≪四節;夜襲―――闇夜にての邂逅≫
〔その日の―――夜更けのこと・・・闇のしじまを縫うかのように、どこかさざめく様な気配が・・・
しかしそれは、カルマ側の砦から出た、敵の寝込みを襲う―――と云う、夜襲の一団なのでした。〕
ミ:セシル―――大変だ! 向こうから討ってきたぞ!!
セ:(夜襲―――!)判りました・・・迎撃に当たります!
〔今回の戦自体大遠征ではないため、行軍による疲れはありませんでした。
けれどもここ数年に亘(わた)り、慢性的に続いている食糧難のため、依然として兵士の士気は低いまま・・・
こんな時に襲われたらどうなるのか―――そんなことは兵卒ですら分かり過ぎることだったのです。
―――が・・・夜襲は兵士たちが眠っているスキを衝いて行われることでもあったがため、
セシル率いる一軍の将や兵士たちも、次々とカルマ軍の軍門に下っていったのです。
そんな時―――セシルも不覚を取ってしまい、その場に転倒させられ・・・敵兵に討ち取られ―――・・・ようとしたのですが、
セシルが覚悟を決めて目を瞑(つむ)っても、敵からの―――生命を絶つための刃は中々下ろされなかったのです。
なぜならば・・・その場にはすでに―――
いたとしても、気配すら感じさせずにカルマ兵の背後に忍び寄り、一刀の下に斬り下げた者が・・・
その存在こそ、銀の髪を靡(なび)かせた―――カルマに仇なす者・・・〕
セ:ビーストライダー・・・いえ、サヤさん―――!
〔自分が危うい処を助けてもらった・・・しかし、その人物が何者であるかを知っていたがため、セシルは・・・ビーストライダーの名を叫んだのです。
ところが―――〕
子:何を云っているのか・・・全く要領を得ないね―――花の騎士。
それに、私はサヤと云う名を持つ者じゃない・・・泣く子も黙る、ヴァンパイアの子爵―――なのさ。
セ:だったら・・・どうして、私を助けたのです。
私のパートナーであるホワイトナイツのミルディンさんからは、あなた達ヴァンパイアは私たち人類の天敵だ・・・と―――
それが・・・どうして、同じ種属であるカルマの兵士を狩ることが出来る―――・・・
子:何を話しだすのかと思えば・・・そんなことなのかい―――
そんなことを・・・まさかあんたたちから云われることになるとはねぇ。
セ:えっ―――?
子:あんたたち人間は―――己の利権のためだけに、やはり同じ種属である人間を殺してきたじゃないか。
それを・・・そんなあんたたちが、私を責める謂われなんてないものさ。
セ:―――・・・。
子:それに―――私がカルマを相手にしてるのは、あんたらほど狭い理由じゃないんだよ。
セ:・・・だったら―――どんな理由・・・
子:どうやら・・・無駄におしゃべりをしちまったようだ―――これだからいけない。
どうもあの人の悪い癖が流行(うつ)っちまったみたいだよ―――
あんたも・・・今夜のことは綺麗に忘れちまうんだ、そうしないと・・・浮かばれない目に遭っちまうぜ。