≪三節;強者必滅≫

 

フ:サア―――・・・ドウシタ、サッサトキサマモ アウゴエイデスヲ ダスガイイ・・・

  ソシテアラタメテ決着ヲツケヨウデハナイカ!!

 

ビ:フッフフ―――クックックッ・・・何ともおめでたい。

  まだ気付かないものと見える・・・現在のこの私の状態こそが、私自身の 真の姿 だというのに。

 

フ:ナニヲザレゴトヲ―――キサマノ究極体ノ姿ハ、コノオレダトテ知ッテイル。

  ナノニ・・・ソノ人間ノ姿ガ、キサマノ真ノ姿・・・ダト?

 

  ・・・マ―――マサカ!?

 

ビ:もう・・・これ以上、これから死に逝く者への偽りはいらないだろう―――

  そう云う事だ、もう―――お前たちを束ねていたビューネイ=グリード=サルガタナスは、この世に存在していない・・・。

  なぜならば、この私が―――彼を私自身の内に取り込んだからだ。

 

フ:ソンナ・・・バカナ―――?!!

  オレタチノ内デモ、レゾンデートル・ポテンシャル共ニ他ヲ圧倒シテイタカラコソ、アヤツハオレタチノ筆頭ニナリエタノダ。

  ソレヲ・・・ダトシタラ、オ前ハ アヤツヨリモ器ガ大キイトデモ云ウノカ―――!

 

ビ:この私が・・・ビューネイよりも器が大きい―――?

  中々嬉しいことを云ってくれるものだな・・・しかし、結果を見れば云わずもがな―――なのだがね。

 

 

〔とは云え、喩えそうであったとしても、フォルネウスには安易に受け入れ難い事実でした。

七魔将であった以前に、ある組織の古参幹部の三人・・・ビューネイ・アラケス・フォルネウスは、そのころより「三傑」と呼ばれ、

仲間内からも格別に恐れられていた存在でもあったのです。

 

その内でも、とりわけビューネイの占めるウエイトは大きく、そこは同じ「三傑」であるアナウスもフォルネウスも、渋々認めるところでもあったのです。

 

なのに―――そんな存在が、いつの間にか・・・自分たちにも知られぬところで取って代わられていた・・・??

いや、その前に、自分たちはビューネイがそんなことになっていることすら気付かないまま、どこの馬の骨とも判らない存在に従っていた・・・??

 

けれども、それも無理らしからぬところだったのです。

確かに―――その場所にいたビューネイは、フォルネウス自身よく知るビューネイだったのですから。

 

それに―――・・・〕

 

 

ビ:それにしても・・・心苦しいものだな。

  喩え短い期間とは云え、お前たちのような低俗な者達と一緒の空気を吸っていた・・・

  そこで芽生え始めた、仲間意識と云うモノを崩してしまうようで―――な・・・

 

  ただ、この私がこの場に現れたのは―――なにもお前たちを援護する目的ではない。

  最早用済みとなったお前を抹殺せよ―――との、わが盟主・・・いや、この私をお創り給うた創主様よりの、何者にも勝るご命令で動いたまでのことなのだ。

 

フ:ナニ―――? 待テ・・・今、ナンダト―――? 創主・・・?

  ソレニ・・・オレ達ハスデニ、個別トシテ存在シテイタ者同士・・・ソレヲ―――創ラレタ・・・ダト?

  ナラバ・・・サキマハ一体―――!!?

 

ビ:もう・・・無駄口はこのくらいでいいだろう―――

―――さあ・・・今度こそ、本当に消えて頂こうか・・・

フォルネウス=クシィ=ダグザ

 

 

〔―――こうして、究極体になる為に自身の体内に取り込んでいた三叉の鉾「アクター・ネファリウス」を取り出されて粉砕され、

肉体・精神ともに襤褸布(ぼろきれ)のようにされたフォルネウスは、このあと一本の指として動かせられる状態ではなかったのです。

 

そして力なく玉座に座らされたまま打ち棄てられ―――そこを、ハルナを陥落させるため最下層から昇ってきたエルム達により、

完膚なきまでに・・・反撃をする暇さえ与えられず、存在の終焉を迎えてしまったのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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