≪二節;好ましくない風聞≫

 

 

〔それに・・・ある意味ヱリヤの方でも判っていました。

 

失態―――ではないにしろ、やってはいけないことをしてしまった・・・そのことによる批判を受ける覚悟はしていたのに・・・

 

どうにもこう云う手合いには弱い―――・・・

 

ヒューマン達の前では、自分たちは異種であり・・・疎んじられる傾向はあるにしても、たまによく―――こう云う人種を見かける・・・

 

自分の・・・心の琴線に触れてくる者―――

 

そのことで鼓動が速くなっているのを気付かれないようにするため、またもや強い口調でその場を逃げるように去ってしまう・・・

 

どうして―――私はこうも・・・素直になれないのだろう・・・

 

ヱリヤは、一人部屋へと戻り、そのことを反省していたのでした。

 

 

すると―――・・・予(かね)てよりだったのか、ヱリヤの部屋に呼ばれていた人物が・・・〕

 

 

キ:―――失礼いたします・・・あの、ママーシャお話しと云うのは・・・。

ヱ:ああキリエ―――お前か・・・いや、二・三気になることがあったのでな。

 

キ:・・・それはもしかすると丞相のことでしょうか―――

ヱ:やはり・・・気の所為などではなかったか―――

  どうもこの度のラージャからの攻勢の手並みと云い・・・私たちがよく知るものだとは感じていたが―――

  それで―――?

 

キ:実は・・・私もサヤさんも一度見たきりで、あの方の転移のウィルドグラフで軽くあしらわれてしまいました・・・。

  けれどもあの一瞬―――ほんの一瞬・・・どこか物哀しげな表情になったのを見たんです。

ヱ:ふぅむ・・・そう云えば―――ここ十数年前くらいに、北の洞窟にあるラビリントスに探検家が入った・・・との噂を耳にしたことがあるが・・・

  ―――まさかな・・・

 

キ:そのことか―――どうかは定かではないのですが・・・

  私とコみゅ・乃亜が、発動前のシャクラディアを訪問した際に、偶然女禍様のアストラルバディにお会いする機会があり、

  あの方もハーベリウスのラビリントスの異変を嗅ぎつけていらっしゃいました。

ヱ:ナニ?そんなことが―――・・・ふぅむ・・・

  (・・・と、云う事は、かなり信憑性が増してくるな。)

 

 

〔ヱリヤには、ここの処少しばかり気がかりなことがありました。

その一つが―――ここ最近のカルマの侵攻の仕方に、自分たちが知っている或る者の影が見え隠れしていた・・・と、云う事。

 

その或る者・・・と、云うのは、自分たちをよく律し―――国のため・・・皇のために・・・と、育て上げてくれた 丞相 と云う高官だったのです。

 

しかも、ここにきて信憑性が増したこと―――

それが・・・ヱリヤの部下であるキリエに、エルムのエクスワイヤーであるサヤも、丞相の姿を視認していたという事も然ることながら、

やはり一番大きかったことは、キリエが以前ドルメンであったシャクラディアを訪れた際、偶然に出会う事となった女禍様のアストラルバディ・・・

その方からの、警告とも思える一言に、古(いにし)えに智でのサポートをしてくれた人物が、どうしてか今回は敵として出現してきている・・・?

 

するとそこでヱリヤは一つの決断をしました・・・それが、自分たちで重要な戦であると感じない限り、積極的に前線へ出ることを禁じたのです。

 

それともう一つ―――・・・〕

 

 

ヱ:それはひとまづよしとしよう―――・・・それよりも、もう一つ私が気がかりとしていることがある。

  それは―――・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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