≪四節;素姓≫

 

サ:すいませんした〜〜けども、こっちにも事情〜っつうもんが―――・・・

 

リ:いや・・・まあ・・・しかしねえ―――?

イ:それはそうと・・・そちらの方は顔色が優れないようですけれど、大丈夫なのですか?

 

エ:へっ? ああ〜だいじょぶダイジョブ―――私はこれで普通だから。

  それよりさぁ〜仲良くなった暁に、パーッとなんか美味しいもんでも食べようヨ♪

  ん・じャあ〜どんどんばかすか何でも持ってこ〜い!

 

サ:(はぁ〜あヤレヤレ――― 一時はどうなる事かと・・・)

 

誰:―――おや、公爵様ではありませんか、いらしていたのですか。

エ:ん? あら・・・マダラじゃない―――どうしたよ〜いい男がv

 

マ:いえ―――食堂に備蓄しておかねばならない食材が尽きかけていたので、その調達を・・・

  何せ調理をする材料がなければ、この分局も畳まなければなりませんから。

 

 

〔今まで隠していたことは謝る象(かたち)で赦してもらい、同席していたエルムも和んできたモノと思い、揃ってお食事をしよう―――と、云う事のようですが、

するとここで、色んな食材を両脇に抱えて食堂に戻ってきた男性が・・・それがこの食堂の料理人であるマダラ―――だったのです。

 

ところが・・・この二人の何気ない会話を聞いていたこの人物が、今の会話の中に重要なことが隠されていたことに気付き―――〕

 

 

イ:なんですって?ちょっと待って―――あなた今この人のことを何と?

  「公爵」・・・? 公爵と云えば、この東部にある杜―――「ヴァルドノフスクの杜」に居城を構える者の別称・・・と、聞いたことがありますが。

エ:ふぅ〜ん・・・あなた確か、イセリア―――って名前の人だったよね、いい処に気がついた・・・何かご褒美でもあげようか。

  そうだ・・・こう云うのはどうだろう、この公爵エルムの名前―――エルム=シュターデン=カーミラ・・・

  古き時―――ある方を支え、そして現代に甦りお前たちを手助けするように命じられた・・・こう云えば納得できるかい。

 

 

〔イセリアは、パートナーでありホワイトナイツであるギルダスから、ヴァルドノフスクの主のことについて聞いていました。

 

人間たちの手が入ることのない深い杜で・・・ひっそりと暮らす種族―――

その身は既に死んでおり、而して自らの強大な魔力によって復活を果たした畏るべき者・・・

「不死の王」

「夜魔の王」

「生者の敵」

 

しかし―――伝承によれば、古(いにし)えの皇の勢力に加担をし、よろしく助けたとも云う・・・

そしてそのことは、図らずもエルム本人の口より語られるところとなったのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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