≪四節;闘争の矜持≫

 

 

〔どんなに打ち砕かれ―――どんなに斬り裂かれ―――どんなに擂り潰されても・・・瞬く間に驚異の再生能力で復活を遂げていくキュクノスの身体。

そのことを・・・頭の中では判り切っていても、本能が赦せない―――と、云っている・・・

 

だからこそ攻撃の手を休めてはならない・・・と、するのですが。

 

この時―――只一人傍観を決め込んでいた人物が、ようやくにしてその重い腰を上げ・・・〕

 

 

大:まあ・・・待ちたまえ―――汝らの、余の娘に対する思いと云うのは判った。

  ならば、もう無駄なことはよし給え―――

 

マ:でも・・・でもぉっ―――!

 

大:リリア―――と、やらよ・・・汝は賢いからすでに気付いているのであろう・・・

  なぜに・・・余が・・・汝らの「戦い」と云うモノに加わらなかったのか―――

 

リ:・・・・ようやく―――ご自分から見せて頂く気になれたのですね・・・

 

――大公爵様――

 

                                     

 

キ:なんだと・・・大公爵―――?

 

大:―――いかにも・・・余は、汝が討ったという公爵エルムの父なる存在・・・

 

                                                   

・・・マサ―――

 

キ:(な・・・なんだ―――今の感覚は・・・ワシの内から・・・何が?)

 

大:フ・・・―――現在のカルマがいかほどのものか・・・汝で検分するとしよう。

  さあ・・・かかってきたまえ―――

 

キ:フン―――クハハハハ! お前は今まで何を見ておったのだ?!

  あの二人が束になってかかっても敵わぬワシを―――それをお前如きが? 笑わせおる・・・

 

  おい、お前―――あのエルムの姿を模してワシの動揺を誘うつもりだったようだが・・・

  残念ながら、ワシはそんな道化にも等しいチンケな術にかかるほど、生憎優しくはないのでなぁ・・・

 

大:フ・フ・フ―――・・・それでよい、今の余のこの姿は、便宜上こうさせているにすぎぬ・・・

  それに、今までに見させてもらったところ、汝もただ―――弱きを弄(なぶ)る嗜好は持ち合わせてはおらぬようだ・・・

 

  気に入ったぞ―――キュクノスとやら・・・

 

  汝の名は、余が覚えて居ておいてやろう・・・

  喩え―――歴史と云う、幾星霜の時の流れに埋(うず)もれ・・・皆が汝の名を忘れた―――と、しても・・・

 

  さあ―――愉しもうではないか! 純粋に・・・闘争と云うものを!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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