≪四節;東部方面のカルマ≫
〔そんなパライソ勢とは打って変わって―――
こちらの方面を殊の外重要視していたのは、なにもパライソ側だけではなく、現在領有しているカルマも同じことでした。
ヒューマンのみならず、魔物にとっても食糧の確保は最重要課題であることは、変わるわけではなく・・・
実質上の主戦力の投入―――
そう・・・世に云う、「カルマ七魔将」を、この時期のこの現場に配備させてきたのです。〕
キ:(キュクノス;七魔将の一人。 七人いる魔将の中では一番に体格が巨きく、気性も荒い。)
フン―――・・・パライソが何者かは知らんが、ワシらの前に立ちはだかろうとする痴れ者は、死あるのみよ!!
フ:(フォルネウス;七魔将の一人。 ・・・とは云っても、前述のキュクノスとは格が違う。
キュクノスは ただの 七魔将だけれども、フォルネウスはそのなかでも「三傑」と呼ばれている。)
気勢を挙げるのはお前の勝手で構わんが・・・大王閣下は殊の外この地を重要視されておられる・・・。
努々(ゆめゆめ)―――油断などはしないことだ・・・な。
キ:判っとるわ―――!
(ケッ・・・面白くもねぇ―――なんだってワシと共に三傑のこいつが・・・)
〔しかも―――厄介なことに、配備されてきた七魔将は二人でした。
それに、その中味の構成は、あの「三傑」の一人を投入させるなど―――カルマの意気込み様も見て取れるというもの・・・
それにしてもこの人事の構成は意味のあったことなのか―――
それが意味があるのです。
以前―――キュクノスが、憂さ晴らしに・・・と、こちらの方面に赴いてきた経緯がありました。
ですが・・・カルマ軍中枢からは、彼にそのことを指示した形跡はなく、事の次第の報告もキュクノス自身からはないまま―――
後日になって、ハルナ城の守将からの報告によって事の次第が詳らかになった・・・など、
キュクノスの一軍の将としての自覚や管理責任が問い質されてしまったため、
今回は彼の監査役として、三傑の一人でもあるフォルネウスが付いてきた―――と、云うのです。
ですが・・・そのことは相手側から見れば、カルマの―――こちら方面の戦力の強化と云う象(かたち)に映ってしまい、
彼女たちにとっては当面の障害ともなってくるのです。
そしてこのことは―――数画も経たずにある者の処に伝わり・・・〕
イ:―――誰なのです・・・そこにいるのは。
梟:梟(きょう)―――と、申し上げます。
たった今、ハルナ城に畏るべき者達が到来いたしました。
イ:・・・“達”―――とは?
梟:七魔将が二名―――そのうちの一人は・・・三傑。
イ:・・・なるほど―――敵は戦力を補強してきましたか。
ですが、こちらはそれを見越した上で、ジュウテツのみに的を絞ったのですからね。
〔いつの間にかハルモニカ城内に侵入をしていた者―――=禽=の梟は、イセリアが自分に気がつくと今回配備された二人のことを告げたのです。
けれど・・・二人の固有名詞―――名前まではあえて口にはしませんでした。
なぜ・・・=禽=の中でも頭目的地位にいる者が―――
けれど梟は気付いていたのです。
今回配備されたカルマ七魔将・・・そのうちの一人が―――イセリアの愛しの人の命を奪った当人である・・・と、云う事を。
だからこそ、明言は避けていたのです。〕