<第百十二章;Vampaia Elagy―――U>
≪一節;夜のスタイル≫
〔セシルとミルディンが駐屯するラムベスが、カルマ軍の夜襲を受けていた頃、ハルモニカ城やマドュラの砦も、やはり同じくしてカルマの夜襲を受けていたのでした。
その中の―――ハルモニカは、イセリアや良きパートナーであるギルダスの働きにより、難無くしてカルマからの襲撃を退けていました。
しかし、リリアとハミルトンの駐在するマドュラにおいては・・・〕
兵:―――大変です! 砦の外に漆黒の軍旗・・・カルマの夜襲です!
ハ:なんだと―――ふむ・・・
リ:・・・他人の寝込みを襲うだなんて―――最低よね。
判ったわ、私が一軍を率いて迎撃に当たりましょう。
ハ:リリア、呉々も云っておきますが・・・
リ:判ってる―――大丈夫よハミル。
夜陰に紛れて襲ってきてるんだもの、どうせ大した数は―――・・・
〔静かな夜のしじまを破るかのように、当直の兵より敵襲あり―――との報告の声が・・・
すると、今まで身体を寄り添うようにして休ませていたハミルトンとリリアはすぐに飛び起き、この事態の収拾に対処するために動き始めたのです。
それに―――夜襲と云う事もあり、大した人数で来襲していないだろう・・・と、多寡を括り出撃しようとするリリア。
―――と、その時・・・〕
誰:そ〜の考え方、少し甘いんぢゃないの?
リ:ひえっ―――?! だ・・・誰よあなた!それに、どうして私たちの寝床に・・・?
誰:ん〜? いいじゃない―――いいじゃない、私のことなんてv
それよか残念ダヨネ〜〜同情しちゃったよ、私は。
リ:・・・ひょっとして―――見ていたと云うの? わ、私たちの・・・
誰:ホント、無粋な連中ダヨネ〜なってったってあなたの愉しみ邪魔しようとすんだもん。
でもね―――経験豊富な私から一言云わせてもらうけれど、やっぱベッド際ではがぶり寄らないと!
もぉ〜どっちがどっちか―――を寄り切るみたいな感じで!!
それから・・・いい?君―――こぉ云うのは最初が肝心なんだよ?最初にがっつり主導権握っとかないと、あんたはこの娘の尻の下に敷かれっぱなしになるよ?
ハ:私が・・・ですか―――?
誰:そ・お・だ・よ! こう云う時に男の偉大さ―――っちゅうもんを見せとかないと、あとあと大変・・・
リ:―――その前に・・・あなたいつから私たちの寝所に?
誰:えっ? ・・・ああ〜いや、まあ―――なんて云うかさ、この・・・男と女が最も密着するときに分泌(で)る芳(かぐわ)しい匂いに釣られちゃってさぁ〜〜v
リ:(・・・この出歯亀女が―――#)
・・・まあいいわ―――私はこれから夜襲の連中を片付けてくるから、ハミルはそれまでこの女の監視をしててちょうだい。
〔一体・・・いつからハミルトンとリリアの寝所に来ていたと云うのか―――黒っぽい外套の女性が一人・・・
しかも、この部屋で男女一組が何をしていたのか・・・の、一部始終を目にしていたが如くに、
突如襲来してきたカルマの暴挙に怒るリリアの境地を代弁してあげたものなのでした。
けれども―――自分たちの房中を覗き見られたと云う腹立たしさはあったけれども、
リリアは自分たちが預かっている砦の防備をするため出撃したのです。〕