≪五節;この身朽ちるまで≫
〔ところが―――しばらく経つと、戦況は意外な展開に・・・〕
マ:―――ああ!うぅっ・・・
リ:―――マキさん?!
ギ:感心しませんな―――戦闘中に脇見など!!
リ:し・・・しまっ―――あぁっ!
ヒ:・・・昔は―――あんたを捕まえようにも、箸にもかからなかったあたいが・・・
リ:やっぱり―――・・・あなた達、知り合いだったのね。
ヒ:これから、死に逝く者に―――応(こた)えなど・・・ない。
マ:えへへ・・・負けちゃった―――最後の最後に・・・
でも、いいんだ―――あたし、ヒヅメちゃんになら、殺されたって文句なんか云わないよ・・・。
ヒ:マ・キ―――? まさかあんた…手加減をしたとでも?!
マ:・・・しようがないじゃないか―――哀しすぎるよこんなの・・・
わざわざ死のうとするために、あたしたちの前に出てきた―――ヒヅメちゃんたちを・・・
ヒ:ど―――どうしてそのことを!?
マ:判るよ・・・ヒヅメちゃんたちの目を見ていたら―――死にたがっているんだもん!二人とも!!
あたしってばさ・・・昔っからこんなことしか能なしだったから―――判ってきちゃうんだ・・・
他人の血を浴び・・・他人の屍の数と量で、この命を存(ながら)えてきたあたしだから・・・
だから―――そんな目をしているヒヅメちゃんたちを、どうにかして思い留めさせたかったけど・・・
あたしじゃ―――力の加減なんかが判らないから・・・だから・・・!!
〔所詮は「その気」になれない戦闘―――・・・故に、それは確実にマキの腕を鈍らせる結果となり、
今ここに勝敗の結末が明らかとなってしまっていたのです。
それに・・・その悲壮なまでの決意を、戦闘が始まる前に感じてしまったマキは、
自分が止めたいけれど止められない―――だけど、異国の地にて・・・果てまた生まれてより始めて仲の良くなった他人を、
その手に掛けるのを好しとしなかったため、逆の立場に追い込まれてしまったのです。
ところで―――胸の奥に秘めていたことを看破されたヒヅメは、その決意が鈍るものかと思われたのですが・・・〕
ヒ:―――ふざけんじゃないよ!
じゃあ・・・あたいたちの覚悟はどうなるって云うんだ!
今までにも多くの・・・あんた達の国の兵士や人間を殺してきたあたいたちが―――・・・
そんなあたいたちを、許せるはずもないだろう?! だから・・・この身が朽ちるまで、戦場に身を置くしか―――・・・
〔「死してなおこの屍を拾う事莫れ」―――それこそが、ギャラハットとヒヅメが胸の奥に秘めた、悲壮なる決意そのものだったのです。
ならば・・・そのことを知ってしまった時、果たして「その気」になれるでしょうか―――
結論からすれば・・・なれようはずもない―――
けれども、その場には新たな屍は築かれることはなかったのです。
なぜならば―――〕
ヒ:あんた達が―――その気になれない・・・って云うんなら仕方がない。
あんた達を斃して、新たなる死地に赴くまで―――!
マ:(ヒヅメ・・・ちゃん―――)
リ:(もはや・・・ここまで―――!)
〔リリアもマキも―――ヒヅメ達の決意を知ってしまったからには、彼女たちに対しての戦意が上がるはずもありませんでした。
だからこそ―――両者は首を項垂(うなだ)れ、自分の命を絶つ刃を待っていたわけなのですが・・・
そんな状況の下であっても、新たな屍は築かれることはなかったのです―――それというのも・・・
不意にリリアの視界に入った、空間転移のための歪(ひずみ)―――・・・
するとそこから勢いよく飛び出してきたのは―――〕
―=スピン ドライヴ スマッシャー=―
ヒ:ああっ―――!?
ギ:―――ヒヅメ?!
マ:ヒヅメちゃ―――ああっ!!
リ:あ・・・あなたは―――?!
エ:ふう〜・・・どうやら、間一髪だったようだね―――
マ:エルムちゃん/様―――!!:リ