≪二節;諦める?諦めない?≫
〔ところが―――いざ蓋を開けてみると・・・
リリアとハミルトンが駐在するマドュラの砦を襲ったカルマの軍は、リリアが思っていたほど少数ではなく・・・〕
リ:(そんな―――っ・・・!? この砦を攻めるためだけにこれほどの大勢を擁してくるとは・・・!!
これでは数が到底間に合わない―――近隣のハルモニカやラムベスから応援を要請しないと・・・!)
〔なんと―――この度、カルマがマドュラの砦を攻め落とすために派遣させた軍は、リリアの予測をはるかに上回る 二ヶ大隊 だったのです。
その事実を知った途端リリアは、この砦に駐留させてある自分たちの軍だけでは捌ききれないと感じ、
即座に近隣のハルモニカ城に詰めるイセリアや、ラムベスのセシルたちに応援の要請を打診しようと考えていたのです。
しかし―――その提案は、叶う事なく消えていくのでした。
それも・・・この場に出てくることのない―――自分最高のパートナーに監視されているはずの、あの女性からによって・・・〕
誰:あぁ〜あ―――ほらほら、私が云ってた通りじゃん・・・「考えが甘いんぢゃないの?」・・・って。
リ:ひぃいえっ―――?! ・・・って、ええっ?あ―――あなた・・・
誰:う〜ん―――いいリアクションだね〜♪ G,Jダヨ!
それより・・・この様子だと二ヶ大隊余り―――ってとこかね。
リ:そ、それよりも―――ちょっとあなた?! さっきまで私たちの部屋にいたはず・・・なのに、いつの間に―――
誰:いいじゃない―――そんなことは。
それよりさ―――どうする?こんな圧倒的な敵に囲まれて。
リ:そ、そんっ〜―――・・・そのことについては・・・・
誰:諦める―――?諦めない―――? さあ・・・どっち?!
リ:だっ―――誰が諦めるものですか!
確かに・・・私一人が諦めれば、マドュラは陥ちてしまう―――けど、そのたった一つの諦めが、悪い連鎖を引き起こしかねないわ。
誰:その通りさ―――判ってるじゃない・・・。
「諦めが人を殺す」―――昔の人はいいことを云ったもんだ・・・それに、あなたは諦めない―――と、云った・・・上等じゃないか。
―――ねえ、あなた・・・お名前は?
リ:えっ―――・・・リリア・・リリア=クレシェント=メリアドール―――ですけど・・・
誰:そう、リリアちゃん―――て云うの・・・いい名前ね。
それじゃ私の名は―――・・・
エ:エルム=シュターデン=カーミラ・・・覚えておくんだね、リリアちゃん―――
〔出撃前のリリアに助言を与えた人物は―――自身のことを紛れもなくエルムと云いました。
そう・・・『帝國の双璧』の一人でもある彼女は、半ばどういった経緯であれ―――現在は東部戦線の最前線の一つであるマドュラに来ていたのです。
そして・・・そこで交わされたやり取り―――
群がりくる敵軍を前に、「諦める」か「諦めない」か・・・
無論リリアとしても、諦める気など全くなかったので、そのことを口走ると―――
自身のことをエルムと名乗った女性は、口の端に不敵な笑みを浮かべた・・・そう思った次の瞬間―――敵の只中に飛び込んで行ったのです。〕