≪二節;仇討ち≫
〔そして・・・次第に、この前哨基地で起きた異変は、この基地に逗留していた魔将の耳にも入り―――
魔将・キュクノスが駆け付けた時にはすでに、基地の半数以上の兵が討ち平らげられていたところでした。
それにそこには―――寡数ながらも勇猛果敢に立ち向かい、少なからずもカルマ兵を遠巻きにさせている者達が・・・〕
大:ふむ・・・見させてもらったが―――中々に良い動きをする。
実に良い素材のようだ―――賞讃に価する・・・。
リ:―――エルムドア様、なぜあなた様は今の戦いに・・・
大:「戦い」―――・・・ふむ、ひょっとしてそれは、今の児戯にも等しいモノのことかね。
つまらぬモノは、当該者の感性を著しく鈍らせる結果ともなり得る・・・汝は、余の感性を鈍らせてどうするつもりだね。
リ:・・・そう云う―――つもりで申し上げたのでは・・・
(何てこと・・・この方の目には、私やマキさんの戦いが児戯にしか映ってはいない―――
でも・・・だとすると、それは―――それだけ自信があることの顕れ・・・)
マ:―――ねぇ・・・リリアちゃん。
リ:えっ―――ナニ?マキさん・・・
マ:あいつ・・・だね―――
〔また・・・だ―――また・・・先ほどより狂気の輝きが増した・・・
この子はただ、感情の抑制が利かないままに、怒りや憎しみと云ったような負の感情の感受性を増幅させている・・・
そのことは最早―――人間の範疇を越えたものであり、この基地に充満しているカルマ兵のそれにも近しいモノである・・・と、リリアは一様に危惧したものだったのです。
しかもこの場には―――最悪の事態・・・あのエルムを虐待し、今こうしてマキの負の感情の増幅を助長させている、カルマ側の当人・・・キュクノスの姿が―――
それに、復讐心のみを滾らせるマキを抑えようか・・・と、躊躇するリリアに―――〕
大:―――よい、やらせておけ・・・
リ:で、ですが―――このままでは・・・
大:フフ―――・・・愉しもうではないか、汝の云う「戦い」というものを。