≪四節;禁忌の術≫
〔不遜なる者は・・・高らかに笑う―――
人非人(ひぴにん)の如きに批難されたとて、自らの立ち位置がそうなのだから・・・と、一笑に附し、
なおかつ―――また新たな贄を模索し始めたのです。
すると・・・今まで静観していた人物が―――〕
大:フ・フ・フ―――なんとも面白い光景よ・・・
すでに人に非らざる者になった余の娘を―――こうまで慕ってくれる者が出てこようとは・・・な。
エルムよ―――汝は、良き友を持ったものだな・・・
リ:(エルムドア様・・・?)
マ:(おっちゃん・・・)
大:―――だが、やはり汝らは勘違いをしておる。
余が、余につけられたこの傷を修復再生せぬのは、余が故意にそうしているからであって、何もエクソシズムにより縛られているわけではない!
見よ・・・あの天空に―――高らかに昇る、余の魔力の象徴を!!
〔すると・・・大公爵に促されるままに上空を見上げたリリアは―――
「紅い」・・・一目見たときからそう思いました―――
そう・・・天空には、「紅い」―――それもまるで生贄の血によって真っ赤に染められた祭壇のように・・・
――真紅く――
――禍々しい――
――満ち足りた月が・・・――
・・・昇っていたのです―――
そして―――さらには・・・〕
大:キュクノスとやら・・・これからの余の闘争の前座としての余興には過ぎたるものであった。
よって―――褒美を取らせよう・・・
さぁ・・・見届けるがよい―――かつて皇をして、禁忌の術と云わせしめた余の術を!
=裏面・666式:ワードオブペイン=
〔なぜ・・・どうして・・・大公爵エルムドアは、キュクノスの技によって傷つけられた箇所を修復しなかったのか・・・
しかし―――それこそが総てこの技のための布石・・・
自身につけられた傷痕を、相手にそのまま意趣返しすると云う―――驚異の術・・・
そう―――いわゆる・・・キュクノスが付けた傷は、位置・深さ共に寸分違わず同じくして、彼自身の身体に負う処となり・・・〕
キ:う゛・・・ごお゛〜・・・ごがあ゛あ゛あ゛〜〜!!
な・・・なんだぁ〜〜こ―――これはあぁぁ゛・・・お゛・・・お゛ま゛え゛ぇ゛〜・・・な―――なにをしだぁ゛〜!!
大:ほほう―――中々頑丈のようではあるな・・・
好いぞ―――素晴らしいぞ―――さぁ、もっと余を愉しませてくれたまえ!!
〔まるで・・・肉食獣が、獲物を捕らえた後の様に―――弄玩(もてあそ)んでいる・・・
リリアの目には、エルムドアの行為がそのように映っていました。
それに―――エルムドアの身体を見てみれば、先ほどキュクノスにつけられた傷痕は跡形もなく・・・
しかし、リジェネレーターであるはずのキュクノスの身体には、なぜかしら傷の再生は行われていきませんでした。
それもどうやら―――・・・〕