≪四節;恨雪可(ウラミ・・・ソソグ・・・ベシ)

 

 

〔しかし―――逆に深まる疑問もあり、そのことを訊こうとすると・・・〕

 

 

リ:あの―――・・・エルム様たちひょっとすると・・・

 

エ:―――私とこいつとは、今から50万年前のサライの異端審問の一派でね・・・

  だけど、こいつの遣り様は最早宗教人としての範疇を越えていたんだ、

  だから・・・私が、こいつのことを当時の大司教でもあった アソウギ=ヴィシュヌ=シルメリア に、内部告発をしようとしたんだよ。

  けど・・・その矢先―――やはり当時、諸国を敵に回していたカルマの連中に襲われてしまってねぇ・・・その時には、勿論こいつが―――

 

リ:そんなことが―――・・・

 

エ:フッ・・・七万年前には私の前に現われてくれなかったようだけど―――私の他にいい人でも見つけたのかい。

  喩えばほら・・・トロルやオークとか―――さぁ。

 

キ:ク・ク・ク―――ナニを云っている・・・お前以外にいい女がどこにいると云うのだ・・・

 

エ:ふぅ〜ん・・・と、云う事は―――つまり・・・

 

キ:決まっておろうが! お前を腕力で捩じ伏せ、腕力で蹂躙してこそわが本懐よ!!

  それに・・・ククク―――お前の体術の教官は、一体誰だと思っておる・・・

 

エ:そう云う処が気に食わないんだよ!昔からね・・・

  ―――リリアちゃん・・・今すぐにここからお逃げ・・・

 

リ:あ―――は、はい・・・

 

キ:そうはさせるかぁ―――! 要は勝てばよいのだ!

  そのためには最大限のモノを活用させてもらうぞ!!

 

エ:その子を盾に取るつもりかぁっ―――! 相も変わらず卑怯な・・・

 

キ:何とでも云うがいい・・・逆に、その非情さ―――冷酷さが欠けておるばかりに、お前はいつまでもワシを越えられぬのだ・・・。

エ:云うなぁっ! 私は・・・人間の温かみでさえも捨てた―――あんたのような鬼畜になどなれはしない!!

 

 

〔徐々に・・・顕わとなってくる、ヴァンパイアと魔将の縁(えにし)―――

元は同僚とは云っても、出世のためには多少の犠牲は厭(いと)わない上司と、そんな上司の下でも自分の矜持を変えずに抗ってきた部下・・・

 

それに・・・その人は思っていたよりも優しかった―――

魔将の武器に捕らわれていた自分のことを、こんなにも心配してくれるなんて・・・

 

それなのに―――私は・・・

 

強大な敵の前に、ふと触れた優しさに―――リリアの中でのエルムの人物像は徐々に書き換えられていったのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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