≪四節;意外な一面≫

 

 

〔閑話休題―――

サライに入国をして、国境からすぐの町まで来ると、外渉団は休息を取る為に、その町にある宿泊施設に留まりました。

そして翌朝―――聖都・べルフィオーレへと向かうために、点呼を取っている最中・・・ある異状が判明したのです。

 

その異状とは・・・この外渉団の構成員二名が、団長の断りもなく―――勝手な行動を・・・

つまり、体調の優れなくなった一名を介抱すると云う理由で、この町に入ると別行動を取っていることが判ってしまったのです。

 

そのことに、団長である緒麗美耶も呆れ返ってしまうのですが・・・

ともかく、今回の外交を成功させるため、快復したらすぐに追いつく―――と、云った構成員の言葉を信じ、一路聖都へと急いだのです。

 

しかし―――・・・もうお気づきのこことは思いますが、この二名とはアヱカと婀陀那のこと・・・

そう、すでに彼女たちは、自分たちのするべきことに向かって、外渉団とは別の行動を取っていたのです。

 

それに・・・意外なことに、今回の行動を思い立ったのは、あまり行動派とは見られていない―――アヱカなのでした。

 

しかも彼女は、サライ入国をしてすぐの町で、夜明けになる前に準備をし・・・

(あらかじ)め用意しておいたこの国の衣裳に着替えると、すぐにこの国の色に溶け込んでいったのです。

 

その意外さに、婀陀那は―――・・・〕

 

 

ア:・・・どうやら、巧く行ったようだね。

  緒麗美耶さんには申し訳ないけど、これから私たちがしようとしていることは、彼女たちには全くと云っていいほど関係がないからね・・・。

婀:―――それにしても、姫君がよくもこんなことを・・・妾にはそのことで驚きを禁じ得ませぬ。

 

ア:あ・・・いやぁ〜――過去にカルマから追い立てられていたことがあったからね・・・

  それがこんな時に役に立つなんて〜〜・・・

婀:そう云えば・・・そんなこともありましたな―――

  姫君の国があの者達に滅ぼされた当時、妾が盗賊どもの頭領として収まっていた夜の街に来られた―――

  思えば・・・あの街が総ての始まりだった―――今ではそのような気さえいたします。

 

 

〔婀陀那の手を引き―――物陰に隠れるなどをして、やり過ごす様に・・・

婀陀那は、今まで知りさえしなかった自分の主の別の姿をそこで見ることとなったのです。

 

そのことは驚きはしたのですが、どうしてアヱカがこんなことが出来たのかの理由を聞くに及び、疑問は解けていったのです。

 

それは・・・アヱカが過去、カルマに追われていたことがあったから―――だからそんなことが出来るようになったと思ったのです。

それに婀陀那からも、初めてアヱカと出会った当時のことを思い出す、懐古の一場面も・・・

今にして思えば、あの街での出会いが、総ての始まりではなかったか・・・と、そう思いたくもなっていたようです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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