≪四節;竜を奉る神殿≫

 

 

〔それはそれとして―――古代の二大要塞の再起動を取り決めたことにより、この戦乱の世も愈々(いよいよ)最終段階に入ったと感じた者は、

仲間内であるジィルガとビューネイの二人に、ある場所へと赴くように云ったのです。

 

そのある場所とは―――・・・〕

 

 

ジ:い゛い゛い゛〜〜っ?!! ちょっとお姉様―――? それ・・・本気なんです?

ガ:本気も本気―――ま、流れであの二大要塞の起動を許可しちまったからねぇ〜〜。

  それに、以前でもそいつを陥落(おと)すのにえらく苦労させられたそうじゃないか。

 

  そんなモノをねぇ〜・・・何も、このあとの時代にまで遺さなくたっていいじゃないか―――

  だったらさ、ぶっ潰しておくのは今をおいて他にはないと思うんだよ。

 

ジ:それは〜・・・私の方でも考えましたが・・・だとしても、あの子の処に行くというのが判りません。

  それに―――あの子が目覚めたとき、一番辛い目を見るのは・・・

ガ:そこは違うね―――あの子が目覚めたとき、一番辛い目を見なきゃならないのはあの子自身の方さ。

  それに第一・・・安らかに眠っているあの子を、無理に起こそう―――って、云うんだからね・・・。

 

 

〔今のジィルガとガラティアの会話を見ているだけでは、中々彼女たちの会話の内容が見えてこないのですが・・・

今回の一連の計画の一部として、古代の二大要塞を起動させたガラティアは、パライソを含む反カルマ連合だけではこの二大要塞を陥落(おと)すことは難しく、

ならば・・・こちら側からでも陥落(おと)し易くする為に、ある人物の復活を目論んでいたのです。

 

しかし―――その人物と云うのは、すでに過去に亡くなった人物であり、

その人物を復活させたのなら、一番に驚き辛い目を見るのは、ある種属の二人ではないのかと、ジィルガは心配をしたのです。

 

けれど・・・ガラティアは、そこの処は間違ってはいませんでした。

今回のことで―――自分たちの勝手により復活させられ、一番辛い目を見るのは・・・復活させられた人物本人である―――と・・・

 

 

ともあれ―――その人物を目覚めさせるのに、その人物が眠っている・・・埋葬されている地方、

旧ラージャのヤマ地区と、サライのサヴァルーイ地区を跨(また)ぐ場所・・・

 

また特にこの二つの地区は、かの二国の秘境とも呼ばれた処であり、その場所こそはある意味では 聖域 とさえ云われていたのです。

 

それと云うのも・・・やはりこの場所には、そう呼ばれるだけの経緯(いきさつ)がありました。

近くには、天を衝くような山並み―――ヴァーナムが聳(そび)え立ち、岩が所々隆起して歩行する者を阻み、踏破し難(にく)い難所として知られていた・・・

そんな場所柄とは裏腹に、その先には神秘的な建物があると伝えられていました。

 

それも云うなれば、少し前までは皇城シャクラディアもそう呼ばれていた―――・・・

 

ドルメン・奉竜殿

 

しかしながら・・・そう―――

この建物の名称に「竜」がつくように、真っ先に頭に思い浮かぶのは、ある種属であるあの二人なのです。

果たして―――このドルメンに奉られているというのは、ヱリヤとキリエと同じように、やはりハイランダーなのでしょうか。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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