<第百十八章;闘争嗜好者(トウソウヲコノムモノ)>
≪一節;敵中へ・・・≫
〔エルムの父親である大公爵エルムドアが現世に復活したことに伴い、非業の死を遂げてしまったエルムの仇を討とうとしたリリアとマキは、
仇であるキュクノスがいると思われる、カルマ三大兵糧庫の一つジュウテツ砦の前哨基地、テイグン山に乗り込んでいました。
しかし―――この場に現れたのは、リリアにマキ・・・それに大公爵エルムドアのみ。
そう・・・リリアの配下である兵士たちは一兵たりとも伴っていなかったのです。
つまり―――このことは・・・〕
リ:こっ―――ここは・・・もうすでに敵の前哨基地の中? あの一瞬で・・・
魔:ぬおっ―――何者だ貴様ら・・・
魔:出会え〜〜出会え〜―――狼藉者だ!!
マ:ヘッへ―――ン! これからエルムちゃんの弔い合戦だ! ド派手に・・・ブチかまそうぜいっ!!
〔親しい者の仇討ちと云う事で、否が応でも気勢が上がるリリアとマキ―――
ですが、彼女たちが転移したのは敵のど真ん中・・・
しかも―――率いていた一軍毎・・・ではなく、文字通りのたった三人のみ・・・
それに、仲間内であるイセリアやセシル―――ミルディンやギルダス・ハミルトンたちには、今回のことは申し合わせてなどはおらず、いきなり窮地に立たされるのですが・・・
二人とも肚を括った上での決意でもあっただけに、奮闘・奮戦は続いたのです。
それよりもリリアが驚いたのは、未だその顔にあどけなさを残すマキが、カルマの魔物兵相手に縦横無尽の大活躍をしていたということ・・・
けれどもリリアは―――いや・・・この弔い合戦に参加した者達は、次第に驚くべきこと・・・ヴァンパイアたちの闘争を知ることとなって行くのです。〕