の鑓 として振るうがいい―――
少女は・・・ただ、何もせずに見過ごしていたわけではありませんでした。
自らが所有する強大に余る力が、彼らの手に余り過ぎはしないか―――そのことを見極めんとしていたのです。
あたら、強大に過ぎる力は、味方をも傷つけてしまう諸刃の刃とも成り得る―――そのことを知っていたがため、傍らで静観している必要があったのです。
けれど・・・もう、十分すぎるモノを見させてもらった―――なのに、このまま何もしないと云うのは、本当の卑怯者のすることだ・・・
少女の内にあった、秘められたる能力と闘争本能は、静かに・・・また・・・燻ぶり始めたのです。〕