≪二節;闘将の覇気≫

 

 

〔それに、リリアがそう思うようになったのは、この直後の出来事―――・・・

カルマ東部戦線においての切り札の一つともされていた、七魔将の一角キュクノスが破滅したことにより、

ジュウテツの前哨基地であるテイグン山に詰めかけていた彼の部下がざわめき立ち・・・〕

 

 

魔:ああっ―――貴様らいつの間に・・・?

魔:そ―――それに・・・血塗られた百足鎖鞭があるのに、キュクノス様のお姿が〜・・・

 

エ:何をごちゃごちゃと―――うるさいよ・・・お前たち、あいつがどうなろうと私の知ったこっちゃないね!

 

ゴ:(ゴルベーザ;キュクノスの副将・・・だ、が―――)

  ぬんっ?! そう云う貴様は・・・エルム―――?!! それによく見ればリリアも!

 

リ:くっ・・・ゴルベーザ!

エ:お待ち・・・今はリリアちゃんもキュクノスの奴と闘(や)って疲れていることだろう―――

  だから今はゆっくりと身体をお休め・・・

 

  その代わり―――随分と不足だけど、お前たちの相手はこの私がしてあげよう!

  光栄に思うんだねぇ・・・魔界の公爵であり、パライソの車騎将軍であるこの私自らが相手にしてやることを―――!

  ・・・よろしいですわね、お父様―――

 

大:余ならば・・・構わんよ――― 一向に。

 

 

〔この前哨基地にいるキュクノスの配下たちは、自分たちの主が今現在どうなってしまっているか・・・知る由さえありませんでした。

 

ただ一つ云えたことは―――これから始まる公爵エルムの闘争が、いかほどのものであるのか・・・

彼らはその身を持って思い知ることとなったのです。〕

 

 

エ:さぁ〜て・・・と♪ お父様からのお許しも出たことだし―――そろそろ征(い)くとしようかねぇ〜♪

  まづはゴルベーザ―――お前からだ!!

――バーンナックル――

――タイガーキック――

――パワーダンク――

―=斬影裂波=―

 

 

〔「凄い・・・」思わずリリアの口からは、感嘆の言葉が漏れていました。

 

エルムは、他の将兵たちや自分とは違い、何も武器を携えていませんでした。

けれど、その最大の理由が、今ここで紐解かれたのです。

 

ご存知の通り、エルムの種族はヴァンパイアであるため、強大強力な魔力を有している・・・

その魔力を魔術によって変換、行使しているわけなのですが―――

実はエルムの実力が最大限に発揮されるのは、その拳においてのみ―――

その正体こそが、エルムが操る 闘技(アーツ) だったわけなのです。

 

しかも―――残敵掃討にも、如何(いかん)なくその技は炸裂していき―――・・・〕

 

 

エ:フフ〜ン♪ 一丁あがりぃ〜!♪ ・・・ま、こんなもんかね―――

  さぁ〜て♪ 身体も温まってきたことだし―――残った者達も・・・覚悟はいいかい・・・。

 

魔:ヒ・・・ヒエェ〜!に・・・逃げろ〜〜―――!!

 

エ:だ・あ・めv に・が・さ・な・いv

―=ダークネスイリュージョン=―                                                                                                                           

―=鳳凰脚=―

―=ブレイクスパイラル=―                                                                          

―=ルミナスイリュージョン=―

―=エリアルコンボ=―

 

リ:(うっはぁ〜〜・・・なんだかいつもと違って―――別の意味で活き活きとしていらっさる・・・

  それにこっちも・・・)

マ:うしゃ〜! イケ―――ぶちのめせ〜! 右だ〜左だ〜それ―――トドメだぁ〜!!

 

 

〔キュクノスの副将であるゴルベーザのやられ様を見て、今更ながら実力がケタ違いであることを認識するカルマ兵たち・・・

けれども、そんな彼らを見逃すはずもないエルムは、喩え自分たちに背を見せて逃げようとしたところで容赦はなかったのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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