≪二節;猛攻強襲≫
〔そして軍団の分配とは―――
コヤリを攻める部隊はキリエとベイガンの二人―――
ミノウ山の攻略はノブシゲとコウが―――
ジュラクには紫苑とチカラがそれぞれ受け持つこととなり・・・
でも―――
その中にはヱリヤの姿はありませんでした・・・
ではどこにいたのか―――それは、本陣ともなっているコーリタニの城に・・・
あれだけの大言を吐き―――自分を除く将を全出撃させながら、あたら自分は後方で席を温めている・・・
そんな不当な作戦があっていいものか―――と、一部の将兵たちの間に不満が広がるのですが、
そこにいた者は皆・・・誰一人としてヱリヤの実力を知りませんでした。
たった一人で万からの敵兵を相手とし、彼の者が直接動けば国一つを奪ることなど嚢中の珠を取り出すほどに容易(たやす)きことである―――
そのようなことなど、現代を生きる者達は知る由などなかったのです。
ともあれ―――無理とも思える作戦の戦端は開かれ、ここでやはりパライソ軍は苦戦するものか・・・と、思われたのですが。〕
キ:ぬおぉぉ―――!どけえ〜! この拠点左将軍キリエが貰い受けに来た!!
べ:へっ―――こっちも負けてられねえぜ、ヤイヤイ―――パライソにヒ=チョウ=ベイガンがあるのを知らねえか!!
ダ:ああん? 一体どこの馬鹿が―――うおっ!キサマら・・・!
キ:見つけたぞダンダーク―――! 今日がお前の命日と知れ!
ダ:そんな・・・左将軍―――はっ!下半身の龍がいなくなって・・・まるでヱリヤ様のような―――
〔ようやく一人前と認められた者の躍進ぶりには目を見張るところがありました。
今までは出たくとも出られなかったハイランダーとしての自分・・・それが母にも仲間にも認められ、
その嬉しさの余りつい力の加減を忘れてしまうほどの活躍をしてしまったのです。
しかも―――キリエの活躍は、早々とコヤリの守将を討ち、拠点を平らげただけでは留まらず、
残りのミノウ山・ジュラクに関しても平定に関与したのです。
そのことを―――コーリタニの地にて、然も知るが如くにこの人物は・・・〕
ヱ:フフ―――それでこそ・・・だ、わが娘よ。
思う存分カルマの奴らにお前の実力を見せてやるがよい。
半人前の力ではなく一人前となったお前の実力を―――な・・・
さて・・・私とてこのままここに居座ると云うのは芸のないことだ、ならば現在奴らが西部方面の本拠点としている処を叩いて、
彼らの邪魔をさせぬようにしておいてやるか。
〔ヱリヤは―――彼女は恐るべき将でした・・・
戦と云うものの見方を視野の狭いところでは見ずに、すでに大局的に見渡していた・・・
ヱリヤが今回の三拠点奪取に出向かなかった理由の一つに、これら三拠点の後方に控えている、
今となってはカルマの西部方面の本拠点となっている、元ラージャの王城ワコウをその眼中に捉えていたのです。〕