<第百二十七章;宿縁の再会>
≪一節;降雷の訪問≫
〔このほど―――パライソ国がカルマ国に対して起こした戦役・・・「第一次カルマ征伐」(「第一次北伐とも」)が終了すると、
ひと時の平穏な日々を謳歌する者達や、次の戦役の為に武器や防具の手入れに余念のない者達・・・など―――様々にはあったようなのですが、
ある種属たちについては、そうではありませんでした。
その種族―――ハイランダーの長であるヱリヤは、この度パライソ国女皇により招聘され、
これからまた再び、不倶戴天である敵国と血塗られた日々を送る事になる報告と―――自分たちの先祖の霊の供養のために、その場所を訪れていました。
しかし―――彼女たちの種族にとって神聖とも呼べる場所が、何者かによって荒らされ・・・
先祖の御霊を封じた宝珠を始め、大事な至宝までもが盗掘の憂き目に晒されていることを知ったのです。
そしてそのことは、ヱリヤにも暗い影を落とすこととなり・・・
ここ数日―――しばらくは他人とも顔を見合わせたくないとするためか、シャクラディア城下にある自分の邸宅に引き籠ったままとなってしまったのです。
そんな・・・古えからの同志のことを案じたエルムは、翌日には何とかヱリヤに元気を取り戻してもらおうと、計画を立てるのですが―――・・・
その日の晩―――とある異変と衝撃が、エルム邸を包み込んだのです。
それは・・・まるで・・・嵐の到来を予感させるかのような―――降雷の激しい夜でした・・・。〕
エ:なんだか―――厭な夜だね・・・。
明日、あの人の処へ見舞いに行こう―――って、前日の夜にさ・・・
〔これからの・・・嵐の様な戦の日々を予感させるかのような―――おどろおどろしくも叫喚しているかのようにも思える雷光・・・
それも、昔からの同志を元気づけようとしている―――その前日に限って・・・
どこか不気味で、どこか不安を煽りたてるかのような天候に、エルムの胸は騒ぐのです。〕