≪五節;カレイドの映し出したる光景――其の壱――≫
〔そこには―――・・・今、現在に於いて、「中華の国」と讃えられているフ国にも、負けずも劣らじといる諸百官達。
そして、その中には、あのキリエの姿や、コみゅ・乃亜ちゃんたちの姿も見えているようです・・・
それから、なんと、あの玉座の左隣には、ひときわ巨きい存在が・・・
そして―――何よりも、一番に驚いたことには・・・
その玉座に鎮座していたのは、いつも、自分の夢の中に出てきていた、あの存在・・・・
小豆色の御髪――――
瑠璃色の瞳――――
を、した「女性」が・・・〕
ア:(そ―――そんな?! こ、こんな・・・事って―――!!!)
〔しかも、この時は、何かしらの合議の最中なのか・・・・激しい議論のやり取りがなされていたのです。
今―――余り見慣れぬ真紅の鎧を、その身に纏った女性の将校が、自分の意見を申すべく、立ち上がったようです・・・。〕
武:そんな―――!! 何をおいて今更講和などと・・・・虫の良過ぎる話です―――!!!
もう一度、お考え直し下さるよう―――!!
〔しかし、それを一喝し、打ち鎮める存在が・・・・それこそ、あの玉座の左隣にいる者だったのです。〕
文:黙らっしゃいっ――――!
これは、皇御ン自らが打ち立てた方針です、お前如きが口を出すべき問題ではない―――!!
武:し・・・・しかし、丞相―――!
丞:・・・・もう、よい。
お前はもう座りなさい、大尉・驃騎将軍―――
驃:っっ――――くっ!!
文:(お前・・・様・・・・)
丞:申し訳ございません、陛下・・・。
このことは絶対口出しせぬよう、堅く言って聞かせていたのですが・・・。
皇:しかし―――皆にも申し訳ないことをしたと思っている・・・。
折角、大陸にある諸侯を説き伏せ、優勢に持ち込めたものを・・・・だけど、判って欲しいんだ。
私も、或る人から、よく言って聞かされた事・・・
『“勝つ”ということ、それ自体そのものは問題ではない―――』
『ただ、それが余り持続しすぎると、驕ってしまって返って手痛い目にあってしまう事もある―――』
『程よく勝って、手を結ぶべきが、最良の策なのだよ。』
・・・・と。
驃:し―――しかし! あやつらの・・・カルマ共が、この期に及んで和議を申し立ててくるなどというのは、
新たなる防衛線の構築・・・それと、崩れた軍の立て直しを図るためのものなのでは・・・
〔アヱカは・・・ただ、ただ・・・・驚くしか他はありませんでした・・・。
自分自身、見覚えのある顔が―――玉座に鎮座し、またその者を前に頭(こうべ)を低くする者達・・・・その者達を纏め上げている「丞相」も――――
そして、何よりも驚いたのは、自国テラを襲い、滅ぼしたカルマという存在――――
そのことに、ただ驚くしかなかったのです・・・。
そして、場面は流れ――――・・・・
その者と、「丞相」と呼ばれた者とが、親しげに会話をしている場面に遭遇したのです。〕
皇:―――・・・ところで、姉さんは・・・マエストロは、此度のカルマからの申し出、どのように思っているので?
丞:そのことは―――あなた様が、もうお決めになられた事でございます。
私如きが、とやかく言う筋合いは―――
皇:そう言わずに・・・
丞:そうですか・・・でしたらば―――いま少し、その時期は尚早だったように思われます。
皇:だったら、どうしてそのことを・・・・
丞:言ったらば―――お取り上げになってくれたでしょうか?
皇:(うっ―――・・・)そ、それは・・・・
丞:この永きに亘(わた)って争いを繰り返しているがゆえに、兵も―――また民も疲労困憊しはじめている・・・・
だからこそ、一挙に攻めるべき―――と、そう申し上げておいたはずでございます。
ですが・・・あなた様は、以前に非戦論者の言を取り上げなかったがために、この度はその者達の言を取り上げた・・・・
確かに―――戦をせずに勝利するという事は、最上の策と思われますが・・・非道なる者達にその憐みは通じません、下の下だと思われるのです。
皇:――――・・・。
丞:申し訳ございません・・・。
少々口が過ぎてしまいました、お怒りでございましたなら、この丞相目をお罰し下さいますよう。
皇:いや―――この私の思慮のなさが招いてしまった誤解であり、失策だったようだ・・・
それに、怒るべきは、マエストロ以下の臣下の者達へではない、この―――至らない皇、私自身にだ!!
丞:いえ・・・この私の口の足らなさにも、因があったように思われます。
皇に於かれましては、もう少しご自愛頂かれますよう・・・・。
〔そこでまた、その者―――『皇』は言ったのです・・・「自分の思慮のなさが招いてしまった、誤解に失策だ」――――と。
そのことにアヱカは、あのときの事――――そう、ショウ王に招かれた宴の席にて、この人物がもらしていた事に、ある共通点を見出していたのです。
つまり・・・「優秀な官」と、「何もしていない施政者」―――そのそれぞれの事が判った時に、また場面が流れたのです――――〕