≪三節;正義の鉄槌≫
〔しかし、その光景を目の当たりにしてしまったリリアは、まるで悪夢を見ているかのようでした。
確かに、その女性に関しては驚かされることが多かった―――に、しても、
今度ばかりはなぜその人がこう云う行動に移ったのか・・・が、判らないでいたのです。
第一 ―――エルムと名乗る女性は、夜の所為もあってか・・・少し血色が悪いようにも感じたし、
武人である自分や他の仲間達に比べると、遜色―――華奢にも見えた・・・
それが―――その人は、強兵で知られるカルマ軍の只中に、身を躍らせたと云うのです。
自分が付いていながら―――・・・
そうリリアは・・・幾度となく思ったことでしょう―――
けれどリリアは、エルムが何者なのかは知らなかったのです。
ともあれ―――血生臭い戦場に現れた、危険な香りのする女を囲み、カルマ兵たちは・・・〕
魔:のほほほ〜♪こいつはこいつは―――・・・何ともえれぇ別嬪がいるぢゃねぇのさ・・・
魔:ああ〜・・・何ともたまらん躰つきをしていやがる―――早速押し倒して、色んなところを責めてやろうぜ〜〜♪
エ:ン・フフフ―――・・・おやおや、お盛んだコトv
私も・・・そんな無理矢理的なこと―――嫌いじゃないんだけどサ? 乱暴だけはやめてね〜v
〔そそるような―――甘ったるい声・・・加えて、その瞳からは、総ての生きとし生ける者を瞬時にして虜としてしまう「強制魅惑」が発生していました。
しかも、躰から分泌(で)るフェロモンには、普(あまね)く牡の生殖欲を充たし、惹き付ける効能があると云う・・・
そして今―――・・・〕
魔:へっへっへっ・・・ら、乱暴はしねえからよ! と・・・とっととオレといいことをおっぱじめちまおうぜい!
魔:ば―――ばっけろい!モ・・・モレが先だ!!
エ:フフフフッ―――喧嘩はしないのv
だって―――あんたたち・・・
――これから一緒に死ぬんだから・・・――
=昇竜烈波=
エ:・・・フン―――弱っちぃ。
よくもこんなんで私をどうにかしよう―――って、云えたもんだねぇ。
魔:なっ―――あっ?? こ・・・これは・・・強制魅惑?? すると・・・お前、まさか―――
エ:フ・フ・フ―――それじゃ・・・始めるとしようか?!
〔総てが―――罠・・・
そう、真祖がカルマ軍の只中に身を躍らせた時分から、魔物の牡のみを惹きつけ、そう云った行動に奔らせようとした・・・
そしてまんまと好餌に誘(おび)き寄せられた者達を手に掛けると、すぐさまその罠は解除されたのです。
それこそが真祖の真の目的―――魔者の注意を人間ではなく、こちら側に注がせる事が。
そのあとは―――云うまでもなく、真祖の・・・心ゆくまでの闘争が開始されたのです。〕