≪四節;種族の業(オキテ)≫
〔そして、その理由を―――龍皇・スターシア自身から語られることとなったのです。〕
ス:実は・・・な―――安らかに眠っている処を、ある方に叩き起こされてしまった・・・。
それが・・・そこら程度の者ならば、叩き出して再び安らかなる眠りに就いたところなのだが―――
これがどうして・・・私如きが敵う相手ではないものでな―――。
大:(フ・・・やはりそんなところ―――か。)
エ:えっ? スターシア様でも敵わない相手・・・って――― 一体何者なんですか?!
ス:それは・・・口外出来ぬ―――出来ぬことなのだよ、フロイライン。
今、そのことを私が口走ってしまえば、あの方々の・・・今までの苦労と云うモノがすべて水泡に帰してしまう。
それに・・・私の方としても、やり残したことがあるものでな―――実のところ、少しばかり感謝はしている・・・。
大:それは・・・汝らの種族の、「最終奥義」のことか。
文字通り、あれは死ぬ気にならぬと会得出来ぬものだからな・・・。
ス:だからこそ―――辛いモノがある・・・
しかも、本来あの技は、親が子へと授けるモノ―――
他の誰から教わるモノでもない・・・親と子の―――
いや、親が子を―――子が親を―――本気で殺す気にならないと会得することが出来ぬ、業深き技なのだ!
エ:ええっ?!! そんな―――スターシア様があの人を・・・あの人もスターシア様を・・・殺す・・・って?!
そんな―――そんなことって・・・!
ス:残念ながら・・・それが真実なのだよ、フロイライン。
我らの種族は、戦闘種族―――故に、自然死する方が稀なのだ。
第一、 そんな者は種属の間で臆病者と蔑まれる―――
フロイライン・・・私はな、そんな屈辱に、耐えられようはずもない―――!!
だから、今回のことは、不本意ではあっても、半ば本意でもあるのだ・・・。
〔彼女たちの種族―――ハイランダーの業・・・
それこそは、実の親であり子を殺すことで初めて一人前の戦士となれる・・・
たった一つの肉親だとて、情け容赦のない非情を備えてこその戦闘種族である―――
そのことは種属の業ではありました・・・。
しかし、そのことは同時に―――〕
大:―――鬼・・・だな。
ス:・・・鬼だ―――私は・・・人の皮を被った、鬼だ・・・。
大:我が―――最高にして最良の友に・・・ブロージット(乾杯)。
ス:・・・私のことを、まだ、友―――と?
・・・これを、預かってくれるか―――
エ:あっ・・・それは、スターシア様のグノーシス―――モルニア!
〔「修羅」、「鬼」・・・最愛の者ですら、自身の強さの為に糧とする行為を―――そう呼んだものでした。
未明の内に現れ、昔の馴染みに現在ある状況を知ってもらうためにそうした龍皇は、
自分のこう云った心情を判ってもらえる大公爵と杯を交わし―――
そして「さらば同志よ」の言葉と共に、その屋敷から去ったものでした。〕