≪五節;ほくそ笑む者達≫
〔しかも、今回の・・・キュクノスの不手際により、カルマ側の砦の一つが陥落してしまったことを、どこか喜んでいるかのような物言いに、
フォルネウスも憮然としてその場を去った―――そのあとで、カインとその仲間は・・・〕
ヒ:(ヒヅメ=ヤトー=キュベレイ;元クーナの・・・つまりはこの国出身者。)
カインさん―――・・・
カ:うん・・・どうやらあの噂は本当だったようだ。
ギ:(ギャラハット=シャー=ザンフィル;元クーナの出身者にして、天籟聖騎士団の団長。
ヒヅメは彼の養女。)
つまり―――魔将の一角が切り崩され、砦の一つも失ってしまった・・・と。
カ:その通り―――だ、とするのなら、私たちが動かなければならないのは今をおいてないのだが・・・
カルマ本国にいる、協力者のシホ殿からの連絡がまだないのだ。
ヒ:・・・あの人、信用がならないよ―――
カ:フフ・・・まあ確かに、あの人のお道化(どけ)た態度はこの私をも凌駕するものだが―――
あの人の洞察力と慧眼は、我々以上・・・かもしれない。
ギ:ヒヅメ―――・・・
ヒ:お養父(とう)さん―――
〔彼らこそは、カルマ国における「獅子身中の蟲」―――その存在を知られることなく、国家に反逆の刃を向ける集団だったのですが、
たった一度だけ―――そう、ヴェネフィックの兄妹暗殺の件だけは、『そうなのではないか』・・・と、云う疑いの目が周囲から浮上してきたのです。
ところが―――彼らのこの危機を察したのか、志を同じうする人間・・・シホからの働きかけにより、危うく虎口を脱せられていたのです。
それに、今回自勢力の将一人と砦の一つが相手勢力の手に落ちたことにより、そろそろ次の段階に進んでもよいのでは・・・と、云う意見もあるのですが、
カインにしてみれば、この国において唯一の協力者とも云えなくもないシホからの協力を得たい―――と、したのも本心からだったのです。〕